「withコロナ」という言葉が広く知られるようになって、おうち時間が以前とは比べ物にならないほど増えたいう方も多いのではないでしょうか?2020年と2021年は、おうちの中で楽しく自分らしく過ごしている様子を沢山の方が発信をされていましたよね。

過去に例を見ないほどたくさんの方が「おうち時間」について考えたこの2年、背伸びをせずに自分らしい暮らしを叶える一つの選択肢として、リノベーションが注目されています。ファミリーはもちろんのこと、特に昨年は単身の方のニーズが増え、私が所属するワンストップリノベーションサービス「リノベる。」のお客様のうち、3割が単身者という月もあるほどでした。

暮らしにフィットする住まいが重要に

まずは、国内の住宅市場のトレンドについてお話しします。

日本の住宅市場は新築偏重だと言われ、20年前の2002年時点で、新築住宅の購入者は8割、中古住宅を購入する方は2割でした。しかし2016年、首都圏においては中古マンションを購入される方が新築マンションを購入される方を上回り、現在首都圏のマンション市場の6割を占めています。時代が進むにつれて新築マンションと中古マンションが置かれる状況や、ユーザーの意識にも変化が起きています。

変化の1つ目として、新築マンションの価格高騰があります。今年の4月に発表されたデータで、2021年度の首都圏の新築マンション1戸当たりの平均価格がバブルの最高値を超え、過去最高となりました。高騰の理由としては、大きくは建築コスト高と新しい用地の減少、そして土地の値上がりがあります。価格高騰により、中古マンションを検討される方も増えています。

しかし、住宅購入は人生の中でも大きなお買い物です。新築マンションの価格が高いからという理由や妥協で選ばれているわけではありません。

まず、資産として価値が落ちにくい点がメリットとして挙げられます。中古マンションは、築20年を超えると価格の変動が少なく購入価格が新築と比べて抑えられるため、将来の売却の際に資産価値の目減りが少ないという特徴があります。ライフスタイルの変化にあわせた住み替えということも視野にいれながら、住まいを考えることができます。一見、新築の購入が出来ないという妥協の選択と捉えていた見え方も、「資産価値」という観点が加わることで、変わり始めています。

続いて、人々の暮らしの変化です。

かつては男性が仕事、女性は家で家事という意識があり、多少通勤時間がかかったとしてもマイホーム一戸建てを建てることが主流でした。しかし1999年以降は専業主婦世帯を共働き世帯が上回り、全員でうまく家事を分担するという考え方にシフトしています。様々な要因から、子育てに対する考え方も変わってきています。特にこの2年で働き方も多様化してきましたよね。家事負担を減らしながら、家族との時間や自分の時間をより多くとるためにはどうしたらよいかは、気になるテーマではないでしょうか。

家族が過ごしやすい家を求める方が増えたことで、自由に内装や間取りまで変えられるリノベーションは再び注目を浴びています。リノベーションは、壁紙やキッチンなどの住設機器だけでなく、間取りも変更することができ、自分たちによる、自分たちのための住まいが実現できるからです。

例えば、広いリビングをしっかり作り、家族で使えるファミリークローゼットで家事を効率化する。脱衣所にアイロン台や洗濯物を畳める作業台をつくる。さらに、コロナ禍ではワークスペースのニーズが顕著に上がりました。コロナ以前のニーズは4割でしたが、今は8割の方が希望していますし、リビングの一角に置くオープンタイプから、半個室、または個室として家族みんなが主役で使用できるライブラリスペースとして兼用するなど、自分たちの暮らしにあった住まいづくりが行われています。新築か中古かということより、自分たちの暮らしにフィットする住まいかどうかが重要であるという、意識の変化が起きています。

最後は、地球環境の意識の変化です。

ここ数年で「SDGs」という言葉をを目にする機会が増え、環境面への影響を考えて製品やサービスを選ぶ方も増えてきましたね。リノベーションは、今ある建物を活用するため、環境負荷を抑えながら、快適な暮らしができる選択肢でもあります。

マンション1棟の建て替えと比べると約7割程度のCO2排出量を削減することができたり、廃棄物量においては9割削減することができます。さらに、リノベーションを行う際に二重サッシや断熱をすることで、エアコンの使用頻度を減らせたり快適に過ごすことも可能です。最近では、お客様から「断熱」というキーワードを伺うことも増えました。在宅勤務やおうち時間が増えて電気代が増加したこと、さらに世界情勢の変化によりエネルギーへの関心が高まることで、断熱に目を向ける方も増えたのだと考えられます。また、使用する素材も、環境保全を考えて、特定の木材の取寄せのご相談をいただくこともあります。

リノベーションが、自分や家族にとって心地よく、さらに地球にも良い選択肢であるという認知が広がり始めています。

リノベーションで住まいに愛着を

リノベーションが広がることで、住まいに愛着を持ち、大切にしようという考えにつながることで、マンション自体の寿命が伸びていく。そして、中古マンションを買うのが当たり前になることは、ストック型社会の実現に繋がっていきます。条件はありますが、中古マンションでも住宅ローン控除は受けることが可能です。中古住宅流通とリフォーム・リノベーションの活性化は、国の住宅政策としても推進されています。

地球環境、暮らしを取り巻く環境、市場環境など、様々な変化により中古住宅が注目されています。しかし、大きなお金が動く住宅購入であり、中古であるという点でも、メリットだけでなく注意しなければならないことも多くあります。これについては、また今度お話しできればと思います。