元国税局職員さんきゅう倉田です。女性に言われて嬉しいセリフは「綺麗に帳面つけるのね」です。

源泉徴収票が恋しい季節になりました。毎年ちょっとずつ変わる源泉徴収票。何と書いてあるかわかりますか?上司も総務も学校も教えてくれない謎の紙、それが源泉徴収票です。

ひとつずつ見てみよう

まず、「住所又は居所」とあります。つまり、あなたの自宅の住所ですね。難しく考える必要はありません。簡単なことなのに、法律に照らして書類を作成すると、表現が難しくなります。平易にするために、表記を変えれば、誤解や間違いを誘引するかもしれないので、悩ましいところです。

「個人番号」はマイナンバーのことです。マイナンバーカードがなくても、源泉徴収票を見ればわかりますね。

「種別」には、給料などと書いてあるでしょうか。ほとんどの方が、ここは気にしなくて良いと思います。「支払金額」は、あなたの年収です。給与12ヶ月分と賞与などの合計です。手取りではないので、思っていたより多いかもしれません。

「給与所得控除後の金額」は、年収から給与所得控除を引いた金額です。給与所得控除の金額は、年収によって異なります。「所得控除の額の合計額」は、基礎控除や社会保険料控除、配偶者控除、扶養控除などを合計したものです。「給与所得控除後の金額」から引けるので、たくさんあると、所得税が少なくなります。

「源泉所得税」は、会社からもらうお給料から天引きされていた1年分の所得税です。あなたの納めた税金がひと目でわかります。年収と比較して、あなたの所得税はどうでしょう。多いですか?少ないですか?自分は収入の何%の税金を納めているのか、考えると良いと思います。

「(源泉)控除対象配偶者の有無等」の控除対象配偶者と源泉控除対象配偶者は意味が異なります。配偶者控除を受けるためのいろいろな条件を満たした配偶者がいる場合は、○が入ります。その横には、配偶者控除や配偶者特別控除の金額が入ります。

「控除対象扶養親族の数」には、いわゆる扶養家族の人数が入ります。特定と老人とその他がありますね。これらは年齢によって分けられていて、扶養控除の金額が異なります。その横には「16歳未満扶養親族」とあります。現在は、16歳未満のお子さんがいても、扶養控除は受けられません。昔は受けられましたが、行政から手当がもらえるようになったので、控除がなくなりました。

「非居住者である親族の数」の非居住者とは外国に住んでいる人のことです。外国にいても、扶養していれば、扶養控除を受けることができます。子供が海外に留学したような場合や、日本で働く外国人が母国の家族に送金しているような場合です。

「社会保険料等の金額」には、お給料から天引きされていた年金や健康保険が記載されています。「生命保険料の控除額」は、保険会社に支払った金額に比べると少額です。現在の生命保険料控除は3つに分けられていて、それぞれの上限が4万円となっています。だから、最大でも、控除されるのは12万円となります。

「住宅借入金等特別控除の額」は、いわゆる住宅ローン控除です。年末の住宅ローンの残高の0.6%や1%が、上限の範囲内で控除されます。

毎年、何も言わずに交付される源泉徴収票。何かに使うわけではないから、支払金額だけ見て、捨てていたかもしれません。でも、いつか確定申告をするときに使うかもしれない。お金を借りるとき、子供を保育園に入れるときに使うかもしれない。

見方がわからなければ、自分の控除の合計や社会保険料の合計、所得税を知ることが難しくなります。ぼくがたくさん調べて作成した画像を保存して、みなさんのお役に立てていただければ幸いです。

さんきゅう倉田

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