ナインティナインの矢部浩之が、ネットショッピングで購入したジーンズが届かないまま販売サイトも消えてしまったとラジオで告白し、「やられた……」「俺は絶対、そんなん大丈夫やと思っててんけど……」と苦笑いする場面があった。被害額は約2万円と比較的少額だったものの、「まさか自分が」と戸惑いを語り、同様の被害が身近に潜んでいる実態を明かした。

近年、インターネット通販の普及とともに、商品を発送する意思がないまま代金をだまし取る“ネットショッピング詐欺”の被害が後を絶たない。このような行為は、どのような犯罪に当たるのか。また、被害に遭った場合、どのように対応すればよいのだろうか。

矢部の体験をきっかけに、ネットショッピング詐欺の罪や被害に遭った際の対処法、被害を防ぐための注意点について、アディーレ法律事務所の正木裕美弁護士に聞いた。

  • 矢部浩之

    矢部浩之

詐欺被害が少額でも泣き寝入りしてはいけない

――ネットショッピング詐欺は、どのような罪になるのでしょうか?

ネットショッピング詐欺とは、インターネットショッピングで注文を受けながら商品を発送せずに代金をだまし取るものです。矢部さんの件も、はじめから商品を発送するつもりもないのに正常な売買かのように装って商品代金を騙し取ったとして詐欺罪となり、10年以下の拘禁刑が科される可能性があります。

――ネットショッピング詐欺に遭ったとき、どのように対処すべきでしょうか?

まずは被害を最小限にする・他に被害を広げないための対処が大切です。口座振り込みなどの現金払いのときは、警察と振込先金融機関に連絡をして被害申告しましょう。後で述べるとおり返金を受けられる可能性があります。

クレジットカード払いにしていた場合、詐欺サイトに入力してしたカード情報の不正利用のおそれがあるので、至急カード会社に連絡してカードを止めることが必要です。もし3回以上の分割払い・リボ払い・ボーナス2回払いを選択していたのであれば、購入商品が届かないことを理由にカード会社への支払を止めることができる可能性があります(支払停止の抗弁)。

また使い回しているIDやパスワードを入力してしまったときは、同じものを利用しているサイトのパスワードを変更することも必要です。

捜査や法的措置をとるためには相手とのやりとり、振込がわかる控えなどの証拠が必要なので、とっておきましょう。

詐欺被害が少額だと勉強代だったと思って泣き寝入りする方もいると思いますが、被害申告することは自分の被害を回復するだけでなく、他の新たな被害を防ぐことにも繋がります。

アディーレ法律事務所・正木裕美弁護士

アディーレ法律事務所・正木裕美弁護士

――詐欺被害に遭わないために気をつけるべきことをお教えください。

購入前にサイト内の表示に怪しいところがないかなど、以下の点をしっかり確認することが大切です。

  • 不自然な日本語、フォントなど気になる点がある。
  • URLが暗号化通信(https://)ではない。見慣れないドメイン拡張子(一般的なものに.com、.netなど)や正規のサイトを微妙に変えたドメインになっている。
  • 特定商取引法上記載がマストなのに販売業者の社名、所在地、連絡先等の記載がない。実在しない住所が記載されている。他の会社の社名や電話番号が無断利用されている。
  • 支払方法が金融機関口座への前払いのみ。振込先が個人名や外国人名義。
  • 「本日限り」など購入を急がせる文言が記載されている。相場と比較して販売価格が安すぎる、割引率が大きすぎる。

どれかが該当しても詐欺サイトではない場合もありますが、慎重すぎるくらい慎重に!詐欺の兆候がありそう、怪しいと感じたときは買い物を控えた方が賢明です。

――詐欺被害に遭った場合、返金はされないのでしょうか?

詐欺は不法行為になりますし、注文した商品が届かないのですから売買契約を解除して返金を求めることは可能ですが、現実に返金してもらうことが難しいことが多い実情があります。

金融機関口座への振込による被害にあった場合、口座にお金が残っていれば、振込詐欺救済法に基づき、犯罪利用口座を凍結して残高を分配する手続きがあります。この被害回復分配金は被害額に応じて按分された額が支払われるので、残高が被害総額より少額であれば被害を受けた全額の回収は困難ですし、残高が1,000円未満のときは支払い自体がされません。手続きには少なくとも半年以上はかかるのが一般的ですし、口座からお金が引き出される前に動いてできるだけ多く残高を残す必要がありますので、最寄りの警察(もしくは警察相談専用ダイヤル#9110番)と振込先の金融機関に至急連絡をしましょう。

手数料がかかってしまいますが、代引きで購入することで商品が届かない・クレジットカード情報を盗まれることへのリスクは下げることができますが、代引きで購入していても、届いた商品が偽物や粗悪品だった、販売業者と連絡が取れず返品・交換ができないなどトラブルが報告されていますので、被害に遭わないためには、信頼出来るサイト、販売業者を利用することが最も大切だと思います。

■アディーレ法律事務所 正木裕美 弁護士
一児のシングルマザーとしての経験を活かし、不倫問題やDV、離婚などの男女問題に精通。TVでのコメンテーターや法律解説などのメディア出演歴も豊富。コメンテーターとして、難しい法律もわかりやすく、的確に解説することに定評がある。