――今後もいろいろ企画が動いていると思うのですが、やはり配信系が多いのでしょうか?

いや、テレビが多いですね。『コメデュアル』もやらせてもらったし、もちろん配信もやりたいんですが、もっともっとテレビもやりたいと思ってるんです。

――最近はテレビの制作費が下がっている中で、局員の方が独立されると配信コンテンツも積極的にやってらっしゃるイメージがありますが。

やっぱりテレビって皆でワクワクできるメディアなはずなんですよね。なんでこの業界に入ったのかと思ったら、みんなが一緒に楽しめる同時性や共通性があったからなんです。SNSではとんがってたりニッチだったりする番組が取り上げられがちじゃないですか。そういう番組もすごいし、自分も作りたいんですけど、幅広い世代が見ている個人視聴率の高い番組もみんなが気軽に見られるメディアとしてもっともっと面白いものが作れる可能性がある媒体だと思うんですよね。

それに、テレビって点じゃなくて線だと思うんです。ヒットする人が出たらその人の登場尺が翌週は長くなるとか、派生して別の企画が生まれてずっと続いていく物語になっていくとか。僕が生山くんに言ったとされる「自分の面白いと世間の面白いが一致していないことに気づいた瞬間があったから、これを一致させる手法は教えられる」というのは、それによって視聴者とコミュニケーションしたいんだと思います。みんなが手を叩いて笑ったり、怒ったり泣いたり感情を揺さぶられるものが、自分とあんまりマッチしないこともあるけど、ライフステージや年齢、自分が変わることで、そのチューニングが時々合ったり外れたりする。番組を続ける中でそれを繰り返していくのがワクワクするんです。

――そうすると、やはりレギュラー番組を目指したいという感じですね。

そうですね、ゴールデンのレギュラー番組。あらゆる人にリアルタイムで見てもらえるような番組を作りたいです。

忘れられない『8時だョ!全員集合』の観覧

――ご自身が影響を受けた番組を1本挙げるとすると、何でしょうか?

『8時だョ!全員集合』(TBS)ですね。小学校2~3年生の時に公開生放送の観覧が当たって、市民会館に見に行ったんです。それがめちゃめちゃ面白くて、今考えてもやっぱりライブなんですよね。ドリフの皆さんの生の声の張りや熱が味わえる。テレビだとフレーム中を見ているけど、ライブだと志村けんさんがふざけてるところに「ドロドロ~」ってSE(効果音)が流れて、後ろが青の怖い照明になって、志村さんが振り返るとカットアウトで明転するのが、「志村~後ろ~!」って言いながら分かって、とにかく臨場感があったんです。

そのことを帰りがてら一生懸命しゃべっていたみたいで、親に「それはドリフがより面白くなるように、盛り上げてくれる人がいるんだよ」と教えてもらったんです。それで、テレビの裏方を志しました……ってこの話は入社面接でもしたし、たぶん途中からちょっと盛ってるはずなんですけど、いろんなところでしゃべってるからどこからウソか分からなくなりました(笑)。親のくだりで怪しいと思ってるんですけど。

――鮮明に覚えている経験ですから、大枠ウソではないですよね(笑)。そうすると、『たりないふたり』や『オードリーのオールナイトニッポン in 東京ドーム』も経験されていますし、ライブもやりたいという思いはありますか?

それはもう、ありますね。

――いろいろお話を聞かせていただき、ありがとうございました。最後に、気になっている“テレビ屋”を伺いたいのですが…

作家の林田晋一さんです。この前の『弾込め』もそうですし、仕事をいっぱい一緒にやってきたんですけど、彼が酒に酔っていうのは、昔で言うところの視聴率20%の番組をゴールデンで作りたいという気持ちで日々の仕事をやっているんだと。一方で、深夜に『たりないふたり』とかをやるマインドもあるので、テレビというものにすごく向き合ってる作家さんだと思います。

  • 次回の“テレビ屋”は…
  • 放送作家・林田晋一氏