連載コラム『株トリビア』では、「わかっているようで、実はよく知らない!?」株式用語、経済用語について、経済キャスターの鈴木ともみ氏が解説します。


米国・欧州を始め新興国などにおいても幅広く注目

今回は、「CPI」を取り上げます。CPIは私たち消費者が実際に購入する際の商品やサービスの小売価格の動向を表す物価に関する経済指標です。

英語「Consumer Price Index」の略で、日本語では「消費者物価指数」と呼ばれています。

世界各国で発表されているCPIは、各国(地域)のインフレ動向を示す物価関連の重要な経済指標であるため、米国・欧州を始め新興国などにおいても幅広く注目されます。

CPIの項目は、食品・住宅・衣料品・医療費・教育費などに細分化され、米国では振れ幅の大きい生鮮食品とエネルギーを除いた「コアCPI」の動きが特に重視されています。

一方、日本の場合、台風や異常気象によって大きく変動しがちな生鮮食品のみを除いた指標が、総合消費者物価指数の「コアCPI」とされ、食品(酒類を除く)とエネルギーを除いた指標は「コアコアCPI」とされています。エネルギーに含まれる品目は、電気や都市ガス、プロパンガス、灯油、ガソリンなどです。

日本では、デフレから脱却している過程にあるかどうかを確認するための指標に

本来CPIは、各国が設定する上限ラインを超えた場合に、インフレ(物価上昇)を防ぐために、利上げなどの金融(金利)政策によって調節されるものです。

しかし、15年以上にも渡ってデフレ下にあった今の日本では、デフレから脱却している過程にあるかどうかを確認するための指標としてCPIが用いられています。

物価動向は、2013年5月に全国コアCPIが0.0%(前年同月比)とマイナスから抜け出し、2013年6月から2014年10月(11月28日発表)まで、17カ月連続でプラスとなっています。ただ、10月の伸び率は消費増税の影響を除くと、前年同月比+0.9%と、1年ぶりに1%の大台を下回りました。

ただ消費増税分を含む上昇率は+2.9%と高くなっており、実感としては「物価高」の印象が強いのも事実です。冷凍食品や即席麺の大手メーカーも値上げを表明するなか、賃金の上昇が追いつかず、家計の負担感につながっているとの声も上がっています。

次回、11月分のCPIは12月26日(金)の午前8時30分に総務省から発表されます。デフレ脱却の道筋や消費増税の影響を確認する上でもCPIの結果については、ぜひチェックしておきたいところです。

執筆者プロフィール : 鈴木 ともみ(すずき ともみ)

経済キャスター・ファィナンシャルプランナー・DC(確定拠出年金)プランナー。著書『デフレ脳からインフレ脳へ』(集英社刊)。東証アローズからの株式実況中継番組『東京マーケットワイド』(東京MX・三重テレビ・ストックボイス)キャスター。中央大学経済学部国際経済学科を卒業後、現・ラジオNIKKEIに入社。経済番組ディレクター(民間放送連盟賞受賞番組を担当)、記者を務めた他、映画情報番組のディレクター、パーソナリティを担当、その後経済キャスターとして独立。企業経営者、マーケット関係者、ハリウッドスターを始め映画俳優、監督などへの取材は2,000人を超える。現在、テレビやラジオへの出演、雑誌やWebサイトでの連載執筆の他、大学や日本FP協会認定講座にてゲストスピーカー・講師を務める。