前回に引き続き、渋谷のおそば屋さんを。今回の「中村麺兵衛 渋谷店」は、明治通りを恵比寿方面に進んだ先、JR「渋谷」駅からは4~5分のところにある。近頃付近は「渋谷ストリーム」なる名称でエリア再開発がなされていると同時に、駅は延々と工事中。一時的なのか、それとも本決定なのか不明な駅の出入口が乱立しており、スマートな通行はほぼ不可能かと思われる。

  • 渋谷の新店「中村麺兵衛 渋谷店」で、コク深い「新天ぷらそば」を賞味

    「新天ぷらそば(温)」(470円)

そんな中、同店舗は2017年にオープン。ラーメン屋や定食屋、もちろんそば屋も元々多いランチ激戦区に新規参入した格好だ。インターネットの検索窓を叩いてみると、福島県会津若松市に同名のそば屋があるようで、おそらく姉妹店かと思われる。

モダンな雰囲気の店内で味わう一杯

オープンして間もないこともあって、明るく清潔で少しオシャレ。「天ぷらそば」の白いのれんの上には「SOBA&TEMPURA」の看板。これをカッコイイと思うかどうかは別として、店頭には写真入りのメニューやサンプルなどもあり、ついつい誘い込まれてしまうような雰囲気づくりは努力されている。

店内、右手に券売機、左手に厨房。座席は2人がけのテーブル席、カウンター席などで15~6人のキャパシティ。立ち食いはない。開店時間の11時少し過ぎた頃に訪問、先客は1名。すぐ後客が2名。スタッフは3名体制。BGMはビートルズであった。つなぎなしの「十割そば」がウリということだったので、香りを楽しむために冷たいもりそばにしようかなと思ったが、だんだん肌寒さを覚える季節。店のおすすめマークにもつられて注文したのは「新天ぷらそば(温)」(470円)である。

ダシの味わいが沁みる本格派そば

厨房に渡して水を汲む。間もなく提供されるのかなと思ってそのまま立っていたが、注文を受けてから茹で始めており(十割そばなので当然か)、しばらくかかりそうだったので腰をおろして待つ。ふとあたりを見やると、提供台に「ネギ増し無料。直接お声がけください」の張り紙があったので、追加でその旨を伝える。3~4分は待った頃、そば完成。

  • JR「渋谷」駅からは4~5分のところにある「中村麺兵衛 渋谷店」

野菜がゴロゴロ入っており、なかなか豪華なかき揚げだ。まずはツユをすする……やいなや、ひと口でわかるコクの深さ。かつおや昆布の強いダシなのか、はたまた天ぷらの油なのか、パンチが強い。かき揚げは、衣薄めで、数種類の野菜の組み合わせ。特に乱切りのナスはかき揚げの具材としては珍しい。そして麺。独特の歯ざわりはあるものの、十割にありがちなボソボソした感じはない。やはり香りは強くないが、ねっとりした甘みもあり、本格派の一杯である。

そのほか、天かすが無料だったり、卓上にはゆず七味が置いてあったり。メニューにも「唐揚げそば」があるなど、冷たいおそば以外にも色々と再訪の目的が尽きない店であった。

筆者プロフィール: 高山 洋介(たかやま ようすけ)

1981年生まれ。三重県出身、東京都在住。同人サークル「ENGELERS」にて、主に銭湯を紹介する同人誌『東京銭湯』『三重銭湯』『尼崎銭湯』などをこれまでに制作。