まったく貯蓄をしていない20代の方は少なくないでしょう。私も20代の前半は、収入のほぼすべてを使っており、まったく貯蓄をしませんでした。

自由に使えるうちに、お金を使うのも悪いことではありません。一方で、稼げる力が同じ人の場合、毎月1万円貯められる人とまったく貯められない人では、将来的な保有資産に大きな差が付く可能性があります。

今回は、貯蓄が苦手だと感じている方に向けて、貯蓄が必要な理由や貯蓄の方法を解説していきます。

■若いうちから貯蓄を始めるべき3つの理由

若いうちから貯蓄を始めるべき理由は、ここでご紹介する3点です。

1.人生の選択肢を増やすため

2020年現在、終身雇用はすでに崩壊しており、職務の専門性を評価するジョブ型雇用を導入する企業が増えてきました。新卒で入社した会社を定年まで勤めあげるのではなく、自分自身で職業や住む場所を選ぶ時代へと移りつつあります。

しかし、やりたいことが見つかっても、手持ち資金が不足していると、行動に移せない恐れがあります。

例えば、一度退職をしなければ転職活動が困難な場合、収入が途絶えているあいだは貯蓄を削ってしのがなければなりません。住みたい場所が見つかっても、引越し費用や新居に入居する費用(敷金・礼金・仲介手数料など)が捻出できなければ、移住はできないでしょう。

私は、新卒で入社した会社から転職したあとに、ライターとして独立しました。転職や独立をしたいと思ったときに、手持ちの資金が不足していたら今の生活は実現していなかったはずです。

2.結婚や子どもの進学などのライフイベントに備えるため

もし将来的に結婚をする場合、結婚式や子どもの出産・進学、マイホームの購入など、さまざまなライフイベントが発生します。ライフイベントが発生するときに手持ち資金が不足していると、ご自身や家族の希望が叶わないかもしれません。

もし、パートナーが海外で結婚式を挙げたいと考えていても、貯蓄が不足していると両親からの援助を受けない限り実現は難しいでしょう。教育資金を貯められていないと、子どもが希望する学校に進学させてあげられないかもしれません。

マイホームを購入したいと考えていても、貯蓄が不十分だと希望するタイミングで購入できない可能性があります。

「結婚してからお金を貯めればよいだろう」と考えている人もいらっしゃるはずです。しかし、結婚したからといって貯蓄ができるようになるとは限りません。特に子どもが生まれると、生活費や教育費が増えるため貯蓄をしにくくなります。

若いうちからお金を貯める習慣を身につけておくことで、結婚をしたあともお金が貯まりやすくなり、ご自身や家族の希望・夢が叶いやすくなるでしょう。

3.老後生活には蓄えが必要

「老後2,000万円問題」を聞いたことはないでしょうか。老後2,000万円問題とは、老後生活の平均収入と平均支出の差額から考えると、2,000万円の蓄えが必要というものです。金融庁が2019年6月に公表した報告書の中に記載されており、非常に話題になりました。

もちろん平均収入と平均支出を比べただけですので、老後に必ず2,000万円の不足が生じるとは限りません。とはいえ、老後に向けて資産を形成する必要性は高いです。

少子高齢化が進展していく日本において、将来の年金制度や公的保険制度が今よりも手厚くなるとは考えにくいでしょう。また、取り崩せる資産を持っていたからこそ、赤字で生活できていた高齢世帯も多いはずです。

若いうちから、収入の大半を老後の貯蓄に回す必要はありません。しかし、毎月1万円や2万円だけでも貯蓄する習慣を身に着けておくと、将来的に老後資金の積み立てを開始したとき資産を形成しやすくなります。

■収入から貯蓄に回すお金を確保する方法

では、どのように貯蓄をすれば上手くいくのでしょうか? ここでは、貯蓄に回すお金を確保する方法について解説します。

毎月の支出額を把握し「浪費」を減らす

お金が貯まらない人の多くは、毎月いくら使っているのかを把握できていません。そこで、「マネーフォワードME」や「Zaim」のような家計簿アプリを使って、ひと月の収支を確認しましょう。

家計簿アプリは、クレジットカードや銀行口座を連携するだけで、利用履歴や出金履歴から何のためにお金を使ったのか推測してくれます。家計簿を付けるのが苦手な方でも、簡単に家計簿が付けられます。

なお、家計簿は最初から正確に付ける必要はありません。正確に付けようと頑張りすぎると、長続きしない恐れがあるためです。例えば、スーパーで日用品と食材の両方を買った場合は、多い方の科目で計上しても問題ありません。

ひと月の支出額を把握できたら「消費」「浪費」「投資」にそれぞれいくら使ったのかを計算しましょう。

消費 : 家賃や食費、光熱費のように生活していくうえで欠かせない支出
浪費 : 贅沢品の購入や賭け事に支払ったお金などの無駄な支出
投資 : 株式投資やセミナーの参加費用など将来的なリターンが期待できる支出

浪費によって、ストレスを発散する習慣があるとまずお金は貯まりません。そのため浪費は、収入の1割未満を目安に減らしましょう。

若いうちから、その支出が将来の自分にとってプラスになるのかを考える習慣を身につけることは、非常に大切です。

収入から貯蓄分を先取りする

貯蓄が苦手な人は、収入から支出を差し引いた残りを貯蓄に回そうとします。しかし人は、手元にある分だけのお金を使ってしまうもの。そこで貯蓄が苦手な人は、お金が貯まる仕組みを作る必要があります。

具体的には、収入から貯蓄分を先取りする方法です。例えば、毎月2万円を積み立てる場合、給与が振り込まれた日に2万円を貯蓄口座に移しておきます。

私自身も貯蓄がとても苦手でした。そこで先取り貯蓄を始めたところ、ひと月の支出が収入から貯蓄分を差し引いた残りで収まるようになりました。

先取り貯蓄は、とても有名な方法で知っている方も多いでしょう。有名なぶん効果は高いため、毎月5,000円や1万円などの無理のない金額から先取り貯蓄を始めてみてください。

クラウドソーシングで仕事を受注する

毎月の貯蓄分を増やしたいのであれば、収入を増やすのも方法のひとつ。ランサーズやクラウドワークスなどのクラウドソーシングサイトを利用し、個人的に仕事を受注すると収入を増やしやすいです。

クラウドソーシングでは、プログラミングやデザインなどの専門的なスキルが問われるものから、簡単なアンケートまでさまざまなお仕事を受注できます。

ちなみに私がライターという仕事を始めたのは、クラウドソーシングでwebライティングの仕事を受注したのがきっかけです。クラウドソーシングは、収入を増やすだけでなく、やりたい仕事を見つける手段としても活用できます。

■まとめ

お金を使うことも大切ですが、お金を貯める習慣を身につけることも大切です。将来の選択肢を狭めて後悔しないように、可能な範囲で貯蓄を始めてみてはいかがでしょうか。

今回は、若者が貯蓄をする必要性について解説しました。次回は、貯蓄や資産形成の方法について解説していきます。