スーパー戦隊シリーズ50周年を記念した大規模展示イベント「全スーパー戦隊展」がいよいよ2025年8月8日から開催されます。マイナビニュースでは「全スーパー戦隊展」開催に合わせ、第1作『秘密戦隊ゴレンジャー』から第49作『ナンバーワン戦隊ゴジュウジャー』まで、50年のあゆみを6つの「時代」に分け、ご紹介してまいります。
連載第1回は、スーパー戦隊の骨子を築きあげた第1作『秘密戦隊ゴレンジャー』(1975年)から『太陽戦隊サンバルカン』(1981年)までの「黎明の時代」、そしてスーパー戦隊を長期シリーズへと成長させた『大戦隊ゴーグルファイブ』(1982年)から『地球戦隊ファイブマン』(1990年)までの「確立の時代」、計14作品の解説をお届けします。
第1作 秘密戦隊ゴレンジャー
1975年4月5日~1977年3月26日放送 全84話
『秘密戦隊ゴレンジャー』は、『仮面ライダー』シリーズで好評だった「変身ヒーロー共演」という要素を発展させ、5人のヒーローがチームワークで巨大な悪に立ち向かう「集団ヒーロー」として誕生。放送が始まると、またたく間に子供たちの心をつかみました。原作者・石ノ森章太郎によるゴレンジャーのカラフルかつシンプルなデザイン、黒十字軍が送り込む仮面怪人のユニークな個性、バリブルーンやバリドリーンに代表されるゴレンジャーの超メカニック、国際的平和組織イーグルと黒十字軍が繰り広げる軽妙かつスリリングなスパイアクションなど、さまざまな魅力が結集した『ゴレンジャー』は大ヒット作となり、約2年間もの長期放映を成し遂げました。
第2作 ジャッカー電撃隊
1977年4月9日~12月24日放送 全35話
『ジャッカー電撃隊』は、トランプをモチーフとしたスタイリッシュなヒーロー像が原作者・石ノ森章太郎によって生み出されました。犯罪結社クライムから人々を守るため、4人のジャッカーは自らの身体を強化改造し、サイボーグ戦士になって戦うという過酷な宿命を受け入れます。本作の前半エピソードでは、大人向け刑事ドラマを思わせるシリアスなストーリー展開が特徴となりました。第23話からはジョーカー(鯨井大助)に代わって新たにジャッカーを指揮する行動隊長・番場壮吉=ビッグワンがさっそうと登場し、エンタテインメント性が大幅にパワーアップしました。
第3作 バトルフィーバーJ
1979年2月3日~1980年1月26日放送 全52話
八手三郎・原作の『バトルフィーバーJ』は、『スパイダーマン』(1978年)からの流れを汲む「等身大ヒーロー+巨大ロボット」というフォーマットを受け継ぎ、そこにチームヒーローの要素を加えて製作されました。世界各国で訓練を受けた国際色豊かな5人の戦士が、踊りのテクニックを活かして秘密結社エゴスの怪人に立ち向かいます。
怪人が“弟・妹”と呼ぶ巨大な悪魔ロボットに戦いを挑むのは、鎧武者のように勇ましいバトルフィーバーロボ。バトルフィーバー隊を率いる倉間鉄山将軍の頼もしさも特筆もので、彼らが敵わない怪人に対して、鉄山将軍が日本刀で一気に倒すエピソードも中にはありました。数々の魅力的な要素を盛り込んだ本作は大人気となり、スーパー戦隊の新しい流れを作り上げたのです。
第4作 電子戦隊デンジマン
1980年2月2日~1981年1月31日放送 全51話
『電子戦隊デンジマン』では、ヒーローのマスクデザインに初めて「ゴーグル」を採用し、以後のスーパー戦隊にも受け継がれていきます。3000年前に滅亡したデンジ星から地球に飛来したデンジ犬アイシーは、宿敵「ベーダー一族」から地球を守るため、5人の若者を選び出しました。デンジ星の超科学で作られた強化服を身に着けたデンジマンは、ヘドリアン女王率いるベーダー一族に戦いを挑みます。
かつてない宇宙的スケールで描かれる壮大な物語や、デンジマンのスピーディーなアクション、ベーダー怪物のホラー描写、デンジタイガー、ダイデンジンに代表される未来的メカニックなどの魅力は、子供たちに強烈なインパクトを与えました。
第5作 太陽戦隊サンバルカン
1981年2月7日~1982年1月30日放送 全50話
『太陽戦隊サンバルカン』は前作『電子戦隊デンジマン』で好評だった要素を受け継ぎつつ、さらなる意欲的な設定を盛り込んだ作品となりました。機械帝国ブラックマグマの脅威に対抗するべく、地球平和守備隊から選ばれた3人の戦士、それが太陽戦隊サンバルカンです。メンバーを3人に絞ったことで空(イーグル)、海(シャーク)、陸上(パンサー)のアニマルアクションが際立ち、そのスピード感とダイナミックさは絶品です。
中盤からブラックマグマに行動隊長アマゾンキラーが着任。これに対抗するかのように飛羽高之が大鷲龍介に代わって新バルイーグルになり、得意の剣技で立ち回るアクションも人気を呼びました。
第6作 大戦隊ゴーグルファイブ
1982年2月6日~1983年1月29日放送 全50話
『大戦隊ゴーグルファイブ』ではメンバーを5人に戻し、スタント・アクションの見せ場をさらに強化するよう試みられています。暗黒科学帝国デスダークの襲撃に対し、未来科学研究所のコンピューターボーイズアンドガールズ(コンボイ)が5人の若者たちを選出。彼らはゴーグルファイブとなり、デスダークが送り込む合成怪獣(モズー)と戦うのです。
ゴーグルファイブは当時注目を集めていた「新体操」の道具を武器にして、スピーディーかつ華麗なアクションでデスダークを翻弄します。ジェット、タンク、ダンプが合体した巨大ロボット・ゴーグルロボの活躍も、毎回のクライマックスを飾りました。
第7作 科学戦隊ダイナマン
1983年2月5日~1984年1月28日放送 全51話
発明おじさん・夢野久太郎博士が選び出した若き発明家たち。しかし彼らには、有尾人一族ジャシンカ帝国の地上侵略から人々を守るという重大な使命がありました。科学戦隊ダイナマンとなった5人は、ジャシンカが送り込む進化獣と激闘を繰り広げます。
キャラクターデザインにロボットアニメで活躍していた出渕裕を迎え、ジャシンカ幹部や進化獣に斬新さを感じさせました。アクション面では5人の名乗りや攻撃の決めポーズなどで派手な「爆発」がひんぱんに巻き起こる迫力満点のギミックを採用。ダイナマンが火の玉になって体当たりする「スーパーダイナマイト」のインパクトも抜群です。
第8作 超電子バイオマン
1984年2月4日~1985年1月26日放送 全51話
総統ドクターマン率いる新帝国ギアの出現を知ったバイオロボとピーボは、500年前に「バイオ粒子」を浴びせた若者たちの子孫を5人集めました。5人はピーボからテクノブレスを与えられてバイオマンとなり、ギアから地球を守るため戦います。
「パターンからの脱却」を図った本作では、冒頭から巨大戦を行ったり、メカジャイガンの特殊能力に主眼を置いた物語が作られたり、ストーリーの幅が大きく広がりました。女戦士が2人登場するのも画期的な試みで、ダブルヒロインの友情をテーマにしたエピソードもいくつか作られています。人間性を否定し、非情なメカへと心酔していくドクターマンを中心とした、悪のドラマが興味深く描かれているのも特徴となりました。
第9作 電撃戦隊チェンジマン
1985年2月2日~1986年2月22日放送 全55話
『電撃戦隊チェンジマン』では、かつてない全宇宙規模の壮大なるスケールのSFドラマが志向されました。これまでに数々の惑星を征服してきた大星団ゴズマの星王バズーがついに地球を狙い、戦艦ゴズマードに乗った地球侵攻部隊が襲来。地球守備隊で訓練を行っていた5人の若き将校は、地球全体が危機に陥ったときに放つ不思議な力「アースフォース」を浴び、電撃戦隊チェンジマンとなってゴズマの宇宙獣士と戦うのです。
ゴズマの幹部や宇宙獣士の中には、根っからの悪ではなくバズーに母星を征服されてやむなく配下となっている者も多数存在し、後半展開ではそんなゴズマのメンバーたちが平和を求めて、チェンジマンと心を通わせるという熱きドラマが繰り広げられました。
第10作 超新星フラッシュマン
1986年3月1日~1987年2月21日放送 全50話
『超新星フラッシュマン』では、主人公側のドラマをさらに深みのあるものにするべく設定が練り込まれています。改造実験帝国メスが送り込む獣戦士とフラッシュマンの戦いをメインに描く一方で、ジンたちが生き別れとなった両親の手がかりを探すというサイドストーリーも語られました。
獣戦士ザ・ズコンダによってフラッシュキングが破壊され、大ピンチに陥ったフラッシュマンを助けるべく、さっそうと「2号ロボ」のフラッシュタイタンが登場したのも特筆すべき出来事です。トレーラー型のフラッシュタイタンはタイタンボーイとグレートタイタンに変形。戦線復帰したフラッシュキングと共に頼もしい戦力となってくれました。
第11作 光戦隊マスクマン
1987年2月28日~1988年2月20日放送 全51話
人間の身体を極限まで鍛え抜いたとき発生する神秘の力「オーラパワー」を引き出して戦う『光戦隊マスクマン』では、メンバー全員が拳法や武術の達人という設定が作られました。中でもアキラ役の広田一成は実際に中国武術の第一人者であり、劇中で何度も鋭い剣さばきを披露しています。
地上征服を狙う地底帝国チューブの地帝獣とマスクマンとの激戦を描きつつ、離ればなれになったタケルと恋人・美緒(実はイガム王子の妹・イアル姫)が再会を果たすのはいつの日か? という恋愛ものの要素を加味。ドラマチックなエピソードをいくつも生み出しました。
第12作 超獣戦隊ライブマン
1988年2月27日~1989年2月18日放送 全49話
『超獣戦隊ライブマン』は、巨大ロボットが初登場した『バトルフィーバーJ』から数えて10作目にあたる作品として注目を集めました。レッドファルコン=天宮勇介はライブマンのリーダーでありながら時々ズッコケたりする、親しみのあるヒーロー像を打ち出しています。武装頭脳軍ボルトの幹部たちの中には勇介たちのかつての友(ケンプ、マゼンダ、オブラー)がおり、両者の対立が深みのあるドラマを作り上げました。
シリーズで初めて、ヒーローキャラクターと共通するデザインモチーフ(動物)を備えたメカニックが登場。3機が合体してライブロボが完成します。中盤から、ボルトに命を奪われた卓二と麻理の弟たち(鉄也と純一)が新戦士となり、5人のライブマンとして活躍します。
第13作 高速戦隊ターボレンジャー
1989年2月25日~1990年2月23日放送 全51話
『高速戦隊ターボレンジャー』では、ヒーローのキャラクターモチーフに子供たちが大好きな「自動車」を採用しました。前作『超獣戦隊ライブマン』の「動物」と同じく、ひとつの「モチーフ」を定め、それをヒーローやメカニックのデザインに反映させるという手法は、以後のスーパー戦隊にも受け継がれていきます。
本作のヒーローは全員高校3年生というフレッシュさが持ち味。封印が解けて復活を果たした邪悪な暴魔百族との激闘を繰り広げる彼らは、若さと情熱、そして友情のパワーでどんな困難も乗り切っていきます。太宰博士と共に5人を戦士に選んだ妖精シーロンの存在など、ファンタジックな要素も含んだ意欲作となりました。
第14作 地球戦隊ファイブマン
1990年3月2日~1991年2月8日放送 全48話
星川学を長男とする5人兄弟は、惑星シドンで植物研究を行っていた両親と共に銀帝軍ゾーンの襲撃を受け、子供たちだけで地球へと逃げのびました。20年後、大人に成長した星川兄弟は地球戦隊ファイブマンと名乗り、地球に現れたゾーンと戦い抜くことを決意するのです。
兄弟ならではのコンビネーション技が冴えるファイブマンは、全員が小学校の先生(学が理科、健が体育、文矢が国語、数美が算数、レミが音楽)という特徴があり、頼りがいのあるヒーローとして描かれています。毎回のストーリーはシリアス風味あり、徹底的にコミカルな回ありとバラエティに富み、従来の「パターン」を積極的に崩していこうとする意欲が見られました。
「スーパー戦隊ヒストリー」次回は「転換の時代」1991年から2000年の10作品(鳥人戦隊ジェットマンから未来戦隊タイムレンジャーまで)をご紹介します。お楽しみに!
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