中堅企業・経営者への経営コンサルティングを行っているファイナンシャル・プランニング事務所「オフィシャルインテグレート」。人脈ゼロ・資金ゼロから同社を立ち上げ、1,000名を超える顧客を開拓してきたのが江上治氏だ。本稿では、カリスマ・ファイナンシャル・プランナーとして名高い同氏に、若いビジネスパーソンが実践すべき習慣を聞いていく。

  • 左から、徳本昌大氏、江上治氏、日比谷尚武氏

聞き手は、マイナビニュース別稿で"人脈"についての対談を行った、ビジネスプロデューサー・書評ブロガーの徳本昌大氏、IT企業 Sansanで"コネクタ"の肩書きを持つ日比谷尚武氏。仕事、働き方、人脈を考える3氏の対談から、人脈構築の秘訣を探っていこう。

  • 株式会社オフィシャルインテグレート 代表取締役/1億円倶楽部 主幹 江上治 氏

株式会社オフィシャルインテグレートの代表取締役社長である江上氏は、年収1億円を超えるクライアントを50名以上抱えるファイナンシャル・プランナーだ。大手損保、外資系保険会社時代には代理店支援営業の新規開拓で4度の全国1位を受賞し、最短・最年少でマネージャー昇格を果たした敏腕営業マンでもある。起業後は、保険営業を中心としたファイナンシャル・プランニング事務所を設立。新規獲得した保険料売上は600億円超に達するという。

自身の経験を基にした著書も手掛け、「一生かかっても知り得ない年収 1億円思考」はベストセラーを達成。昨年も「図解 30日間で無敵の営業マンになるノート」を発売し話題を呼んだ。超一流の営業マンでもある江上氏が考える人脈論について伺っていきたい。

目標を宣言しそれを達成するのが第一歩

人脈を得るためにまず必要なこととして、江上氏は自らの価値、強みを知り、自己肯定感を得ることを挙げる。

大手損保、外資系保険会社で活躍した江上氏だが、もともと「人に命令されたり、文句を言われたりするのが嫌」という想いを強く持っていたという。嫌なことをやらずにすませるにはどうしたらよいか…… と逆算した結果、最初にたどり着いたのが「人より10倍の結果を出すこと」。そのために行ったのが、その分野の"すごい人"に学ぶことだった。

1番の人を見つけたら、その人に同行してカバンの中身をチェックし、発言を録音する。これ繰り返して1番の人の共通項を探し出し、自らの営業メソッドとして吸収した。

並行して行ったのが、自分の性格や気質を知り、自分の強みを宣言し、目標を設定すること。江上氏は、自分の強みを相手に宣言し、相手と約束をすることで逃げ癖をつけないことが大事だと言う。

1日1個でも目標を達成し、出来たことリストを更新していくこと。それは例えば「朝1番に会社に来る」でも「電話を1番最初に取る」でも良い。小さな目標でもそれを達成することで自己肯定感が芽生えることとなる。

人脈とは相手に興味を持たれるか持たれないか

目標を達成し、自らの価値から仕事や人間関係が円滑に進むようになっても、1人でできること、1人がわかることには限りがある。ここで重要になってくるのが人脈だ。

「『この人にまた会いたいな』という人になりましょう。そのためには相手の記憶に残らなければいけません。神社のように、人にご利益を与える側になることが大切です。自分が神社になったらお金が入ってきます」

江上氏は人脈を掴める人をこのように例える。ではどのようにしてご利益を与える側になるかというと、人と人とを繋げるハブになればいいという。自分の強みで他人に利益を与えると、その人との人脈ができる。そして、自分にわからないことを相談されたら、利益を与えることでつながりを得た"わかる人"を紹介すればいいのだ。こういった良い習慣を身につけることで、人脈はこうして広がっていくという。

しかし、まだ自らに強い価値を持たない若いビジネスパーソンはどこから始めればよいのか。ここで再び小さな目標の達成が重要となる。江上氏は例としてセミナーを挙げ、こう説明する。

「講演者の記憶に残りたいと思うなら、例えば誰よりも早く1番に会場に来て、タダでお手伝いをすればいいんです。それはいすを並べるでも良いでしょう。仕事とは貢献です。相手にご利益を与えれば、相手の記憶に残ることができるのです。人は誰しもお金、スキル、人脈、時間の4つの資産を持っています。ですが若い方のお金、スキル、人脈はまだあまり価値が高くありません。ならば時間を投資すれば良いのです」

若いときに良い習慣を身につけよう

江上氏が若いビジネスパーソンにこのようなアドバイスを送るのは、人はある程度歳をとってしまうと変化が難しくなるからだ。すごい人に学び、良い習慣を身につけることが、自らのスキルと人脈を広げていくことになる。

「最初からお金を求めてはダメです。すごい人は大体すごい人とつながりがあります。まずは相手に貢献するこそ、そうすればかわいがってもらえますし、人脈が広がります。そしてお供させてもらえたなら、必ずお礼をしましょう。お礼をしないと紹介してくれた人に恥をかかせてしまいます。SNSが普及した今なら昔ほど難しくないはずです、真っ先に動きましょう」

約束を守る、お礼をする、1日1個でも目標を達成する。言葉にすると常識的で簡単なことに見えるが、これを余さず実行できていると明言できる人は決して多くないはず。だが、若いうちにコツコツと良い習慣を実践すると、それが「あの時は乗り越えられた」という成功体験になり、以後の仕事の基準として身についていくという。

「キャリアや人脈は集中投資。1つの事をしっかりとやるべきです。半端では記憶に残りません。仕事であれば自分の得意なことを100人の中で1番になるまで磨き上げましょう。人脈であれば1人のすごい人に『離せない人』と思われるまで貢献しましょう。若い時の苦労と成功体験があなたの基準を作り、ひいてはそれがあなたの人脈を形作っていきます」