こんにちは。産業保健WEBメディア「サンポナビ」編集長の飯塚です。年末も差し迫った12月、皆さんは忙しい毎日を送っているのではないでしょうか。今回は残業による「過労死ライン」と呼ばれるものについてお話しします。

  • 「過労死ライン」を詳しく解説

    「過労死ライン」を詳しく解説

労働時間には「過労死ライン」というものがある

■「仕事していい時間」は法律で決まっている

ご存知の方も多いと思いますが、日本の法律では労働に使える時間を「1日に8時間まで」「1週間で40時間まで」と定めています。そして、残業や休日出勤でこの時間をオーバーして働くことを「時間外労働」と呼びます。

この時間外労働ですが、あまりに長時間になると体調不良やメンタルヘルス不調、最悪の場合には自殺や過労死に至ってしまうおそれがあるため、十分な注意が必要です。

■過度な残業で「過労死ライン」を越えていませんか?

時間外労働には通称「過労死ライン」と呼ばれるものがあります。「過労死ライン」とは労災の認定基準の一つで、働く人が体を壊したり過労死してしまった場合に注目される労働時間数です。

例えば、残業続きで心臓疾患になってしまった場合「病気になるまで、月に何時間の時間外労働をしていたのか」ということが基準になります。

■過労死ラインは“月80時間以上”の時間外労働

過労死ラインの時間数は、発症前の時間外労働が「1カ月100時間」あるいは「2~6カ月の平均で80時間」となっています。つまり、これだけの時間働いていたら「仕事が原因で病気になる可能性がある」ということですので、残業が多い方は十分に気を付けましょう。

また、この「80時間」は思うより簡単に超えてしまうことも考えられます。例えば、1カ月に20日間仕事をしたとして、毎日4時間残業したら80時間になってしまうのですから。

■過度な残業、辛くなったら相談を

「そんなこと言ったって、仕事の忙しさや会社の働き方は変わらない」と思う方もいるでしょう。しかし、健康的に長く働くことを考えると、こういった無理のある働き方を続けていくことは困難です。そんな時は、社内の産業医に相談することや、過重労働や違法な時間外労働の相談窓口である「労働条件相談ほっとライン」を活用し、状況の改善に努めてみてください。

厚生労働省委託事業「労働条件相談ほっとライン」

■「働きすぎ」の先に待っているもの

「自分のキャリア、スキルアップのために残って仕事をする」という前向きな労働もあれば、「仕事が終わらないからひたすら残業してる」「みんなが残っているから帰れない」という場合もあると思います。しかし、決して「残業しない=やる気がない」ということではありませんよね。

年末年始は特に忙しい方も多いと思いますが、仕事を途中で投げ出せないと考える責任感が強い人ほど体調不良・メンタルヘルス不調になりやすいともいわれていますので、ぜひ注意してください。