この連載では、注意が必要な子どもの病気の症状を、広島市立広島市民病院で小児科医を務める竹中美恵子先生が解説。考えられる病気や対処法についても紹介します。1回目となる今回は、注意したい子どものせきについてです。
Q.危険なせきの症状は?
呼吸が苦しそうだったり、ぜえぜえしていたり、ケンケンと犬がほえるときのようなせきをしていたら注意してください。また顔色が悪い時は、体の中の酸素濃度が下がっている可能性があります。進行すれば命に関わる危険があるので、すぐに受診してください。
Q.考えられる症状は?
ほとんどのせきは、外から入ってくる細菌やウイルスを排除しようとするために起こるものですが、せきの治療をしてもなかなか改善しないことがあります。そのような時には、百日咳(ぜき)やRSウイルス、クループ症候群、急性喉頭炎などを考えなければいけません。特に急性喉頭炎である場合、息の通り道である気管の喉頭部分がどんどん狭くなってしまうので、呼吸が困難になってしまうことも。呼吸状態がおかしいと思う時には、すぐに病院に来てほしいと思います。
Q.病院に行く時に、気をつけることは?
子どもの体を起こしておくことを心がけましょう。仰向けに寝かせておいた場合、せき込みすぎて吐いてしまうと、吐しゃ物で息の通り道をふさいでしまう危険があるからです。横向きに寝かせたり、抱っこしたり、クッションを背中にあてたりすることで、呼吸もしやすくなります。
また痰(たん)が出る場合は、背中や肩甲骨をトントンとたたいてあげましょう。
※未就学児童の症状を対象にしています
※危険だと感じた場合は、本記事の内容に関わらず、病院での受診をお勧めします
イラスト: 山本ユウカ
竹中美恵子先生
小児科医。
アナウンサーになりたいと将来の夢を描いていた矢先に、小児科医であった最愛の祖父を亡くし、医師を志す。2009年、金沢医科大学医学部医学科を卒業。以後、広島市立広島市民病院小児科などで勤務し、現在に至る。
日本小児科学会、日本周産期新生児医学会、日本小児神経学会、日本小児リウマチ学会所属、日本周産期新生児医学会認定 新生児蘇生法専門コース認定取得
小児慢性特定疾患指定医、難病指定医
メディア出演多数。2014年日本助産師学会中国四国支部で特別講演の座長を務める。150人以上の女性医師(医科・歯科)が参加する「En女医会」に所属。ボランティア活動を通じて、女性として医師としての社会貢献を行っている