JRグループで最も高い所にある"駅"は小海線の「野辺山駅」(長野・南佐久郡)だ。標高は1,345.67m。この野辺山駅のそばにJRグループで最も標高の高い"場所"がある。観光シーズンには記念撮影をする人々も多いが、実は多くの人が記念撮影をする場所は本当の「最高地点」ではないのだ。
JR最高地点は野辺山駅から2.3kmほど清里駅寄りにある。徒歩なら約30分。自転車で約15分だ。ちなみに野辺山駅前の観光案内所にレンタサイクルがあり、1時間500円、2時間800円である。道順はとっても簡単で、ひたすら線路沿いの道を行くだけ。遠くに八ヶ岳、近くには野辺山電波天文台の大きなパラボラアンテナもあり、楽しい道のりだ。
踏切警報機のそばにある「白い標識」が本物の「最高地点」
JR最高地点は踏切になっている。ここまではよく知られていて、この踏切のそばには「JR最高地点」と大書した柱と、その隣には鉄道神社も作られた。これらを背景に記念写真を撮っている人も多い。しかし、「JR最高地点」と大書した柱はただの記念碑。本当に最高地点を示す標識はこれではない。踏切警報機のそばにある「勾配標」である。
この白い勾配標はほとんどの鉄道で採用されている標識だ。横の柱の向きで上りか下りかを示し、数字が勾配の角度を示す。単位は千分率の‰(パーミル)が採用されている。1パーミルの勾配は1,000m進むと1mの高低差があることを示す。道路の勾配は急坂も多いため百分率の%(パーセント)で表記されるけれど、鉄道の勾配はもっと緩やかなので、精度を高めるために千分率が使われているという。
JR最高地点の勾配標は、野辺山駅に向かって8‰の下り、清里方面に向かって22‰の下りとなっている。つまり、この標識のある所が「頂点」で、本当の最高地点。標高の数字も書かれていないし「最高地点」という文字もない。だから見過ごしてしまいがちだけど、せっかく最高地点に訪れたからには、こちらの勾配標をしっかり見届けてほしい。