元国税局職員さんきゅう倉田です。嫌いな刑法は「246条」です。

お金についての連載を持ったり、ツイッターでお金に関するツイートをしたり、Instagramでレストランの写真を載っけたりしていると、詐欺の女性がリプライしてきます。「素敵な写真ですね、私の写真も見てください」とか言ってきます。

そういう人たちをすけべごころ丸出しで見に行くと、高いご飯とか綺麗なプールとかイカれたシャンパンの写真ばかり載っけているのです。

最近のそういう人は、おしなべて「バイナリーレクチャー」をやっています。そして「DMください」とプロフィールに書いています。

  • 貧乏な人ほど詐欺師は寄ってくる

「バイナリーオプション」という投資商品があります。この後、値段が上がるか下がるか賭けるだけの投資です。でも、投資でも何でもない、ただのギャンブルです。そのバイナリーオプションで儲けようと思ったら、みなさんだったらどうしますか。

そんな丁半博打みたいなバイナリーオプションを自分でやるより、他人にやらせて利ざやを抜く方がいいと思いませんか。

「勝つ方法があります。私と同じ方法を実行すれば勝てるので、レクチャー料金30万円くださいね」とか言うおねえさんたちが、はびこっているそうです。はびこり、うごめいているそうです。あるいは「口座を開くために10万円必要」とか言って入金させ、運用してお金が増えても、出勤できないという被害があるようです。

普遍的に言われているのは「そんな儲かる話を他人に教えるわけがない」ということです。教えるとしても、家族や友達に教えます。SNSで知り合った第三者のあなたには教えません。

さらに、知り合いが声を掛けてくる場合ですが「それまで適当に仕事をしていたようなやつがお金持ちになっているわけがない」ということです。ずっと頑張っていたわけでもなくやりがいのない仕事をしたり、25歳にもなってアルバイトをしていたりするような人間が「儲かるで」と声を掛けてきて信じるなんて愚の骨頂です。

苦労と努力をしていないのんびり屋さんは気づかないのですが、そんな簡単にお金は手に入りません。あなたは騙されています。今回から2回に分けて、ぼくの周りで騙された人の事例を紹介します。

事例1 Aさんの場合

Aさんは芸人です。8年ほどアルバイトをしながら芸人をしていたときに、芸人を既に辞めた元同期から連絡がありました。

「200万円投資せえへんか? 俺もしてんねんけど、3カ月で倍になんねん」

元同期の男は、ろくでもない人間ですが、声を掛けられた芸人も楽して儲かる話があると信じてしまう人間です。口車に乗って、消費者金融で200万円を借り、渡してしまいます。

「ありがとう」

3カ月経ち、連絡すると、

「すまん。俺も騙されてん。やられたわ」

と言われます。みなさんならどうしますか? とりあえず、警察に行きませんか? でも、その芸人はいつか返ってくると信じて、警察には行きませんでした。さらに、プライドが邪魔しているのか、誰にも相談しませんでした。「ああ、この元同期も、騙されて大変だろうなあ」とか考えています。なんて愚かな。

もちろん、その元同期は最初から騙すつもりで声を掛けていて、投資なんかしていません。「俺も騙されたわ」と言えば乗り切れると思って声を掛けています。そして、実際に乗り切れた。芸人は追求もしないし、どこに出資したのか確認もしないし、お金がどのように流れたのか知ろうとしなかった。ただ、200万円渡せば3カ月後に400万円がもらえる、と信じていた。

騙す方が悪いですが、騙される方にも原因があると言われるのは、こういうところに由来しているのでしょうか。お金を稼ぐということをなめているのです。大きなリターンが期待できるときは、どんな場合に資金がなくなるとか、取引相手がどんな人間であるとか調べ、リスクを回避するための努力をしないといけません。

さんきゅう倉田

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さんきゅう倉田

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さんきゅう倉田

さんきゅう倉田

芸人、ファイナンシャルプランナー。2007年、国税専門官試験に合格し東京国税局に入庁。100社以上の法人の税務調査を行ったのち、よしもとクリエイティブ・エージェンシーに。ツイッターは こちら