連載「副業でやらかしまして。」では、大金持ちになるという野望を持ったフリーター「しんま」氏が、株や投資、せどりなどの副業でやらかした経験を語ります。「年収の半分は副業に費やしている」と豪語する同氏が大金持ちになる日は来るのでしょうか!?(毎週水曜更新)


今回は文房具ショップの運営に手を出した話を書いていきます。

4年前の当時の自分は、本業の収入が月13万くらいしかありませんでした。当然生活はカツカツで、光熱費が払えず何度も電気を止められ、時にはライフラインである水道でさえ止まったこともあります。

食べるものがないときはバイト先の主婦に食料を恵んでもらったり、パン屋に行ってはパンの耳を無料でもらいその日の食事にしたことがあります。今でこそ生活は安定してきましたが、当時はとにかくお金がなかったんです……。

とにかくお金がなかったあの頃(画像はイメージ)

貧乏生活の中で1冊の本に出会う

何とかこの貧乏生活から抜け出してやろうと思っていた時、ある1冊の本に出会います。それが、世界的ベストセラーにもなった金持ちになる方法が説かれている、『金持ち父さん貧乏父さん』です。

それまで全くお金の知識がなかったものですから、本書を読み、「うぉぉぉ! 俺もビジネスや投資をしてラットレースから抜け出すぞ~!!」と無駄に意識が高くなったことをよく覚えています。

そして貧乏から抜け出すために手を出したのが文房具ショップの運営というわけです。なぜ文房具ショップだったのかはよく覚えてないですけど、多分仕入れにそこまでお金がかからないからという理由だったんでしょう。

「文房具ショップの軍資金は3万円!」

そもそも光熱費すら払えずヒイヒイ言ってるくらい貧乏なわけですからお金なんてありません。この3万円はどううやってひねり出したかというとその月の家賃からです。まさに生活を賭けた勝負でした。

文具ショップを作成! 中国から個人輸入をすることに

早速無料でネットショップが作れるサイトで簡易的な文房具ショップを作成。サイトが用意しているテンプレートを使って作成したので、全くもってオリジナリティはありませんでしたが、当時の自分は「商品が安ければ売れるだろ」と割と商売をなめていました。

肝心の売る商品ですが、できるだけ安く仕入れるために僕は安易な発想で「中国は商品が安い! 中国で仕入れよう!」、と中国から個人輸入することを決めました。もうこの時点で破産フラグ立ちまくりですが、当時の自分は「ビジネスしてる俺かっけぇ!」と完全に自分に酔っていましたね(笑)。

個人輸入に対応している中国のショップをいくつか見つけては商品の選定作業。とにかく安くて売れそうなモノという曖昧な基準で商品を探していました。

まず僕が目を付けたのが、コーラとスプライトと爽健美茶のボールペンでした。送料や関税込みでも1本20円くらいで、コーラは有名なブランドなのは間違いないですから、これを日本で売ればそこそこ売れるだろうと予想。一気にまとめて「コーラ」「スプライト」「爽健美茶」のボールペンを400本買い付けました。

ちまちま買い付けていては、送料や代行会社への手数料を何度も支払うことになるので、まとめて大量に買い付けるしかなかったのです。仕入れは続きます。

次に目を付けたのが、カラフルなノーブランドのペンケースでした。ノーブランドですからどれぐらい売れるかの予想は難しいのですが、そこそこデザインもよく、何といっても安い。一つ辺り90円くらいでした。これも一気に50個買い付けました。

ボールペンとペンケース合わせて合計1万2,500円の仕入れです。とりあえずこの4点から販売していって、徐々に商品点数を増やしていこうと考え、買い付けた商品が日本に届くのをまだかまだかと待ち望んでいました。

商品が手元に届くも……

買い付けてから10日ほどたった頃でしょうか。ようやく商品が自宅に届きました。

「ようやくきたー」

と喜んでいるとある異変に気づきます。届いた商品は段ボールに入っていたのですが、その段ボールのこん包がめっちゃくちゃだったのです。

というのも、ガムテープが無作為にグルグルに貼られており、しかも段ボールがまるで落下して衝撃を受けたかのように大きくへこんでいました。「何だこりゃ。段ボールボロボロじゃん……」、と中国クオリティに不安を感じつつ、乱暴にグルグル巻きにされているガムテープを剝がし、商品を取り出しました。

まあ段ボールがボロボロでも中身が無傷でちゃんとしてれば問題ないか、と思い、まずはノーブランドのペンケースを確認。数通りちゃんと50個あり、イメージ写真通りの実物でした。

一安心し、次は「コーラ」「スプライト」「爽健美茶」のボールペンを取り出しました。しかしこれがこん包が非常に雑で、薄いビニール袋に400本のボールペンが種類を分けずにまとめてぶち込まれていました。「やっぱ中国はすごいな」と妙に感心し、種類ごとに分けていきました。

ここでもある異変に気づきます。

「あれ、このコーラのボールペンよく見るとロゴが若干違くないか?」

コーラのあの流れるような筆記体のロゴではなく、角ばったよくわからない筆記でデザインされていました。嫌な予感が走ります。続いてスプライトと爽健美茶のボールペンを確認すると、こちらもコーラ同様ロゴデザインが微妙に違いました。

「これ偽物じゃね……?」

実際中国で偽物のブランド品が出回るというのはよくある話です。自分が買い付けたボールペンはまさに完全なる偽ブランドのモノでした。

「さ、最悪だ。400本すべて偽物とかどうしよう……」

更に驚いたのが、ボールペンの塗装が剝がれている不良品も何本も発見しました。数にして40本くらいだったでしょうかね。もうあまりのずさんさにただただ驚がくです。

当然こんなパチモノを売ったら自分が違法になってしまうので、クレームを入れてやろうと商品の買い付けと発送をしてくれた代行会社に問い合わせます。

「届いた商品が偽物なんですけどどういうことですか! すぐに返金お願いします!」、と怒りのメールを入れたのですが代行会社の回答は、「私どもはあくまで買い付けと発送の代行業務ですので、買い付けた商品が偽物でも対応はできません。商品を販売していたショップオーナー様に直接問い合わせてください」などとバッサリ切り捨てられました。

仕方ないのでショップオーナーに直接問い合わせすると一切回答なしでした。

「終わった……。文房具ショップが始まる前から終わった」

しかし、確かにボールペンは偽物でしたが、ペンケースに関してはそもそもノーブランドなので関係ありません。なので、とりあえずはこのペンケースだけでも売ろうと決めてショップで500円で販売を開始しました。しかしこれが一個たりとも売れない!

500円という価格設定が高いのかと思い、400円、300円、200円、120円、と徐々に採算ラインギリギリまで値段を下げていきましたが売れる気配なし。テコ入れのため、新しくPARKERのボールペンも仕入れてみましたが、こちらも全く売れずでした(PARKERのボールペンも中国から仕入れ)。

まあそれもそのはずで、商品のラインナップが乏しく、サイトデザインも非常に簡素なものでしたから、ショップを見に来る人もわざわざここで買おうとは思わないのでしょう。

結局ショップを開店してから数か月間一度たりとも商品は売れず、ショップは閉店となり、家には売れ残った大量の在庫で埋もれました。家賃を支払うはずのお金に手を付けて失敗したわけですから、当然のごとく家賃は1カ月分滞納となり、貧乏生活を抜け出すどころか更に貧乏になってしまいましたね。

文房具ショップ運営で学んだこと

このときの失敗を振り返ってみると、偽物の商品をつかまされたからうまくいかなかったというよりは、商品が安けりゃ売れるだろうと、商売そのものを甘く見ていたから失敗したんだろうなーと思います。

僕はとにかく商品を安く仕入れることしか考えておらず、ショップのレイアウトであったりとか、集客の方法であったりとか、そういったところには一切力を入れてませんでしたからね。

ちなみに、不良在庫となった文房具はほとんど友人たちに無償であげ、『金持ち父さん貧乏父さん』の本はすぐにブックオフで売りました(笑)。

執筆者プロフィール

しんま
3つのバイトを掛け持ちするフリーター。お金持ちになるためにFXやせどりなど様々な副業に手を出すが全て失敗。年収の半分は副業に消えているんだとか。ブログ「しんまは今日も損切りっ」、Twitterはコチラ