読売新聞が3月8日に報じた「宮崎―鹿児島中央41分短縮、『振り子車両』」導入などで…宮崎県調査」によると、宮崎県は県議会に日豊本線などの高速化に関する調査結果を報告したという。「振り子車両」を導入し、線路の一部を新設した場合、宮崎~鹿児島中央間は現在より41分短縮され、1時間30分程度にできるとしている。
現在、宮崎~鹿児島中央間は特急「きりしま」で2時間10分前後。これが41分短縮されるとなれば、2時間超えと1時間半、大きな差だ。ちなみに、高速バス「はまゆう号」の所要時間は約3時間。振子式車両の特急列車が走れば、所要時間は高速バスの半分になる。
さらに、宮崎県を通る新幹線を建設すると、大分~鹿児島中央間は約4時間も短縮されるという。4時間短縮とはびっくりだ。なにかの間違いだろうと時刻表を確かめたら、この所要時間は間違っていなかった。
大分~宮崎間で特急「にちりん」、宮崎~鹿児島中央間で特急「きりしま」を乗り継ぐと、所要時間は5時間10分前後となる。一方、大分県の公式サイトによれば、東九州新幹線の大分~宮崎間は48分、宮崎~鹿児島中央間は29分になるとのこと。合わせて1時間17分。なるほど、約4時間の短縮だった。
そうなると、「なぜスピードアップできるのか」より「なぜ現在はそんなに遅いのか」が気になる。じつは、日豊本線は大分駅から鹿児島駅までずっと単線。宮崎県内の主要幹線が単線で、支線にあたる日南線、吉都線、肥薩線、宮崎空港線もすべて単線。宮崎県にはJR以外の鉄道路線はないため、県内の鉄道はすべて単線ということになる。
他県の路線を調べると、徳島県もJR四国、阿佐海岸鉄道ともに単線だった。ただし、佐古~徳島間では高徳線と徳島線の線路が並ぶ。これは複線に見えるけれど、それぞれの線路の運用は独立しているため、単線並列という形態に分類される。
宮崎県に話を戻すと、現在、博多~宮崎間の所要時間は大分駅で「ソニック」「にちりん」を乗り継ぐと約5時間40分。直通の「にちりんシーガイア7号」もほぼ同じ。博多~鹿児島中央間で九州新幹線、鹿児島中央駅から宮崎駅まで「きりしま」へ乗り継ぐと約4時間となり、遠回りの新幹線経由のほうが早く着く。振子式車両の特急列車と線路改良で41分短縮されると約3時間20分。東九州新幹線が開通すれば2時間以内になりそうだ。
東九州新幹線建設はハードルが高そうだけど、振子式車両と線路改良に期待したい。宮崎駅は、九州の県庁所在地駅の中で博多から最も遠い駅となっている。鉄道のスピードアップを望む気持ちがよくわかる。