――音楽番組以外にも、活動が広がっているんですよね。
『MUSIC FAIR』や『FNS歌謡祭』をやりながら、ライブのDVDやMV(ミュージックビデオ)の映像をやっていたりします。『スマスマ』が終わってからは、ありがたいことに桑田(佳祐)さんやサザンオールスターズさんのライブもやらせてもらい、桑田さんでは民放の共同ソング「SMILE~晴れ渡る空のように~」も担当しました。
――桑田さんとお仕事をするきっかけは、何だったのですか?
2016年の夏に桑田さんが夏の『FNS』に出演されて、その時に1曲だけスタジオではない場所でということで僕がやらせてもらうことになったんです。僕、桑田さんと同じ鎌倉学園高校で、大学も青山学院で、本当に憧れの先輩なんですよ。SMAPさんもビクターなので、ビクターのスタジオにたまに行って「401が桑田さんの伝説のスタジオだよ」という話を聞くんですけどお見かけすることがなかったので、本当に実在するのか?というくらいに思ってて。そんな中で、「百万本の赤い薔薇」という曲を演出することになったんです。
――どんな演出にしたのですか?
フジテレビの向かいのアクアシティの屋上に赤い薔薇で飾られた白い部屋のセットを建てて、バンドがいて、奥にレインボーブリッジの風景の写真が飾ってあるんですけど、最後のサビでそのセットが左右に割れると、本物レイボーブリッジが見えてくる。ラストサビで桑田さんの周りをカメラが回るとフジテレビも真っ赤に染まってるという映像にしました。これをやるときに桑田さんに初めてお会いして、チーフマネージャーの中西(正樹、現・アミューズ社長)さんに「松永くん、桑田さんと高校・大学一緒なんですよ」って紹介してもらったら、桑田さんに「そうなの!?」って言われて、本当に夢みたいな日でした。
――そこから、次のお仕事につながっていくんですね。
これは勝手に運命だと感じてるんですけど、『FNS』が終わって夏休みにアビー・ロード(※)へ初めて旅行で行ったんですよ。そのときに見慣れない番号から電話がかかってきて、それが中西さんだったんですけど、「帰ってきたら会って話したいんだけど、桑田さんの映像をやってみない?」と声をかけてもらったんです。その年の大みそかの年越しライブのお話で、12月26日まで『スマスマ』があったんですけど、「27日以降のリハから来れば十分だよ」と言っていただいて、そこから奇跡的にずっとやらせてもらってるんです。
(※)…ビートルズが横断歩道をわたるアルバムのジャケット写真で有名なロンドンの通り
――ものすごい2016年末ですね!
そうですね。それからサザンの35周年のNHKとか、無観客配信とか、『ROCK IN JAPAN』とか、去年のブルーノート東京とツアーもやらせてもらって、本当にありがたいです。
――高校・大学は、桑田さんに憧れて進学されたのですか?
それはたまたまなんですけど、いつも学園祭の最後に「いとしのエリー」がかかるような高校なので、殿上人のような憧れがあるんですよね。だから、後輩だから頂いているありがたい仕事なんですよ(笑)
――いやいや(笑)、ちゃんと信頼を勝ち取ってのオファーですよね。
■いつか5人が再集結したら…「自分にまだ力があれば」
――そのように、テレビの音楽番組と並行してライブやMVの映像もやっているディレクターさんは、音楽業界では珍しいのですか?
そんなにはいないと思います。ただ、テレビを主軸でやっているからこその意地もあります。やっぱりライブとかMVとかって映像の質感だったりおしゃれなイメージがあって、そっちの世界の人って「テレビの歌番組の画ってダサいよね」みたいな固定概念があるんですよ。でも、僕はテレビが好きですし、実はテレビの方が『FNS』や『MUSIC FAIR』のようにコラボレーションだったり、自由度が高い側面とかいいところが本当にたくさんあるので、どちらのいいところも吸収して「テレビの音楽番組ってカッコよくない?」っていうモチベーションでやりたいなと思ってるんです。
――ライブもMVもできて、テレビでも局やメディアをまたいでお仕事ができるのは、局員ではないところの強みですよね。
そうですね。『スマスマ』時代の先輩でもある小松(純也)さんに誘ってもらって、WOWOWの開局30周年記念番組やNHK『チコちゃんに叱られる!』(NHK)のチコちゃんの歌をやらせてもらったり、SMAPさんの『Mr.S』の映像もやらせてもらいましたし、ABEMAでも新しい地図の『72時間テレビ』で、2時間72曲ノンストップライブをやらせてもらいましたから。やはり5人は恩人なので、頂いたお仕事はお声をかけていただける限り喜んでやりたいと思いますね。
――いつか5人が再集結となったときには、きっと松永さんがキーマンのおひとりとなって…
そんなことはないんですけど(笑)、もしもそういう奇跡的なことが起こるならば、そのときに自分にまだ力があるといいなあとは、どこか心の奥で思ってるところはありますね。