音楽好きしか見ないという危機感
――最近は音楽の趣向が細分化されていわゆるメガヒットが出ないという状況で、テレビ界を見渡してもゴールデンのレギュラーで音楽番組をやってるのはテレ朝さんの『ミュージックステーション』だけという状況です。こうした環境の中で、『関ジャム』の果たす役割というのは、どのように考えていますか?
テレビ朝日の看板番組である『ミュージックステーション』は、基本的には生の歌唱がメインで、アーティストのすごさや華やかさが伝わりますよね。そんな中で、『関ジャム』は、実はその裏側でこういう意図や工夫があるからあれだけすごいパフォーマンスができるんだと分かる“補完”のような役割かなと思ってます。
――『関ジャム』は若者が大きなターゲットである番組だと思いますが、昨今言われる「若者のテレビ離れ」というのは実感していますか?
単純に、僕らが作るものを面白がっていただける世代の人が、その時間にテレビをあまり見ていないっていうのは事実としてあると思います。それと『関ジャム』は、よくマニアックなところをうまく突いてると言っていただいてありがたいんですけど、一方で間口を狭めてしまい、好きな人しか見てないんじゃないかという危機感もあります。番組のイメージを作るのは大変でしたし、大事なことなんですが、それにもうちょっと+αがあるようにしないと、番組が行き詰まってしまうようにも思います。
――サッカーワールドカップ日本代表戦の裏の直前で、フィギュアスケートの音楽を徹底解剖するという回(6月24日放送)をやりましたよね。それも、1つの工夫ですか?
そうですね。スポーツの大きな話題があったので、いいタイミングじゃないかと思ってやってみました。
――今後、こんな番組を作りたいという構想はありますか?
『関ジャム』での音楽のように、自分にとって未知のジャンルへの興味もあります。それがニュースなのか、料理なのか、シルバー世代向けなのか色々考えてはいますが…。でもやっぱり自分が好きなお笑いの世界で、見応えのある番組作りをしたいです。本当に難しいことですが、成功している番組もありますので。
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『関ジャム 完全燃SHOW』7月15日の放送は「売れっ子プロデューサーが選ぶ2018・上半期ベスト5」。蔦谷好位置、いしわたり淳治、mabanuaが上半期に目を付けた曲を発表し、どこがスゴいのか、楽曲の注目ポイントなども解説する。ジャムセッションは、今年ブレイク必至のバンド・緑黄色社会×関ジャニ∞。同バンドの人気曲「またね」を、安田章大(ギター)&大倉忠義(ドラム)とともに奏でる。
(C)テレビ朝日
『電波少年』の影響が反映!?
――そんな藤城さんが、影響を受けたテレビ番組は何ですか?
夢中になったのは『電波少年』(日本テレビ)ですね。初期の危険なアポなしロケにワクワクして…バラエティの中のドキュメンタリーっぽさがやっぱり好きで。音楽を分析してセッションにつなげていくというのも、ある種のドキュメンタリーなのかなぁと…。『関ジャム』にも、そんな自分の好みが反映しているかもしれないです。
――藤城さんがディレクターをされている『金曜★ロンドンハーツ』には、『電波少年』のディレクターだった〆谷浩斗さんが監修で参加されていますよね。
ずっとお世話になっています。当時は松村邦洋さんとのやりとりで「鬼ディレクター」みたいな見え方でしたが、実際ご一緒させていただくと、あんなに細やかな人はいないと思いました。以前『ロンハー』のアフリカロケで〆谷さんの下についたんですけど、現場での演者との距離の取り方や細かい気配りを見て、すごい方なんだなってあらためて思いましたね。迫力は今でも感じますが(笑)
――いろいろお話を聞かせていただき、ありがとうございました。最後に、気になっている“テレビ屋”をお伺いしたいのですが…
気になるというと、おこがましいですが放送作家のそーたにさんです。自分が素人の頃に楽しんでいた歴史的なバラエティを作られてきた方ですし、自分がこの世界に入ってから運良くずっと一緒にお仕事をさせていただいてます。自分が面白いと思ったものを番組にぶつけながらも、視聴者最優先で中身を考えてらっしゃいます。当たり前のことのように聞こえますが、長年ブレない姿勢が今でも各局で人気番組を担当されてる秘けつなのでは、と感じます。