• 『ホンマでっか!?TV』 (C)フジテレビ

――さんまさんと言えば、『ホンマでっか!?TV』『さんまのお笑い向上委員会』でもご一緒されていますが、改めてそのすごさというのはどういった部分で感じますか?

この前、加藤綾子さんが「さんまさんって秒で笑わせますよね」って言ってたんですよ。「秒で笑わせる男」って新しいキャッチフレーズにいいなあと思ったんですけれど、たしかに『向上委員会』も『ホンマでっか』も、30秒以上笑わずに聞いていることがないなと気づいて、さすが彼女は良いところに目をつけているなと思いましたね。

あと、“笑わせるためなら犠牲になっても何でもええで”っていうところが、とても分かりやすいので、それは非常にプレッシャーがかかりますけれど、気持ちいいですよね。それと、「タトゥーどんだけ入っていても歌うまければええやんけ」と言うように、何があっても結果を出している人はいいという人なので、そのぶん結果を出せなかったときは言い訳しないぞという姿勢が僕は大好きです。

こんな人はこの先もなかなかいないだろうなと思っていたら、この前粗品さん(霜降り明星)が、「お笑いにすごく熱量を注いでいるけれど、そんな人があんまり同世代にいない」と言っているのを見て、一度一緒に仕事してみたいなと思いました。

  • 『さんまのお笑い向上委員会』 (C)フジテレビ

■“すごすぎて笑う” “ほころび”の面白さ

――今後こういう番組を作ってみたいという構想はありますか?

最近思うのは、“すごすぎて笑う”っていうのが好きなんですよね。『歌唱王』(日本テレビ)で女子高生が外国の歌を歌っていて、それがあまりにも上手すぎて笑っちゃったんですけれど。YouTubeで『北斗の拳』を1人で再現する男とか、すごすぎて笑える芸を持っている人っていっぱいいるから、令和版の『スター誕生』みたいな番組をやってみたいんですよね。ただ難しいのは、YouTubeで面白い人はみんな出ちゃっていますから、どうやって来てもらうかという物理的な問題があるんですけれど、審査する側にキングコングの西野(亮廣)さんとか、秋元(康)さんとか、片岡飛鳥さんとか、エンタメ界の重鎮が10人くらいいたらみんな参加してくれるんじゃないかなとか思ったりもしています。もしかしたら、「フラッシュマナカナ」のこっちゃんさんがいい成績を残すかもしれないし(笑)、スーザン・ボイルさんみたいな人が出てくるといいんですけれどね。

この“すごすぎて笑う”と、“ほころび”みたいなのも好きなんです。『VS嵐』で芦田愛菜さんがババ抜きをして、「シャッフル押したの誰!?」って怒ったときにめっちゃ笑っちゃったんですよ、「芦田愛菜さんって怒るんだ」って。人生が真面目っていうのがフリになって怒るというのが面白いなと思って。それで思い出したのが、僕水泳部だったんですけれど、オーストラリアから来た生徒が初めての試合のときに、向こうだとスタートで「take your marks」の後にスタート合図が鳴るんですけれど、日本はまだ「位置について、よーい」だったんですよ。だから、彼は「よーい」がスタート合図だと思って飛び込んじゃって(笑)。1年間せっかく一生懸命練習してきたのに、試合でそんなミスをしちゃって泳げず失格。笑っちゃいけないんですけれど笑っちゃったんですよね。だから、真面目にやっている人に1週間張り付いて長期密着して、そこで出てきた“ほころび”が伝えられたら面白いなあとか。

そうやって“点”のアイデアはいっぱいあるんですけれど、40歳になって、深夜で自分の好きな楽しい番組ばっかりやっている場合じゃないなとも思ったりしますね。あと、石原さんもよく言っていますけれど、裏とか前の(時間帯の)番組によって条件が変わってくるのに、その数字で評価されるシステムというのがあるじゃないですか。同時放送したらこっちのほうが絶対面白いと思うのに、数字で比べると負けてそれだけで見られてしまう。昔はそんなこと関係なく思ってやっていましたけれど、今は気にしなくてはいけなくなって、そんなところにも葛藤しながらやっていますね。

――ご自身が影響を受けた番組を1本挙げるとすると、何ですか?

『あっぱれさんま大先生』(フジテレビ)ですね。「そんなこと言うの!?」っていう子供の予定不調和が大好きで。実は『アウト』にもつながっていて、想像以上のことをされると面白いじゃないですか。メッシも想像外のプレーをするからすごいわけで、やっぱりそれがテレビなんじゃないかなと思うんです。アウトな人にクレームが来ることもあるんですけれど、それはテレビと視聴者の距離が近すぎてしまっているのかなと思ったりします。

――いろいろお話を聞かせていただき、ありがとうございました。最後に、気になっている“テレビ屋”をお伺いしたいのですが…

作家の北本かつらさんですね。入社したときからずっと一緒にやっていて、センスがいいなあと思っています。作家もディレクターも、仕事って具体的な内容をどれだけ言うかが大事だと思うんですけれど、だんだん経験を積んでくると雰囲気で言う人が多いんですよね。でも、北本さんは「AさんがBしてCしたらいいんじゃないの?」とか、「Aさんにこの武器をもたせよう」とか、具体的に案を出してくれるので、そういう人は重宝してありがたいなと思いますね。

  • 次回の“テレビ屋”は…
  • 放送作家・北本かつら氏