東京都新宿区・高田馬場。東京屈指の学生街として、駅前を中心にたくさんの飲食店でにぎわっている。風呂なし四畳半アパートの時代はもう遠い昔、なのかもしれないが、今回紹介するのはここ高田馬場の銭湯「世界湯」だ。

「世界湯」へは高田馬場駅から徒歩7~8分

改装を経てバリアフリー仕様に

JR山手線「高田馬場」駅から歩いて7~8分。東西に流れる神田川のすぐ近くで、東京富士大学のすぐ裏手、一見普通のマンションにしか見えないが、よく見れば「世界湯」の屋号が。コインランドリー併設で、その右手にこぢんまりした入口がある。

創業からは60年以上経ってはいるが、現在の姿になったのは2009年。それでも数年は経過しているはずだが、今も真新しい雰囲気が残る。下足箱に靴を入れ、ロビーへ。かなり広々とスペースがとられていて、イスやテーブル、腰掛けが並び、ゆったりと10人以上が寛げる。

ロビーには大画面のテレビやマッサージチェア、雑誌類、飲み物の自販機などが設置されている。清潔感もあり、明るい。ロビーを抜け、突き当りがフロントになる。こちらで下足鍵とロッカーの鍵を交換。男湯は右、女湯は左の脱衣所に進む。

ロッカーは縦長(サウナ客用)タイプ混在で、2面分。中央に腰掛けとスツール。境目に洗面台やデジタル体重計がある。トイレも含めてバリアフリー仕様になっており、浴室にいたるまでフラットな構造で、高齢者にもやさしい。平日の夕方16時頃、相客は4~5人。場所柄、若い客も見られた。

壁にはイグアスの滝とマッターホルン

男湯のイメージ(S=シャワー)

暖色系の間接照明で照らされた落ち着いた浴室。広さに対して、カランの数は少なめで、こちらもゆとりのあるレイアウトになっている。ケロリン桶使用、ボディソープ・リンスインシャンプーは備え付けがある。

主浴槽はジェットバスやバイブラバス、電気風呂が混在していて、湯はややぬるめでゆっくり入れる。こちらの境目の壁にはモザイクタイルで「イグアスの滝」が描かれていた。女湯側は「マッターホルン」とのこと。なかなかよそでは見られないモチーフなのでこちらも注目したい。

奥には岩風呂とサウナ(男湯のみとのこと)、水風呂のエリアが。露天風呂というわけではないのだが、外気が入るようなつくりになっていて、少しひんやりした空間。湯はぬるく、訪問した日もご機嫌に歌いながら長湯するおじいさんが入っていた。

外観に派手さはないが、店内の随所に心遣いがあり、若い世代から高齢者まで幅広く愛される。まさにモダンと呼ぶべき銭湯のひとつだと感じた。

※記事中の情報は2016年7月時点のもの。イメージ図は筆者の調査に基づくもので正確なものではございません

筆者プロフィール: 高山 洋介(たかやま ようすけ)

1981年生まれ。三重県出身、東京都在住。同人サークル「ENGELERS」にて、主に都内の銭湯を紹介した『東京銭湯』シリーズを制作している。