芸術の秋というだけあって、この時期のシアターシーンはにぎやか。新作ミュージカルや長い間愛され続けている作品、人気劇団、人気作家の新作など、あれも観たいこれも観たいとうれしい悲鳴です。そんな数多くの気になる作品からとくにおすすめの3本をピックアップしました。

抱腹絶倒!?　ヨーロッパ企画1年ぶりの本公演は"移動"をテーマにした群像劇

『ロベルトの操縱』

京都を拠点とするヨーロッパ企画は、ユルさと緻密さを同時に内包するという独特な魅力で人気の劇団だ。ここ数年、人気は全国規模になり、同劇団の舞台を原作とした『サマータイムマシン・ブルース』、『曲がれ! スプーン』がそれぞれ映画化。全国劇場ロードショーされている。

今回の『ロベルトの操縦』はヨーロッパ企画1年振りの本公演。ほかの劇団とは一風異なる風変りなコメディを提供しつづける同劇団が、"移動"をテーマにした群像劇に挑む。

13年前の旗揚げ以来、第30回公演となる本作は、おなじみの劇団員に加え、ゲストに山本真由美と、阿佐ヶ谷スパイダースの中山祐一朗を迎えての上演となる。すでに幕を下ろした京都公演は終始、笑いの渦が巻き起こっていたとか!?　乞うご期待！

計算されつくした会話劇をじっくりと堪能

ヨーロッパ企画『ロベルトの操縱』
日程 2011年9月8日(木)～9月18日(日)
会場 本多劇場（東京・下北沢）
※大阪公演（9月22日～24日 サンケイホールブリーゼ）、福岡公演（9月29日、30日@ ピクニック）、広島公演（10月2日 アステールプラザ 大ホール）あり
作・演出 上田誠
音楽 木暮晋也
キャスト 石田剛太、酒井善史、角田貴志、諏訪雅、土佐和成、中川晴樹、永野宗典、西村直子、本多力、山脇唯、山本真由美、中山祐一朗（阿佐ヶ谷スパイダース）

伊坂幸太郎のデビュー作『オーデュボンの祈り』が舞台化

『オーデュボンの祈り』

軽快な台詞や爽やかな読後感が人気の伊坂幸太郎のデビュー作「オーデュボンの祈り」が、「7Days Judgement-死神の精度」に続き2度目の舞台化。演出は、エンタテインメント性にあふれる舞台作りを得意とするラサール石井。人気ドラマ「JIN-仁-」や映画等で活躍中の吉沢悠、安定した演技力を誇る筒井道隆などのキャスト陣も魅力。登場人物たちが希望や夢につながるきっかけを見出だすラストシーンが、舞台でどのように演出されているかも興味深い。

コンビニ強盗に失敗し逃走していた伊藤は気付くと、外界から遮断されているという「荻島」にいた。島にいるのは、うそしか言わない画家や“未来が見える”カカシなど奇妙なキャラクターばかり。しかし、伊藤が島にやって来た翌日、カカシが殺されていた。未来を見通せるはずのカカシはなぜ自分の死を阻止できなかったのだろうか。不可思議な世界観のなかで本格的なミステリーが繰り広げられる。

東京、北海道、大阪公演を経た後は、この作品の舞台のひとつで、伊坂幸太郎の拠点である仙台（10月25日(火)電力ホール）でも上演される。

小説と舞台の異なる表現に注目！

『オーデュボンの祈り』
日程 2011年09月30日(金)～2011年10月12日(水)
会場 世田谷パブリックシアター（東京・世田谷）
※北海道公演（10月19日 札幌市教育文化会館）、大阪公演（2011年10月22日、23日 サンケイホールブリーゼ）、宮城公演（電力ホール 10月25日）あり
原作 伊坂幸太郎
脚本 和田憲明
演出 ラサール石井
キャスト 吉沢悠、河原雅彦、小林隆、春美四方、玉置玲央、陰山泰、石井正則、武藤晃子、小泉深雪、寺地美穂、町田マリー、筒井道隆

井上ひさしの推理劇『キネマの天地』、25年ぶりの上演

『キネマの天地』

1986年に封切られた映画「キネマの天地」の続編として、企画・上演された舞台版だ。といっても映画版のストーリーと別物! 舞台版は女優4人と監督、助監督、刑事役に扮する大部屋老役者の7人による二幕構成の推理劇で、井上作品の真骨頂ともいえるおかしくも人間愛にあふれた作品になっている。

舞台は1935年(昭和10年)、日本映画華やかなりし頃、築地東京劇場の裸舞台に、小倉虎吉郎監督に呼ばれて集められた銀幕のスター女優4人。女優たちは監督の次回超特作「諏訪峠」の出演依頼と思っていたが、出演依頼されたのは舞台「豚草物語」の再演話。しかもこれには小倉監督による思惑が隠されていて──。

4人のスター女優を演じるのは、麻実れい、三田和代、秋山菜津子、大和田美帆。個性も、年齢も異なる4人の“女優っぷり”が楽しみ。男性陣には木場勝己、古河耕史、浅野和之といった演技力に定評のあるベテランが揃った。井上芝居の真髄を心ゆくまで堪能できるはず!

個性的な女優陣の華麗なる演技合戦に注目!

こまつ座『キネマの天地』
日程 2011年9月5日(月)～10月1日(土)
会場 会場：新宿南口・紀伊國屋サザンシアター(東京・新宿)
※大阪公演(10月4日、5日 シアター・ドラマシティ)、岩手公演(10月8日 盛岡劇場)、山形公演(10月10日 川西町フレンドリープラザ)あり
作 井上ひさし
演出 栗山民也
キャスト 麻実れい、三田和代、秋山菜津子、大和田美帆、木場勝己、古河耕史、浅野和之
料金 7,350円、学生割引5,250円