今日の一軒は、浜松町の「蕎麦たつ」。第一京浜の一本裏手側にある小さな立ち食いそば屋で、最寄り駅は都営大江戸線「大門」駅。地上に出て3~4分歩いたところにある。近隣はオフィスが多く、特に昼時となると非常に活気づくエリアだ。今回訪問したのはちょうど12時頃。数多いどの店も混雑しており、ごくありふれた弁当屋も人気ラーメン店のような列を成していた。

  • 「ねぎ天そば」(390円)

魅力的なメニューが充実

無論、この「蕎麦たつ」も例外ではない。まだ12時になったばかりだったので、かろうじて行列にはなっていなかったが、中をのぞけば、店内は左右両側に、人・人・人。元々大きい店ではないが、それでも返却口まで客が埋まっており、いささか閉口した。普段、飲食店はあえて空いている時間を見計らって入る自分も、ええいと気合を入れて入店。

メニューはなかなか豊富で、定番から、コロッケ、まいたけ天、なす天、とり天、おぼろ昆布、ほうれん草など、ややレアリティの高いメニューまで。毎日来ても飽きがこないよう工夫されている。注文したのは、「ねぎ天そば」(390円)。これも、なかなか珍しい天ぷらメニューだ。

店内、左手側が厨房とカウンター。右手もカウンター(一部イスはあるが、皆立ったままで誰も座っていない)で、両側に人が立つと、なんとか人が一人通れるくらいの隙間ができる。当然ながら店員さんもかなり忙しそうで、なかなか食券を渡すタイミングも難しい。なんとか「そばで」と伝えて、水を汲んで待つ。提供スピードは思ったよりゆっくりで、2~3分は待ったか。予め陣取った席にこぼさぬように運ぶ。

ねぎの旨味が詰まった個性派の一杯

ねぎ天は、やや太めに小口切りにした白ねぎのかき揚げだ。少し焦げ目のついたねぎが、とても甘い。さらに添えられた生の刻みねぎで、ねぎづくしの一杯である。ねぎの香りがしっかり染みたツユは、溶けた天ぷらでトロトロに。蕎麦麺はパツンと歯切れが良い。卓には七味とは別に輪切り唐辛子があるので、程よくスパイスを利かせたい時に。

  • 都営大江戸線「大門」駅から3~4分ほど歩いたところにある「蕎麦たつ」

帰る頃には店外に3、4人の待ち客。値段も安く、回転も早い立ち食いそばは、これくらいは待っているうちに入らないのだろう。魅力的なメニューが取り揃えられていただけに、再訪、再々訪と予定を組み込みたい。

筆者プロフィール: 高山 洋介(たかやま ようすけ)

1981年生まれ。三重県出身、東京都在住。同人サークル「ENGELERS」にて、主に銭湯を紹介する同人誌『東京銭湯』『三重銭湯』『尼崎銭湯』などをこれまでに制作。