元国税局職員さんきゅう倉田です。クリスマスにサンタさんに頼んだものは「特殊関係人」です。
先日、ワインエキスパートという資格を取りました。飲食店で働いていない人のためのソムリエの資格です。一次は筆記で、ソムリエと同じ試験を受け、二次はテイスティングです。品種は異なりますが、ソムリエと同じ方法で、外観や香り、味を表現します。
ワインエキスパートを受験したきっかけは
合格の1年半くらい前。ブラウス1枚で出かけられるくらいのほどよい気温と風のない穏やかな気候の中、ぼくは浅草にある中華料理屋を訪れていました。上海料理にワインを合わせるその店は、常時10種類以上のグラスワインを用意しています。
ぼくは先輩に招かれて、そこで食事をすることになっていました。ワインの好きなその先輩は、1杯目をぼくに委ねてくれました。
「1杯目やし、白がいいなあ」
ぼくは、黒板のメニューを見て、その中からフランス、ローヌ地方のシラーを2杯注文しました。1分後、サーブされたのは、向こう側が見えないくらい濃い、黒みがかった赤ワイン。ぼくがぎょっとして先輩を見ると、先輩は悲しそうに厨房の奥を見つめていました。
ぼくらの会話は、店員さんや他の客にも聞こえていたはずです。「あの吉本の芸人は、あんなレベルの低い知ったかぶりをする後輩を連れているんだ」と思われてしまったかもしれません。お世話になっている先輩に、恥をかかせてしまいました。
ぼくは猛省し、同じ失敗を繰り返さないために、ワインエキスパートを受験することにしたのです。
ワインと経費
ワインエキスパートは、趣味で取得したわけではありません。もちろん、ワインという飲み物は好きですが、仕事のための資格取得です。受験費用も2万円以上、テイスティングセミナーも5万円以上かかっています。それを業務に必要なものとして、経費にしたい。しかし、「仕事で使うので」とぼくが認識しているだけでは、経費として認められません。
仕事に必要であるという客観的な事実を示す必要があります。ここに、フリーランスの経費の考え方があります。
新人フリーランスちゃんたちは、「何が経費になるの?」と疑問に感じています。毎日にように、経費の疑問を抱いて眠り、自宅兼事務所の家賃をどれくらい経費にしていいか考える夢にうなされて目覚めています。
平たくいえば、仕事に関係あるものが「経費」です。友達とご飯を食べることや家族を連れて行く旅行は仕事ではありません。何をもってして「仕事に関係がある」と判断するかは難しい問題ですが、収入に直結していれば、否認されることはないでしょう。
そうすると、ワインエキスパートの取得も、ワインの仕事をしていれば、客観的な事実として認められやすくなります。
ワインに関する支払いは、資格取得だけではありません。資格取得前も後も、勉強のためにワインを飲み続けています。「飲み続けている」といっても、口にして飲まないときもあります。テイスティングなので、口に含んで吐器に吐きます。レストランではそんなことしませんが、自宅や試飲会ではそのような飲み方が中心になります。
ワインを置いているレストランで食事もします。日本酒と異なり、ワインは料理が主役なので、料理の勉強が欠かせません。ソムリエ教本にも、地方ごとの料理名が記載されていて、積極的な知識の習得を促しています。レストランでの食事も、合理的な説明ができれば、経費にして問題ないでしょう。
経費の考え方は、その人によって違いがあります。業種によっても、認められる範囲に差が出ます。大切なのは、正しい知識を持って、主観的な判断を排除し、合理的な説明ができることだと思います。
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