上野東京ラインが開業した。湘南新宿ラインの開業時のように、上り列車(東京方面)の利用者にとっては、見慣れない行先がたくさん現れて戸惑ったかもしれない。時刻表4月号をもとに調べると、始発・終着となる駅は27もある。運転区間のパターンは100を超える。

上野東京ラインの普通列車の始発・終着駅

この図では上野~東京間を走行する列車に限定し、東海道線の品川駅・東京駅発着、宇都宮線(東北本線)・高崎線・常磐線の各線内の上野駅発着などを除いている。上野東京ラインでも、すべての列車が上野駅や東京駅を通過するわけではなかった。たとえば宇都宮線(東北本線)側でも東京駅着の列車があるし、東海道線側にも上野駅発着の列車がある。上野東京ラインの開業で、上野駅は終着駅ではなくなってしまうと思った人も多かったようだけど、実際は北からも南からも上野駅発着の列車があった。

東海道線側から見て耳慣れない行先駅は、「籠原」「黒磯」「取手」「勝田」「高萩」あたりだろうか。知名度のある都市というよりは、電車の車庫の都合などで設定される駅である。「籠原」は高崎線熊谷駅の1駅先、「黒磯」は宇都宮線(東北本線)宇都宮駅のもっと北で、那須塩原駅の1駅先である。「取手」は常磐線快速の終点で、直流電化区間の境界の手前。「勝田」は常磐線水戸駅の1駅先。「高萩」は勝田駅のさらに北で、福島県に近い。

宇都宮線・高崎線側から見慣れない駅は「沼津」「国府津」「平塚」だろうか。「沼津」は静岡県、伊豆半島の西側の付け根にあたる。東海道新幹線も停車する三島駅の1駅先だ。「国府津」は小田原駅の2駅手前、「平塚」は茅ヶ崎駅と大磯駅の間にある。

図の中で、「藤沢」「二宮」「氏家」は始発列車のみで終着列車はない。だから行先表示には現れない。これらの駅は各路線のなかでも珍しい始発駅である。

走行距離の長い列車、短い列車

最も長距離の列車と短距離の列車を探してみた。最長距離列車は熱海駅と黒磯駅を結ぶ列車で、黒磯行が2本、熱海行が1本ある。走行距離は268.1km。所要時間の最も長い列車は熱海駅18時51分発・黒磯駅23時39分着の列車で、所要時間は4時間48分だ。距離の次点は黒磯駅と小田原駅を結ぶ列車で247.4km、3位は前橋駅発沼津駅行の240.8km、4位は宇都宮駅と沼津駅を結ぶ列車で235.7km、5位は氏家駅発熱海駅行の231.7kmだった。

逆に最短距離の列車は、品川駅と取手駅を結ぶ50.0km、次点が平塚駅と上野駅を結ぶ67.4km、3位は東京発籠原行の71.3km、、4位は品川発土浦行の76.4km、5位は品川駅と成田駅を結ぶ76.8kmとなった。やはり品川駅止まりの常磐線は短距離列車が多いようだ。しかし、上野東京ラインの中で、東京駅から最も遠い駅は常磐線の高萩駅である。東京駅からの距離は168.3km。ちなみに東京駅から沼津駅までは126.2kmだ。

最長距離列車の熱海発黒磯行の列車に乗ると乗車券は4,750円。全区間乗車にチャレンジするなら青春18きっぷがおすすめ。グリーン料金は51キロ以上は同額なので乗り得だ。最も安い値段でホリデー料金の780円となる。ただし、最長時間列車は夕方から深夜にかけて走るから、車窓を楽しめそうにない。黒磯駅6時52分発・熱海駅11時29分着、所要時間4時間37分の列車か、熱海駅11時32分発、黒磯駅16時18分着、所要時間4時間46分の列車なら楽しそう。熱海駅でとんぼ返りすれば往復乗車もできそうだ。