これまでの記事では、iDeCoやつみたてNISA、貯蓄の方法などについて解説してきました。今回は「そもそも投資って何? 」と考えている方に、投資についてです。

投資といっても、さまざまな種類があります。そのなかでも、これから資産形成を始めようと考えている方には積み立て投資がおすすめです。

積み立て投資とは、株式や投資信託のような金融商品を毎月一定額購入していく投資方法です。本記事では、積み立て投資を始める前に確認しておきたいメリットとデメリットをご紹介します。

FPとは: 一人ひとりの将来の夢や目標に対して、お金の面でさまざまな悩みをサポートし、その解決策をアドバイスする専門家。貯蓄や税制、保険、投資、不動産、相続など、お金に関する幅広い知識を有している。

※参考:日本FP協会

■積み立て投資のメリット

積み立て投資のメリットから確認していきましょう。

1.複利効果で運用資産を殖やせる可能性がある

複利効果とは、元金と利息を合わせた金額に利息が付くことです。利息にも利息が付くことで、運用資産が雪だるま式に膨れ上がっていく可能性があります。

例えば、毎月1万円を20年間積み立てて、年率3%で運用できた場合の運用成績は、以下の通りです。

  • ※金融庁「資産運用シミュレーション」をもとに作成

    ※金融庁「資産運用シミュレーション」をもとに作成

投資期間を重ねるごとに、運用収益が殖えていっているのがわかります。毎月わずか1万円の投資であっても、20年後には約328万円となりました。

投資期間が長くなるほど、複利効果が働いて資産を大きく殖やせる可能性があります。しかし、積み立て投資をしたからといって必ず3%以上殖やせるわけではありません。

積み立て投資で利益を得るためには、投資先を入念に選定する必要があります。また複利効果を得るためには、毎月確実に元本を積み立てることが大切です。

2.ドルコスト平均法によるリスク軽減効果が期待できる

ドルコスト平均法とは、毎月一定額を金融商品に投資することで、購入価格を平均化する方法です。

例えば、ある金融商品を毎月1万円ずつ購入するとしましょう。金融商品は、最初1口10,000円ですが、価格は毎月変動するとします。以下の表をご覧ください。

もし、最初に12万円を一括で投資し、金融商品を12口購入していた場合、最終的な評価額は9,000円×12口=108,000円に下がってしまいます。

しかし毎月1万円ずつ購入することで、価格が高い時は少なく、安いときは多く購入することになり、最終的に評価額はプラスとなりました。

このように積み立て投資では、ドルコスト平均法によって保有資産の評価額が下がるリスクを抑えられるのです。

3.少額から始めやすい

ネット証券であれば、投資信託を100円から購入できるだけでなく、毎月所定のタイミングで自動的に買い付ける設定も可能です。

また、クレジットカードの支払いやサービスの利用で貯めたポイントで、投資信託を購入できる金融機関もあります。

「投資に興味はあるけれども損失が怖い」という人は、100円や1,000円など支障のない範囲で、積み立て投資を始めてみてはいかがでしょうか。

■積み立て投資のデメリット・注意点

次に、積み立て投資のデメリットや注意点を解説していきます。

1.元本割れするリスクがある

いくら複利効果で殖やせる可能性があり、ドルコスト平均法でリスクが軽減できるとはいえ、積み立て投資で元本割れが起きる可能性はゼロではありません。

過去に発生したリーマンショックや、2020年に発生したコロナショックなど、運用資産がマイナスとなる事象は定期的に訪れます。

もし資産のすべてを、株式や投資信託のような金融商品で保有していたとしましょう。リーマンショックやコロナショックのような事態となって収入が低下すると、元本割れしている金融商品を取り崩さなければ、生活できなくなるかもしれません。

このような事態に備えるためには、資産のうちいくらかは預貯金で保有し、緊急予備資金を確保しておくことが大切です。

2.手数料や税金などのコストがかかる

積み立て投資によって利益が発生しても、すべてが手元に入ってくるわけではありません。金融商品を購入したり保有したり売却したりするときには、手数料や税金がかかる点に注意が必要です。

例えば、投資信託を購入するときには「購入時手数料」、運用中は「信託報酬」といったコストが発生します。また投資信託を売却して利益を得た場合、20.315%の税金を納めなければなりません。※2020年12月現在の税率

そのため、これから積み立て投資を始めようと考えている方は、つみたてNISAやiDeCoなどの制度を利用するのがおすすめです。

つみたてNISAやiDeCoは、一定金額までの投資に対する運用益が非課税となります。まだつみたてNISAやiDeCoを通じて購入できる投資信託は、購入時の手数料が不要な「ノーロード型」であり、信託報酬も低い傾向にあります。

ただし、つみたてNISAやiDeCoにも、それぞれメリットとデメリットがあるため、理解したうえで始めることが大切です。

■積み立て投資でコツコツと資産を形成する

積み立て投資は、長期間にわたってコツコツと資産を形成する方法です。早く始めることで、より多くの資産を築ける可能性があります。

一方で積み立て投資にも、元本割れのリスクがあります。そのため、資産のすべてを株式や投資信託のような金融資産で保有するのはおすすめできません。 積み立て投資は、資産形成をする方法の1つです。目的に応じて預貯金や保険など、さまざまな金融商品を組み合わせることが、資産形成をするうえで大切なポイントです。