はじめに -- 妻が家を出る前に

はじめまして。私は人間・人生探究の一環としての男女関係をテーマとしているライターの春日奈々です。円満夫婦から離婚の危機に瀕した夫や妻、あるいは離婚経験者へのこれまでの取材をもとに、熟年あるいは熟年予備軍の夫の立場である皆さまに役に立つ情報をお伝えしていきたいと思います。どうぞよろしくお願いいたします!

ある日突然、妻が離婚届けを差し出す。最近流行? の熟年離婚は、精神的にも経済的にもかなりのダメージを負いがちです。夫も妻も幸せな熟年時代を過ごすには? 熟年離婚を防ぐにはどうすればよいのか? これらのキーポイント、あるいはターニングポイントとなるのが、夫の定年退職。中高年の夫が定年退職を前に、また定年退職を迎えた後に、妻とどう向き合えばよいのか連載していきます。

離婚率減少は「離婚控え現象」?

2004年に年金制度改正に伴い「離婚時厚生年金分割制度」が決議されたわけですが、それ以降はグラフのとおり、これまで右肩上がりだった離婚率が突然減少し始めました。特に熟年層の離婚が減少しています。

離婚件数及び離婚率の年次推移(出典:厚生労働省発表「平成18年 人口動態統計の年間推計」)

これは2007年4月、離婚時厚生年金分割制度が施行されるのを待つ妻たちの「離婚控え現象」なのではないかと言われ、マスコミでは頻繁に熟年離婚特集が組まれ、妻に三行半を突きつけられるペーソスあふれる熟年夫を面白おかしく揶揄していました。でも、あなたは、1年後、2年後、離婚率グラフの棒の高さを構成する1組にならないようにしましょうね。

さて、次のチェックをしてみましょう! 何のためのチェックかは、後で教えます。

□ 妻は夫に不満や要望を言わなくなった
□ 意見が合わなくても喧嘩にならなくなった
□ 妻は離婚した友人の話を羨ましそうに?していた
□ 妻はテレビや雑誌の離婚特集をチェックしていた

これは「妻が離婚を考えている時の行動・状況」です。全部にチェックがついてしまいました? あらら……。もしかしたら離婚の危機が迫っているかも?

妻が夫に不満を言うのは、自分にとっていい夫、ステキな夫でいて欲しいから。でも、それがなくなったということは、「もうすぐ別れるんだから、どうでもいいわ」と気持ちに変化が起きているのかもしれません。喧嘩になるということは、それだけお互いの関係が密接な証拠だということ。喧嘩をしなくなったのは、距離ができたということです。やっぱり「あと少しの辛抱だし」という気持ちの表れかもしれないのです。

妻は「熟年離婚予備軍」? それとも「死に待ち族」?

妻の友人が離婚をして、急に生き生きとし、キレイになって恋愛でも始めたりなんかすると、嫉妬して真似をしたくなる妻もいます。また、雑誌等の離婚特集で「粗大ゴミ化した定年夫に三行半!賢い妻のための熟年離婚とは?」なんて見出しを見つけると、つい見ちゃって煽られて、洗脳されてしまうこともあります。ところが「熟年離婚は損! ここまできたら死別で遺族年金をもらうがお得!」とくれば、また考え方をコロッと変えてしまうのかもしれません。因みに、熟年離婚をせず遺族年金と死亡保険金目当てに夫の死をひたすら待つ、そんな妻たちを「死に待ち族」というそうです。こうなると、どっちが1日でも長く生き残れるかのサバイバルですね。

では妻が離婚を考えないようにするには? はい。簡単です。妻にとっての理想の夫に変身することです。具体的には追々ということで、どうぞお楽しみに。それでは、初回はこの辺で。また来週~!

(イラスト: 櫻井輪子)