テレビ解説者の木村隆志が、先週注目した“贔屓”のテレビ番組を紹介する「週刊テレ贔屓(びいき)」。第241回は、10・11日に放送されたフジテレビ系大型バラエティ特番『FNSラフ&ミュージック2022 ~歌と笑いの祭典~』(第1夜18:30~、第2夜18:59~)をピックアップする。
コロナ禍で『FNS27時間テレビ』に代わる長時間特番として昨年誕生した同特番を今年も生放送。昨年同様に多くの芸人とアーティストが出演するほか、目玉企画として芸人とアーティストが大喜利対決する「IPPON GP THE LIVE!」などが放送された。生放送ならではの仕掛けやハプニング、昨年からの変化はあったのか。
■生放送でもドキドキより落ち着き
オープニングトークは松本人志の“やりたくない”モードでスタート。TBSの『お笑いの日』も含め、長時間特番ではおなじみの光景だが、こちらはその左右を固めるナインティナインと中居正広も全員50代だけに、生放送ながらハラハラドキドキよりも落ち着きを感じさせる。
まずは以下、すべての放送内容をつづっていこう(「LIVE表示なし」以外はすべて生放送)。
第1夜は、フットボールアワーの漫才、出演者トーク、AKB48の歌、チョコレートプラネットのコント(LIVE表示なし)、見取り図の漫才、出演者トーク、NON STYLEの漫才、ミルクボーイの漫才、ジャニーズWESTの歌、出演者トーク、ハライチの漫才、Snow Manの歌、出演者トーク、ロッチのコント(LIVE表示なし)、出演者トーク、KOH+の歌(LIVE表示なし)。
序盤は、NON STYLEが急きょネタを変えて井上裕介の結婚話を始めたような演出があったくらいで、静かな立ち上がり。昨年は、どぶろっくとIMY(山崎育三郎、尾上松也、城田優)の“イチモツ”コラボなどで飛ばしていただけに、やや物足りなさが残った。
続いて、「直電!生ブッキング 明日来てくれませんか?」、「IPPON GP THE LIVE!」、出演者トーク、空気階段のコント(LIVE表示なし)、爆笑問題の漫才、出演者トーク、石川さゆりの歌、第2夜オープニングアクト視聴者投票、Creepy Nutsの歌、ミキの漫才、Tani Yuukiの歌、出演者トーク、ナイツの漫才、BiSHの歌、出演者トーク、松本人志59歳の誕生日プレゼントで熱湯風呂(「負けたら即熱湯!! 鉄棒ぶら下がり対決」)。
中盤に入って昨年同様の生ブッキングが始まり、ライブ感が一気に加速。岡村隆史と中居が連続で上戸彩に生電話したり、松本が浜田雅功の留守番電話に「吉本、誘ってくれてありがとう」と語りかけたりと、笑いを誘うシーンが続いた。
■0本ながら見事だった陣内智則
とはいえ、やはり今年の目玉は「IPPON GP THE LIVE!」。現役アイドルVS大喜利苦手芸人という絶妙のマッチングに加え、IPPONがほとんど取れない展開も、0点の連鎖も新鮮かつ斬新だった。特筆すべきはガチンコ審査をベースにしながらも、「陣内がSnow Manのスベリを上書きする形でフォロー」などのバランスが取れていたこと。生放送の実験的な企画ながら完成品のようなパッケージ力があり、「もっと見たい」と感じた人が多かったのではないか。
第1夜の最後は松本が人生初の熱湯風呂に挑み、しかも上島竜兵さんのスタイルで登場。ミキの昂生、BiSHのセントチヒロ・チッチも熱湯風呂に落とされるハチャメチャのまま終了した流れは、往年の『FNS27時間テレビ』を彷ふつさせる勢いがあった。事実、ネット上には「こういうのがもっと見たいんだよ」などの声があふれたほか、コンプライアンスや表現の幅に関する議論が起きていたが、これは番組への満足感にほかならない。
続く第2夜は、松本人志&岡村隆史のオープニングアクト(「YAH YAH YAH」)、アンタッチャブルの漫才、ニューヨークの漫才、乃木坂46の歌、出演者トーク、歌姫を取り巻くプロのTORIMAKI・白木善次郎(ロバート・秋山竜次)、バイきんぐのコント(LIVE表示なし)、錦鯉の漫才に斉藤由貴がサプライズ登場、出演者トーク、斉藤由貴の歌、オズワルドの漫才、アインシュタインの漫才、マカロニえんぴつの歌(LIVE表示なし)、Saucy Dogの歌(LIVE表示なし)、出演者トーク、ジャングルポケットのコント(LIVE表示なし)、GENERATIONS from EXILE TRIBEの歌、出演者トーク。
第2夜は序盤からお笑いモード。生放送の臨場感を前面に出したシンプルな演出で、何も考えずに笑えた視聴者も多かったのではないか。欲を言うならば、番組名通り、もう少し“FNS”らしい笑いと歌のコラボが見たかった。