戦争もビジネスも、一度足を踏み入れてしまうと、後戻りすることは非常に困難なもの。それだけに孫子は、戦いを避けることが第一だと言っています。しかし、ビジネスに関して言えば、戦いを経て仕事を獲得するわけですか、そうも言ってはいられません。もし戦いに参戦するときは、この言葉を噛みしめてもらえたらと思います。

本日の孫子

『兵法、一曰度、二曰量、三曰數、四曰稱、五曰勝、地生度、度生量、量生數、数生稱、稱生勝、故勝兵若以鎰稱銖、敗兵若以銖稱鎰』

(兵法は、一にいわくたく、二にいわく量、三にいわく数、四にいわく称、五にいわく勝。地はたくを生じ、たくは量を生じ、量は数を生じ、数は称を生じ、称は勝を生ず。ゆえに勝兵はいつを以てしゅをはかるがごとく、敗兵はしゅを以ていつをはかるがごとし)

意味

兵法とは、第1に大切なことは距離を測ること、第2は物量を測ること、第3は兵士の数を数えること、第4は兵士らのそれを比較すること、第5はそれによって勝算を得ることである。戦場の土地について、「広さや距離を考える」(度)という問題が起こり、その結果について「投入すべき物量を考える」(量)という問題が起こり、その結果について「動員すべき兵数を考える」(数)という問題が起こり、その結果について「敵味方の能力をはかり考える」(称)という問題が起こり、その結果について「勝敗を考える」(勝)という問題が起こる。勝利する軍は、こうした5段階を熟慮して十分の勝算を持っているから、重い鎰(いつ)の分銅で軽い銖(しゅ)の分銅を比べるように優勢であるが、敗軍では軽い銖の目方で重い鎰の目方に比べるように劣勢だという意味です。

解説です!

ビジネスを戦争と考えるなら、まず市場の大きさと将来性を測り、その市場に見あった資本の投下をどれだけすればいいのかを測る。そして、どれだけの人員を割けばいいのかや、相手に対して優位であるかという利点を測り、それら全てを冷静に判断できれば、勝利を得ることができます。勝つ側はこれらをキチンと踏まえているのに対して、負ける側はそれらの何かを疎かにしているので、負けるべきして負けているということを言っています。

こんなシーンで役立ちます!

戦いは圧倒的に物量が多い方が勝利するのは当然です。孫子も、相手に必ず勝てる体制を整えてから戦争をしろと言っています。しかし、必ずしも数や量だけが絶対ではありません。どんな強敵であっても、1つや2つは自分たちの方が優れているところがあるはずです。もし仕事上で強敵を相手にする場面に出会ったら、この言葉を思い出して、「相手に欠けているものが無いか」あるいは「自社が勝っているところはないか」を測ってみてください。そこを攻めれば勝利をものにすることも決して不可能ではないはず。