元国税職員さんきゅう倉田です。好きなアメリカの紙幣は「ベンジャミン」です。
2023年の4月から東京大学に通っています。大学の複数の授業で、「皆さんは自分の力で東大に入ったと思っているかもしれませんが、恵まれた環境がなければ合格できなかったかもしれません。それくらい教育において環境とは重要な要因です」というような話を聞きました。
遺伝的な知能が学力に影響を与えることはもちろんあるけれど、一卵性の双子の研究などから、環境によってヒトがどのように成長するかが明らかになってきています。豊かな教育にはお金がかかるので、貧困が学力に与える影響は著しく大きく、子どもの機会を奪います。
「お金なんて必要最低限でもいい」という人もいますが、子どもがそう思うとは限らない。子どもの選択肢を奪わないために、親が考える以上にお金が必要です。
以下は内閣府「令和元年度 子供の貧困実態調査に関する研究 報告書」貧困の連鎖に関する先行研究の整理を参照しています。
学歴と学力
男女とも最終学歴が高い人ほど年収が高い傾向にあることがわかっています。
また学力を高める要素として、全国学力テストとの相関が強い生活習慣や態度の例が挙げられています。
例えば、朝食を毎日食べている、学校に持っていくものを事前に確かめている、ものごとを最後までやり遂げて嬉しかったことがあるなどです。
学力と貧困の関係
アメリカでは生徒の成績に関する詳細なデータが集められていて、低所得家庭の生徒の成績が中流家庭の生徒より著しく低いことが確認されています。
ここでいう低所得や中流家庭の線引きはわかりませんが、親の所得が子どもの学力に影響することがデータで示されていることが重要です。
このようなデータを踏まえ、貧しい子どもたちが学業上の成果を改善できるよう教育改革運動が進められていましたが、まだ解決には至っていません。
日本においては、家庭所得と両親の学歴を合成した指標SESが低い水準にある児童生徒が、各教科の平均正答率において低い傾向にあります。しかし、SESが低くても学力が高い子どももおり、彼らには親の姿勢や働きかけ非認知スキルの高さなどに特徴が見られます。
つまり、親の所得と学歴は子どもの学力に影響を与えるけれど、それらを持たなくとも、親の努力によって子どもの学力を伸ばせる可能性があります。そこでもやはり「環境」の重要性を感じます。
学力以外のスキル「非認知スキル」
幼児期の質の高い教育は、知能指数への影響はなかったものの、高校卒業率、就業率、年収、逮捕歴、生活保護を受けた割合などで良い影響が何十年にもわたって継続しているという研究結果もあり、学力とは異なる能力として「非認知スキル」が定義されました。
非認知スキルにはこんなものがあります。
・目標を達成るす力(忍耐力、意欲、自己制御)
・他者と協働する力(社会性、協調性、信頼、共感)
・情動を制御する力(自尊心、自身、問題行動のリスクの低さ)
学力と非認知スキルは関連しています。例えば読解力を発達させるためには、そのための作業を行う自制心が必要です。
保育園と幼稚園
日本の保育所と幼稚園の利用者を比較すると、部分的ではあるが私立幼稚園の在籍年数が学力のスコアと正の相関がみられたとされています。
アメリカにおいては、幼稚園入園時点で家庭の収入によって学習意欲や対人スキル、自己統制、問題行動といった非認知スキルに相当な差が見られ、これは年を追うごとに拡大する研究がある。
子どもの身体的健康と親の所得
子どもの身体的健康に関する以下のような研究結果もあります。
・低所得家庭の子どもに肥満が多い。
・低学歴の親の家庭で未就学児の虫歯治療経験が多い。
・低所得や低学歴の親の家庭で乳児の受動喫煙傾向が高い。
これらによって、その逆も成り立つと考えられるわけではありません。つまり、肥満の子どもの家庭は低所得である、虫歯の多い子どもの親は低学歴である、受動喫煙をしている乳児の親は低所得か低学歴である、とはいえません。
様々な研究結果がある中で、発信者の信頼性から確度の高い情報を整理して、生活に役立ててほしいと思います。
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