泉岳寺の「三松」でそばを食べた話。第一京浜の下を走る都営浅草線。その「泉岳寺」駅A2出口を上がり、泉岳寺へ向かう道すがらにある『門前』そばだ。品川駅から数ブロックしか離れていないが、このあたりはマンションや寺社、学校などが多く、ビジネス色は薄れている一帯になる。
個性派の庶民派メニューが魅力
ごく小さな平屋のそば屋。長年の風雨にさらされた庇とのれん。「そば・うどん・カレーライス」の中、ひと際「ラーメン」の文字が目立つ。入口には「毎日、自社工場より直送される昔ながらの手法で作られたそば・うどん・中華麺をぜひ御賞味下さい」とある。なるほど、脇には「三松屋食品」の字入り麺箱が積まれていた。
引き戸から中に入ると、想像していた3分の1の広さ(狭さ)。左手に厨房・カウンター。中に熟年の大将が一人。立ち食いオンリーで、カウンターが逆側に。平日12時半と、ド昼時だが先客が1名。キャパは5~6人かなと思う。テレビはNHKに合わせられていた。
注文は口頭で。店内の壁に、短冊でメニューが敷き詰められている。そば・うどんはベーシックなものが多いが、「若めラーメン」「天ぷらラーメン」「ソーセージラーメン」「ちくわラーメン」「メンマラーメン」など一風変わった庶民的なラーメンメニューが多い。しかもそのほとんどがワンコイン以下の価格。店の雰囲気と相まって、なんだか時間がゆっくり流れているような印象だ。そばの連載ということなので、「天コロそば」(500円)を注文。
モチモチとした細切りそばが美味
麺にこだわりがあるためか、注文してからしっかり3分は待つ。支払いは代金引換で。ちなみに「天コロ」とは「天ぷら」と「コロッケ」の略で、揚げ物好きの欲張りメニューになっている。立ち食いそばらしく、どちらもバットから揚げ置きで乗せられる。
冷めたコロッケは甘みが強く、ホロホロと崩しながら食べる。かき揚げもやや固くなっているので、しっかり溶かしてから食べよう。肝心のそばは、さすが自信作とあってモチモチで美味い。やや細切りでスルスルと胃袋に吸い込まれていく。ツユは濃いめ、塩気も少し強いか。
荒削りで無骨ではあるが、印象的で忘れられない一杯だった。次回はラーメンのスープをぜひ味わってみようと思う。