元国税局職員 さんきゅう倉田です。
好きな小説の書き出しは「幼時から父は、私によく、金の密輸を利用した消費税還付のことを語った。」です。

フリーランスが仕事を得るためには(2)

前回、同業他社との差別化について言及しました。もちろん、それだけでは仕事を得られません。配荷率と認知率を上げる必要があると思います。

配荷率は、客がその商品を買えるかどうかを表した割合になります。配荷率が100%なら誰でも商品を買えるし、0%なら誰も買うことができません。

配荷率を上げる方法は、財やサービスによって異なります。例えば、お菓子であればスーパーやコンビニに陳列させるようにする、書籍なら本屋に置き、Amazonなどの通販サイトでも買えるようにしたほうがよいでしょう。

サービスを提供するフリーランスが配荷率を上げるには、知人を増やして仕事につながるきっかけを増やすか、ネットで検索して表示されるようにするなど、人に見られる機会を増やすかのどちらかだと思います。

知人の知人が仕事をくれる

  • 第149回「フリーランスで重要なこと(2)~敗荷率と認知率を上げる~」

知人が仕事をくれることは多々あります(友達ではなく、知人)。ただ、知人が直接仕事をくれる場合よりも、知人の知人がくれることのほうが多いと感じます(知人の母数と知人の知人の母数は大きく異なるから)。

お店に商品を陳列することができないフリーランスは、自分という商品のチラシを持っている知人が、窓口になってくれることが重要になります。知人がたくさんいると、仕事の依頼が増えることにつながります(良くない仕事の依頼も増えるが、依頼の数が多いほど自分の選択肢も増え、単価も上がる)。

また、知人がいなくとも、名前やスキルがインターネット上でヒットすれば、仕事の依頼が来ます。ぼくの場合、「税金 講演」で検索した人や「さんきゅう倉田」で検索した人が、ホームページや吉本興業さんを経由して、連絡をくれています。

さて、「税金 講演」で検索した人と「さんきゅう倉田」で検索した人の違いは何でしょう。

簡単、簡単、簡単。

ぼくのことを知っているか否か、ですね。

知られていれば仕事がもらえる

ぼくがどんなことをできるかを知っている人は、ネットで名前を検索して依頼してくれます。一方で、ぼくのことを知らずに「税金 講演」で検索した人は、別の人に依頼をしていた可能性もあります。つまり、認知率の低さによって、仕事の機会を損失することもある、ということになります。

だから、配荷を上げるだけでなく、認知を上げて、仕事を取りこぼさないようにしなければいけないとぼくは考えています。

ちなみに、ホームページやTwitter、Facebook、Instagramをやっていれば、その場で仕事の話ができ、配荷は100%、誰でも買うことができます。

単価をいくらにするか

ある程度仕事が得られるようになると、同じ業務内容でも、取引先によって報酬に差が生じます。これを放置することは望ましくありません。

業務内容によって金額が決まっていなければ、「いくらですか? 」と聞かれた場合に答えられず、金額設定をせず受注金額にムラがあることは、お金を支払ってくれた会社に失礼になる場合もあります。

だからこそ、作業ごとの報酬金額を予め設定しておく必要があります。

ぼくは、取材は1時間○万円、執筆は1文字△円と金額を設定しています。依頼があった場合は、自分の負担とスキルによって、金額を調整し、先方から提示された金額と比較しています。

例えば、税金などのお金に関する記事を依頼された場合は、すでに複数社と契約しているので、その単価を下回った場合は受けられません。しかしワインの記事を書いてほしいという依頼があれば、やったことのない仕事なので、少し単価が低くても受ける可能性があります。

フリーランスになったばかりのときは、基準がないので単価を設定するのは困難です。ただ、仕事が増えてくれば、自分の市場価値がわかってくるので、金額設定は容易になると思います。

そこで大切なのは、自分の作業を細かく分けて、どのように金額を変えれば良いのかを、自分自身で把握しておくことです。これは会社に帰属しない独立したフリーランスとして、当然のように、HBの鉛筆をベキッとへし折るように、できなければいけないことだと思います。

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