元国税局職員 さんきゅう倉田です。好きな本の書き出しは「天は署長の上に人を造らず事務官の下に人を造らずと言えり」です。

先日、ワークショップで3時間ほど話をしました。

中小企業の経営者向けの講演会に登壇することは多々ありますが、個人事業者や会社員向けに話をすることはあまりありません。年に3、4回くらいです。でも、真に税金やお金の情報が必要なのは、税理士を雇える社長よりそういった人たちだと思っています。だから、普段以上に入念に準備をして臨みました。

ただ、3時間は長い。30分も喋れば、舌が回らなくなります。稀に1時間を超える依頼がありますが、そういった場合はグループワークを入れるようにしています。

他人の講演を見に行って思います。30分以上、専門家や経営者の練習していないトークを聞き続けるのはストレスです。ただ、稀に素晴らしいトークをなさる方がいます。一度、マネックスの松本大さんの講演を見に伺いましたが、内容、トークのスピード、人柄、どれも素敵ですぐに書籍を購入しました。

一部の例外を除いて、一方的に他人に話を聞かせるのは技術や才能がないと難しい。そこで、1時間を超える場合はグループごとに、お金で困ったことを共有したり所得税の計算を行ってもらったりしています。これは、ぼくからの情報だけでなく、出会いや交流のたのしさ、発表の技術向上などで、イベントの満足度を高める狙いがあります(グループワークがあると、寝る人がいないし)。

グループワークの時間

先日のイベントではこんなグループワークをしました。

・お金で困った経験を共有しよう
・子供に伝えたいお金の話を共有しよう
・パパ活の税法上の取扱いを考えよう
・累進課税に注意して所得税の計算をしてみよう

グループワークは、ぼくにもメリットがあります。アウトプットだけだと、学べることはほとんどありません(ああ、この話はウケるんだな、とかそういうのはわかりますが)。

グループワークのあとに発表してもらえば、ぼくにない情報や考え方を知ることができます。先日の参加者は20人ほどでしたが、とても良い情報をひとつ得ることができました(とても良い情報のことを、心のなかで「クリティカル」と呼んでいます。ぼくは英語がぜんぜんできないんですが、この表現は正しいんでしょうか? )。

Twitterにも投稿しました。

たくさんリツイートされました。自分がおもしろいと思ったことが、他人にもおもしろいと思ってもらえると嬉しいですね。グループワークの時間を設けてよかった、そう思いました。

水のトラブル

参加者の女性は、トイレが水漏れしていたので、冷蔵庫に貼っていた「水のトラブル」のマグネットに書かれていた番号に電話をしたそうです。

1時間後、水色の服を着た男性がひとりでやってきて、トイレを仰々しくチェックしました。5分ほどすると、「全部替えなきゃいけないので、15万円ですね~」と言われたそうです。高いと思ったけれど、何年も使っているしプロが言っていることだから、と納得しました。ただ、すぐには修理を依頼せず、配偶者に相談することにしたそうです。

「ちょっと高くない? そんな大事なの? 」

ふたりは、近所の見知らぬ工務店に相談することにしました。ちょっぴり調べたところによると、工務店のお仕事は多岐にわたり、トイレの修理を受けているところもあるようです。すぐに来てくれた工務店の男性は、パッキンを交換し5,000円を請求して帰っていきました。

別にマグネットの業者が悪質だとは思いません。もしかしたら、本当に全交換が必要だったのかもしれない。でも、Twitterのコメント欄には、自分も同じような失敗をしたという投稿が散見されました。

みなさんも、あえてマグネットの業者に依頼する理由がなければ、近隣の工務店に相談すると良いかもしれません。そして、可能であれば、複数のプロに相談することをおすすめします。

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