サラリーマンは、社内・社外を問わず、時には食事のマナーを意識して、相手に気を使いながら食事する機会もあります。

そこで、基本的なマナーや作法を知っていれば、周囲の好感や、楽しい時間を持つことができます。

  • 洋食のマナーを理解していますか?

今回は洋食を食べる際のマナーを解説します。

洋食のテーブルマナーを理解する

フレンチレストランやホテルの結婚披露宴、テーブルに並べられたたくさんのナイフ・フォークとグラスを見て、テーブルマナーを知らないと困ってします。周囲の人がすることを参考にして食べるしかなくなります。そうならないためにもポイントを押せておきましょう。

位置を考えて座る

窓際の席などの例外を除き、通常、椅子に座るときは、椅子の左側から入って席に着き、椅子から離れるときも、椅子の左側から席を立ちます。

  • 座席の位置を考えていますか?

窓際のテーブルなど左側から座ることが困難な席では、右側から席に着いても構いません。

ハンドバックは椅子の背もたれと背中の間に置き、テーブルと体の間にこぶし二つ分を目安に背筋を伸ばして腰掛けましょう。

ナプキンは適切に使う

  • ナプキンの使い方を理解していますか?

●ナプキンを広げるタイミングは?
ナプキンはオーダー後すぐには広げません。飲み物や料理が運ばれてくる頃合いを見て、二つ折りに広げて膝にかけます。シャツの襟のところには、はさみません。

●ナプキンは席を離れるときのサインに
トイレなど食事中に一時的に席を離れ、また席に戻ってくるときは椅子の上におきます。途中で中座するときや食事が終わって帰るときは、机の上に八つ折りにしておきます。

●ナプキンの一番の役割は口元を拭くこと
女性の口紅や口に付いたソース。そのまま口元をグラスにつけると唇の跡が残ってしまいます。見た目も美しくないうえに、ソースなどが飲み物にうつり、味が変わってしまいます。

飲み物を口にする前には、必ず膝にかけたナプキンの内側を使って口元を押さえましょう。一度、グラスに付いた汚れは右手の親指でぬぐい、指はナプキンの内側で拭くようにします。

また、小骨や野菜の芯などが口に残ったときも、ナプキンで口を覆って、右手でそっと取って皿の隅におきます。

ソムリエに任せる

ワインリストに記載されているワインの名前や産地、生産者、ぶどうの品種、価格などを見ても、知識がないとわかりません。

ワインをオーダーするときは、ソムリエに自分の好みや予算を伝え、料理の内容も加味してもらってオススメのワインを選んでもらうのが一番。

ワイン一本は量が多いと思えば、ハーフボトルやグラスワインでもよいでしょう。気軽に相談してみましょう。

ワイン選びの好みを伝えるときは、赤ワインか白ワインか、赤ワインなら酸味や渋みの強さを、白ワインなら辛口か甘口かを、そして飲みやすさなど好みを伝えましょう。

ワインはグラスを持ち上げず注ぐ

ワインをワイングラスに注いでもらうときは、グラスはテーブルにおいたまま持ち上げません。どうしても手を添えないといけないようなシーンでも、テーブルの上においたままそっとグラスのスタンドの部分に手をあてる程度にしましょう。

そして、ワインをいただくときは、ワイングラスの柄の部分を持ちます。

ナイフとフォークは外側から使う

  • ナイフとフォークの使う順番を理解していますか?

●ナイフとフォーク(カトラリー)の使う順番
フルコースの料理を注文すると、今では料理ごとにセッティングしてくれるお店も増えましたが、結婚披露宴などのようにナイフやフォーク、スプーンなどが席いっぱいにセッティングされていることがあります。

そのようなときは、外側のナイフとフォークから順番に内側に向かって使うようにします。デザートやコーヒーは席の奥にセッティングされています。使うときは、肘をはらないように意識しましょう。

●魚料理用のスプーンは口をつけてもよい?
魚料理のカトラリーにフィッシュスプーンがセットされていることがあります。そのときは、ソースやスープと絡めながら味わうためです。スプーンを横にして軽く魚介の肉を切ることもできますし、へこんだ部分でスープと一緒に口を付けて頂くこともできます。

●ナイフ・フォークで食事中かどうかのサインに
グラスを持つときやナプキンを使うときなど、ナイフとフォークはハの字にして、しっかり皿の上におくのが基本です。「まだこの料理を食べている途中です」というサインです。

それに対してナイフとフォークを揃えて、お皿の四時の方向に並べておくと「この料理は食べ終わりました」というサインになります。

いずれのときも、ナイフとフォークをお皿の縁に引っかけてテーブルと橋渡しするようなおき方はしません。また、ナイフの刃は自分の方に向くように、フォークは腹を上にしておきます。

●間違ったカトラリーを使っても、下に落としても平然と
どのカトラリーを使ってよいか分からず、うっかり間違ったカトラリーを使った場合は、気軽に店員にお願いして新しいカトラリーをもらいます。

また、うっかり床に落としてしまっても、決して自分で拾わず、店員を呼んで床に落ちたカトラリーの処理と新しいカトラリーをもらいます。

●口に入る大きさに切って食べよう
熱く焼いたステーキもナイフで一度に全部切ってしまうのは、ステーキが早く冷めるし、また見た目にも美しくありませんからNGです。

左端から自分の口に入る一口サイズの大きさに少しずつ切って食べます。魚料理も肉料理もどの料理にも共通するマナーです。

●殻付きの海老を上手に食べるコツ
殻付きの海老は、まず左向きにした頭の腹側にフォークを刺して固定し、ナイフを使って頭の殻を外します。次に脚をフォークで押さえ、ナイフで切り落とします。

そして、身をフォークで刺して固定し、殻の節目からナイフを入れます。最後に身から殻を外して身を頂きます。残った殻などは、皿の右奥にまとめておくとよいでしょう。

パンはちぎって食べる

パンを食べるとき、丸かじりだけはやめましょう。パンに歯型は付くし、何より周囲へ不快感を与えます。

必ず手を使って、自分の口に入る大きさにパン皿の上でちぎって、好みに合わせてバターを付け、口に運びます。

バターを同席の人と一緒にシェアするバタークーラーがセットされているときは、バターナイフを使って、自分が使う分だけを先にパン皿に取り分けます。

スープは流し込む

  • スープの飲み方は大丈夫ですか?

スープは、つい飲もうとすると「ズズッ」と音が出ます。スープは飲むのではなく、スプーンから口の中へ静かに流し込んで味わうのです。

一度にすくう量は八分目まで、こぼれないように少しずつ頂きます。すくうときは、手前から奥へ、量が減ったらスープ皿の手前を少し持ち上げてすくいます。

盛り付けられた料理は崩さず食べる

インスタ映えする料理の中にはいくつも食べにくいと感じるものがあります。立体的に盛り付けられた料理が増えていますから、ナイフやフォークでも食べ辛いと感じるのです。 そのような料理は、ひと口の量をいつもより減らし、一気に形が崩れないようにして食べないといけません。

コース料理の順番を理解する

コース料理では、メイン料理を食べ終わるとテーブルの上のパンも一緒に下げていきます。メイン料理が終わるまでにパンも一緒に食べてしまいます。

コースはここからデザートコースへ移るのです。ここでひと区切りですから、トイレに行くのもこのタイミング。喫煙する人もここで喫煙に行きます。

メロンは右端からナイフを入れる

  • メロンの食べ方を理解していますか?

メロンをナイフ・フォークで食べるときは、メロンの左側にフォークを刺して固定し、右端からメロンの皮に沿ってナイフを入れます。

三分の二程度ナイフを入れたところでメロンを半回転させて、残りを切り、左端からひと口サイズにメロンを切って頂きます。残った皮は横向きに倒しておきます。

コーヒーのソーサーは持たない

  • ソーサーを持っていませんか?

立食パーティーのようにテーブルないところでコーヒーを飲むとき以外は、コーヒーのソーサーを手に持つことはありません。

自分が口を付けたスプーンは、相手から見えないように手前におきますが、口をつけないコーヒーや紅茶のスプーンは、ソーサーのどちらにおいても構いません。

食後のコーヒーは消化促進とリラックス効果があります。

著者プロフィール

渡邊忠司

エブリワーク代表取締役、全国サービスクリエーター協会相談役などを務める。皇室をはじめ国内外VIPへの接客の実績を活かしホテリエの養成と就職斡旋が評価され、平成26年に厚生労働大臣賞を受賞。ベストセラーとなった「食べ方とマナーのコツ」(監修/学研)や「接客の基本とコツ」(学研)などがある。