東海道新幹線や東北新幹線をはじめ、全国に新幹線網は広がっており、ビジネス、観光を問わず旅行には欠かせない存在になっている。そこでソフト面、ハード面、それぞれに時代の先端をゆく各社の新幹線の様々なサービスを連載形式でご紹介。より賢く、便利に新幹線を使いこなすための手助けとしたい。
新幹線の、先端をゆくサービス
まずは、インターネット予約とIC乗車サービス、チケットレスサービスから。長距離列車に乗る場合でも、今や「みどりの窓口」に並んで乗車券と特急券を買う機会は大きく減った。新幹線では、駅に着いたらそのまま改札口へ向かい、ICカードを自動改札機にタッチして、チケットレスで乗車する姿がよく見られる。だが、仕組みがよく分からない、手続きなどが面倒、そもそもスマートフォンなどの操作に不慣れといった理由で敬遠しがちな向きもいるようである。
ならば最初は、東海道・山陽新幹線のネット予約&IC乗車サービスを何回かにわけて紹介。そのメリットを解説したい。
東海道・山陽新幹線のICカード乗車
東海道・山陽新幹線(対象は東京~博多間の新幹線駅相互間)のインターネット予約&IC乗車サービスには、大きく分けて2種類ある。
ひとつ目が「エクスプレス予約」。特定のクレジットカード会員向けのサービスで、JR東海のエクスプレス・カード、あるいはJR西日本のJ-WESTカード(エクスプレス)などが利用でき、これらのカードで決済する。入会手続きと、税込1,080円の年会費も必要となる。
その代わり、割安な会員価格で通年、東海道・山陽新幹線に乗車できる。例えば東京~新大阪間は、通常の運賃・特急料金(普通車指定席)の合計額は1万4,450円だが、エクスプレス予約では1万3,370円と、1,080円安い。つまり、東京~新大阪間で一度片道乗車しただけでもう元が取れ、それ以降は乗れば乗るほど得になるということなのだ。
予約はパソコン、スマートフォンなどからアクセスできる公式サイト、もしくはスマホアプリから可能。予約した列車の発車前なら、何度でも手数料無料で予約の変更が可能だ。特にビジネス利用の場合、この機能は効果を発揮するだろう。予定が変わっても、どこからでもスマートフォンで簡単に予約変更できるからだ。
なお、入会すると専用のICカード「EX-ICカード」が送られてくる。チケットレスで乗降する際は、このカードを自動改札機にタッチすればOK。窓口や自動券売機に立ち寄る必要はない。タッチすると「EXご利用票」という紙が出てくるので、それで自分の座席を確認して座ればよい。
「スマートEX」とは?
もうひとつのインターネット予約&IC乗車サービスが、2017年9月30日にスタートしたばかりの「スマートEX」だ。エクスプレス予約と異なる点を中心に説明しよう。
まず必要となるのが、すでに持っているクレジットカード(VISA、マスターカード、JCB、アメリカンエクスプレス、ダイナーズ、J-WESTカード「ベーシック」)、および全国で相互利用できる10種類の交通系ICカード(Kitaca、Suica、PASMO、TOICA、manaca、ICOCA、PiTaPa、SUGOCA、nimoca、はやかけん)、それぞれのうち、いずれか。そして、この2つのカードを登録すれば、すぐに利用可能となる。
入会手続きは不要。年会費も無料であるから、手間という面でのメリットは大きい。決済は登録したクレジットカードから行われる。
予約は公式サイトから。手数料無料での予約変更は、エクスプレス予約と同様に可能だ。ただし、値段は駅の窓口や自動券売機で購入する際の運賃・特急料金と、ほぼ同額である。割引という意味でのメリットはほとんどない。
予約した列車への乗車の際は、登録した交通系ICカードを新幹線駅の自動改札機にタッチすればいい。「EXご利用票」が出てくるのは、エクスプレス予約と同じである。
エクスプレス予約とスマートEX、どちらがいいか?
予約や乗車の際の利便性では、エクスプレス予約もスマートEXも差はない。エクスプレス予約は、もし対象カードを持っていなければ、新規にクレジットカードへ入会し、EX-ICカードを受け取る手間がかかる。スマートEXは、手持ちのカードが使えるメリットが大きい。
ただし、年会費がかかるものの、エクスプレス予約の割引サービスは大きな魅力だ。頻繁に東海道・山陽新幹線を利用するなら、エクスプレス予約の利点は大いにある。
それほど利用する機会がないのなら、とりあえずスマートEXに登録しておけばいい。窓口へ行く手間や時間を考えると、インターネット予約やIC乗車サービスのメリットは思っているより大きいのだ。