自分では気づきにくい側面がある口臭だが、以下のような方法でのセルフチェックも可能だ。
■両手の中に息を出して臭う
■大きめのカップに息を吐いた後に雑誌などですぐにふたをし、1~2呼吸を置いてからカップ内の臭いをかぐ
もしも、これらのセルフチェックで口臭の疑いが強くなったり、他人から口の臭いを指摘されたりした場合、どのように対処したらいいのだろうか。今村医師はまず、「自分の口臭の原因を知ることが大切です」と指摘。そのうえで、特別な治療を必要としない、緊急時の応急処置を教えてくれた。
「口臭の原因は、ニンニクなどの食事や歯周病、慢性胃炎などの消化器系の問題などさまざまです。食事が原因として疑われる場合は、自分で両手で口をふさぎ『は~』と息を吹きかけ、臭いをチェックしましょう。もしも臭いのきついものを食べた場合は、食後半日は息清涼カプセルやガムなどで臭いを消すしかありません。牛乳も試してみてください」
歯周病治療法として注目されている3DS
とはいえ、ガムなどで臭いをごまかすのはあくまで対症療法に過ぎない。何らかの疾患が原因の口臭の場合は当然、治療が必要となってくる。例えば、歯周病が原因の口臭は、臭いがとても独特で強烈だという。
「歯周病は、家庭でのホームケアがとても重要になってきます。放置された歯周病の臭いは症状の進行とともにひどくなりますが、歯科医院で管理されると減ってきます。ですから、一日も早くクリニックと家庭でのご自分の管理法を知り、実践することをお勧めしています」
日進月歩の医学の世界においては近年、「3DS」と呼ばれる歯周病治療法が注目されている。3DSは「Dental Drug Delivery System」の呼び名に由来し、抗菌剤と殺菌消毒薬を注入した専用マウスピースを口に装着し、歯周病菌などに直接作用させることで歯垢の定着を抑える治療法だ。抗菌剤と殺菌消毒薬は唾液に洗い流されることなく、長時間の薬の効果が期待できるというメリットがある。そのほか、プロバイオテイクスなどのサプリも効果が実証されてきているという。
ただし、一朝一夕の治療や対策で劇的に口腔内環境が変わるわけではない。口臭の予防やケアには、中長期的な自己管理が重要であると肝に銘じておこう。
※写真と本文は関係ありません
取材協力: 今村美穂(いまむら みほ)
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M.I.H.O.代表、M.I.H.O.矯正歯科クリニック院長、MIHO歯科予防研究所 代表。表参道デンタルオフィス 矯正歯科。日本歯科大学卒業、日本大学矯正科研修、DMACC大学(米アイオワ州)にて予防歯科プログラム作成のため渡米、研究を行う。1996年にDMACC大学卒業。日本矯正歯科学会認定医、日本成人矯正歯科学会認定医・専門医。研究内容は歯科予防・口腔機能と形態及び顎関節を含む口腔顔面の機能障害。MOSセミナー(歯科矯正セミナー、MFT口腔筋機能療法セミナー)主宰。