――昨年10月末で日テレを退社されましたが、この決断の理由は何でしょうか?
人事に異動してお笑いのDVDを作っちゃったことの延長線上だと思います。簡単に言うと「ワクワクしたい」。僕にとって仕事というのは人生の中でとても大きな部分を占めるので、新しいものを作るワクワクを大切にして楽しく生きていきたいと思ったんです。本当にそれくらいしか理由はなくて、すごく壮大なビジョンがあるわけでもない。
極端な話ですが、残りの人生でワクワクできるコンテンツが何個作れるかというのを考えるんです。そこにスケール感はあんまり関係なくて。それよりもワクワクが上ですね。
――ちょっと話がずれますが、日テレ局員時代に『オードリーのオールナイトニッポン in 東京ドーム』(24年2月)で総合演出を担当されましたよね。これはどういう経緯だったのですか?
開催の1年ぐらい前に、若林さんと当時ニッポン放送の石井(玄)さんと会議を始めたんだけと、『オードリーのオールナイトニッポン in 東京ドーム』っていうタイトル以外に内容は決まってないと。ただどう考えても最後に漫才をやるから、そこには安島がいたほうがいいだろうとなって呼ばれたんです。最初は若林・石井の話をちょっと俯瞰(ふかん)で見て、ちょっと意見を言ったり、ちょっと和ませるみたいな感じの人として入ったんですよ。
でも話が進んでいくうちに、やはり演出は安島がやった方がいいし、そもそもチケットの券売のシステムまで見てる石井さんが演出部分まで見るのは無理だとなって、演出の部分と制作プロデュースの部分を切り離して、演出の部分をお願いできないかと言われたんです。
――「スーパーバイザー」くらいの話から気づいたら大きくなっていたわけですね(笑)。ここでその話を聞いたのは、外の世界を見たことで退社の判断を後押ししたのかなと思いまして。
それはなくはないですね。それまでも結構ライブはやってたんですけど、東京ドームのフィールドにスタッフのブースがあって、思ったよりお客さんと距離が近かったんですよ。それにやっぱり閉じた空間だから、5万5千人のお客さんの歓声や笑いやパワーというか、魂の震えみたいな振動を全部感じたんです。
――まさにワクワクの極致ですね。
そうなんです。やっぱりワクワクして生きていきたいと思ったんですよね。自分の年齢やキャリアを考えると、この選択はベストなのか分からないですし。それで思考と足が止まっちゃってたんですけど、それを解凍してくれたワクワクが、ドームにはありました。「もっと得意な人がやったほうがいいよな」とか「自分がもうちょっと若かったら」とも思っていたけど、誰かに言われたわけでもないし、それを自分の枷(かせ)にするのは止めようと思ったんです。
突貫工事だった『ザ・コメデュアル』
――昨年10月末に退社されて早速、演出を担当された『ザ・コメデュアル』(Netflix・Prime Video ※)が大みそかに配信されました。
『コメデュアル』に関しては、お世話になった吉本の方に辞めることを伝えたら、数日後に「実は大みそかの配信コンテンツを急きょ立ち上げたので、そこの演出メンバーに入ってくれませんか?」と誘ってもらいました。
(※)…リスペクトし合う2組が互いに愛するネタをリクエスト。人生を変えたネタ、名作と崇めるネタ、十数年封印していたネタ、超長尺ネタ、とにかく死ぬほど笑ったネタなど、人気・実力がそろった20組のネタと、互いの芸人人生とネタを語りつくすトークコーナーで構成される。
――令和ロマンの高比良くるまさんが「突貫工事」とおっしゃっていました(笑)
とんでもない突貫工事でした(笑)。会議にも11月から参加したので、誇張なしで制作期間1カ月ですね。でも、ここまですごいメンバーを集められたのは、やっぱり吉本さんの信頼だと思います。
――全20組が登場していますが、収録は何日間だったのですか?
2日間です。スケジュールが非常にタイトな中で、朝から夜中までどんどん入れ代わり立ち代わりで来てくれました。朝7時半に来て、1ネタ撮ってトーク撮って、すぐそのまま大阪に行くなんて方もいましたから。この収録もパワーがすごくて、それをずっと浴びられるのは楽しかったですね。
――そのパワーというのはお客さんだけじゃなくて、演者さんからも。
そうですね。『コメデュアル』って演者さんのネタを、もう一方のコンビが舞台袖で見るので、お客さんとの三角形のゾーンができるんですよ。その熱視線があるので、独特の空気感でした。
――『オードリーの弾込めてきました!』(フジテレビ ※)も年末の放送でした。
オードリーの強みをちゃんと引き出せるような番組をやりたくて、将来的にはゴールデンで戦えるような番組というところを意識しました。
(※)…面白いネタを作るべく体を張って“トークの弾”を込めてきた芸人たちが、その実体験エピソードを話術1本で披露するトークバラエティ。
