連載「副業でやらかしまして。」では、大金持ちになるという野望を持ったフリーター「しんま」氏が、株や投資、せどりなどの副業でやらかした経験を語ります。

第4回は「情報販売」がテーマ。様々な副業に挑戦しては散っていくしんま氏ですが、今回、まさかの大もうけの予感です!!(毎週水曜更新)


前回は文房具ショップ運営で見事失敗した話を書きましたが、時は流れて数年後、アルバイトの収入もそこそこ増えて生活も安定してきた頃のお話です。

しんま氏、ついに大儲けか……!?(画像はイメージ)

ある程度余裕もできたし、そろそろ新しい副業にチャレンジするかと息巻いていた頃に、『働かずに年収333万円を手に入れて「幸せ」に暮らそう!』(竹内 かなと/ごま書房新社;新版)という本に巡り合いました。

書籍名だけ見ると、いかにも「あちゃ~っ」て感じなのですが、肝心の本の内容は非常にユニークなものでした。本書は2部構成になっており、1部は「ヤフオク(※)で2億円稼ぐまでのプロセス」と、2部では「ヤフオクで稼いだ資金で競売不動産物件に投資する」という内容でした。競売物件への投資はわりと普通だったのですが、ヤフオクの章は実に興味がそそられる内容でした。

というのも普通であれば、どっかから商品を仕入れてヤフオクで販売しその差額が利益になるというものですが、本書は「情報商材」という電子データをヤフオクで販売し利益を出すという項目があったのです。

(※Yahoo! JAPANが運営するインターネットオークション、正式名称は「ヤフオク!」)

「情報商材」って何?

それまでの自分は、モノを安く仕入れていかに高く売るかという発想しかなかったのでこれはかなり衝撃的な内容でした。実際に本書の筆者がどういった情報商材を売っていたかというと、「銀行振り込みがタダになる方法」みたいな、生活でちょっと得をするような情報商材を扱っていたと書いてありました。 ちなみに銀行振り込みタダの種明かしすると、当時振り込みの手数料が無料だった新生銀行の口座を開設してくださいというものです。しかしこれがまあよく売れたんだとか。

そうとなれば早速調査開始です。ヤフオクの「情報」というカテゴリを開いてみると、まあ怪しい商材がわんさかヒットします。

「ゲームをしながら30万円を稼ぐ方法」
「パソコンをATMに変えてザクザク現金化」
「高確率でロト6を的中させる夢のような手法」

「う、うさんくせ~!」と思ったのが、ヤフオク情報カテゴリを見た第一印象でした。

そもそもこんなうさんくさい商品を買う人たちいんのかよ、と悪態をつきながら調査していると、ある事実がわかりました。情報商材自体の総出品数は4,000点ほどでしたが(現在は8,000点以上)、実際に入札されているのはその中の60~80点のみでした。入札が入ってる商品を分析してみると大体以下のような共通点を発見しました。

■入札されている情報商材の共通点
1. 値段が手ごろ(100~1,000円くらい)
2. 出品者の評価がいい
3. 生活でちょっと得をするような裏技的なアイディアの商品

特に値段が手ごろというのが重要だということがわかりました。というのも、情報商材という商品は個人の知恵や知識が元となってるが故に、基準となる価格設定がないため、中には「100万」「1,000万」などあり得ないくらい強気な価格設定をしているチャレンジャーな出品者が多かったのです。

早速条件を満たす商材を作ってみた

早速入札が入る条件を満たす情報商材を作ってみました。その商材は「マック店員が教えるマックのハンバーガーを安く食べる方法」というマックでバイトしている経験を生かしたものでした。

ちなみにその方法というのは、「金券ショップでマクドナルドの株主優待を安く購入しろ」という、別にマック店員でなくても知ることができる内容です。これをお試しとして100円で売ってみたところバカ売れ。毎日最低1個は売れていきました。

「すごい……。原価0円の商品がバカスカ売れていくじゃんかよ……!」

わずか1個100円の利益とはいえ、一切コストがかかっていない上に、電子データのため在庫切れがなく何度でも販売できます。これは当時の自分からしたらとても驚きなことでした。

そもそも自分では大した情報だとは思っていなかったので、「この詐欺野郎! 薄っぺらい情報売ってんじゃねーよ!」ぐらい言われるかと思っていたのですが、実際に購入された落札者からは、「大変参考になりました!」「今度この方法でマックを利用してみます」と絶賛の声続出です。これにも非常に驚きましたね。

この成功体験から、「ヤフオクでの情報販売はちゃんと取り組めばもうかる!」と確信するに至りました。それからというもの、バイトが終わって家に帰宅すると、ひたすら情報商材を作る作業に専念。

「Amazonギフト券を無料で1万円分もらう方法」……500円
「パズドラの裏技集」……500円
「モンストの裏技集」……500円
「ヤマトメール便定規を無料で手に入れる方法」……100円
「ハゲ改善発毛育毛マニュアル!!」……980円

などなど、とにかく商材を量産しまくりました。

とはいえ、こういった情報を扱う商品は購入者からすれば非常に怪しいと写る上に、中身は大した情報じゃないかもしれないという不安があります。その不安を払拭するために僕は「内容に納得がいかなければ全額返金します」と全ての商材に返金保障を付けました。これなら購入者も安心して商材を落札することができます。

この返金保障が功を奏したのか、商材がよかったのかはわかりませんが、自分の作った商材はみるみる売れていきました。ちなみに、実際に返金を申し出てくる人は20人に1人くらいでした。

開始2カ月で月5万円を稼げるように!

ヤフオク情報販売ビジネスを始めて2カ月くらいで、安定して月5万円を稼げるぐらいにまでなりました。

「いや~こんな楽に月に5万円も稼げるものなのか~」「もしかして俺って天才なのかもしれん」と調子に乗るのも無理はありません。なぜなら、努力したのは最初に商材を作っただけで、あとはひたすら再出品ボタンを押して商品を販売するだけなのですから。

このままこのビジネスを続けていけば、バイトを辞めて情報販売だけで楽して生活できるかもしれない。そんなことが頭によぎったりもしました。当時の自分は、バイト4つの掛け持ちと週1で派遣をやっていたのでとにかく寝る暇がありませんでした。早くこの忙しい生活から抜け出したいという思いが強かったのです。

順調だったビジネスに異変!

そんなこんなでヤフオク情報販売ビジネスが軌道に乗って数カ月がたった頃、ある異変が起きました。それまで20人に1人しか返金を申し出てこなかったのに、5人に1人が返金を求めてくるようになったのです。しかも返金を実行すると、悪い評価を付けていくのです。

情報販売をする上で信用は大事ですから、悪い評価が増えていくのは命取りな事態です。最初は偶然かな? と思い何も対策はしなかったのですが、返金を申し出てくる人が減ることはなく増え続けます。しかも初めからお金を払うつもりがない人もいて、連絡が一切ないまま「この人は詐欺です」と全く根拠のない悪い評価を付けて去ってゆく人もいました。

「何かがおかしい。どうなってる? 」

ようやく事態を重くみた僕は原因を探りました。調べていくとその原因がすぐに判明。とある他の情報販売の出品者が、何と僕が売っていた商材を丸パクリしてそのまま販売していたのです。おいおい嘘だろと思いその出品者から商材を落札して中身を確認してみると、表現や文章は違えど、中身は僕が作った商材そのままでした。

つまり、僕に返金求めてくる人や悪い評価を付けて去っていく人は、僕の商材を初めから丸パクリすることが目的だったのです。すぐにその出品者に「その商材は僕が作ったものをパクったやつですよね? すぐに出品を取り下げてください!」と怒りのクレームを入れました。

ところが、「具体的な表現や文章をそのまま丸パクリしたならまだしも、アイデアやコンセプトをパクっても著作権侵害にはならない」と開き直られました。

何を言ってるんだこいつはと怒りに震えましたが、確かにその人は僕のアイデアをパクったものの、文章表現自体はオリジナルです。そうなってくるとそれ以上クレームを付けることはできませんでした。しかも僕の商材をパクってる人はその人だけではなく、他にもたくさんいました。腹立たしいのが、その人たちは丸パクリした商材を僕より安く売るのです。同じ商品だったら当然安い方が買われますよね。

不本意に大量の悪い評価を食らい、丸パクリされた商材が自分より安い値段で売られ、あっという間に売り上げは激減。月5万円の利益があったのに、わずか1万にまで落ち込みました。あまりにも早すぎる展開になすすべもなく撤退を余儀なくされました。

情報販売で学んだこと

自分のこれまでの副業を振り返ってみると、ヤフオクの情報販売はかなりうまくいった方ですが、その寿命は短かったですね。撤退に追い込まれるスピードが尋常じゃないくらい早かったのを覚えてます。

そもそもですが、「なぜ急に僕の商材を丸パクリする人が続出したのか」というと、それは僕が目立ちすぎたことが原因かと思っています。

常時4,000点の商品が出品されてるにも関わらず、入札が入ってるのはせいぜい60点ほどです。そんな過疎市場にも関わらず、僕は安定して商材を売り月5万円もの利益を上げていたわけですから、同業者からしたら目につかないはずがありません。

目立ちすぎたため、ターゲットにされてしまい、あっという間にボロボロになるまで攻撃を食らってしまったのでしょう。楽をして稼ぐはずがどうにもうまくいかないものです(笑)。

ただ、ヤフオクの情報販売ビジネスの寿命自体は短いかもしれませんが、何せノーリスクですから試してみる価値はあるかもしれません。お小遣いくらいならそこまで努力しなくても稼げるでしょう。僕はもうやりませんが(笑)。

執筆者プロフィール

しんま
3つのバイトを掛け持ちするフリーター。お金持ちになるためにFXやせどりなど様々な副業に手を出すが全て失敗。年収の半分は副業に消えているんだとか。ブログ「しんまは今日も損切りっ」、Twitterはコチラ