子ども達が無理なく挑戦できる子ども向けのプログラミングツールは非常にたくさんあり、私が概要を把握しているツールだけでも90に上ります。子どもが楽しく負担なくプログラミングに親しめるように工夫されている分、ツールによってかなり特徴が違います。今回はゲームやパズルのような感覚で取り組める“ステージクリア型”のツールをご紹介します。ツール選びのひとつの指標にしてみてください。

プログラムの基本になる考え方に慣れるのが目的

ステージクリア型は、プログラミングの基礎的な考え方に慣れるために作られたツールで、入門にぴったり。代表的なのは「キャラクターをゴールに連れて行く」というミッションのゲームで、キャラクターの移動経路をプログラムしてステージをクリアしていきます。難易度が上がっていき、遊び感覚で取り組んでいるうちにプログラミング独特の考え方に親しむことができるのです。

プログラムには、「順次」(順番に実行する)「反復」(繰り返し実行する)「分岐」(条件に応じて違う処理を実行する)という3つの基本構造があり、簡単なプログラムから複雑なプログラムまで、この組み合わせで表現することができます。ステージクリア型のツールは、これらの概念を遊び感覚で体感的に理解できるよう工夫して作られています。

対象年齢やステージレベルによって、「順次」しか扱わない場合もあれば、3つの基本構造に加えて具体的なプログラミングの手法を扱う場合もあり、さまざまなバリエーションがあります。

小さな子どもからOKのアプリ

矢印アイコンなどでプログラムするアプリは、文字がわからない年齢のお子さんでも使えます。パズルゲームのような雰囲気の「LightBot」は、子どもから大人まで頭の体操のような感覚で楽しめるアプリです。

前回ご紹介した「コードモンキーJr.」もステージクリア型で、小さなお子さん向けに注意深くレベルをおさえてあり、じっくり楽しめるようになっています。一方、「アルゴロジック」は、幅広いレベルの問題が用意されていて小学生が気軽にできそうです。

知育玩具タイプも奥が深い!

直感的に使える知育玩具のようなガジェットもあります。iPadとセットで使う「Osmo Coding」は、手作業でプログラムブロックを並べて実行するとアプリの画面内でキャラクターが動くという面白いツール。手作業の良さとアプリならではの世界観が両方生きています。

タブレットなしで使える「matatalab」は、専用プログラムボードとプログラムブロック、小さなロボットのセット。前回ご紹介した小さなお子さん向けの「キュベット」と同様に、ロボットのゴールを決めてプログラムを作って動かして遊ぶので、ステージクリア型と言えます。

文字ブロックでプログラミングらしさアップ~小学校中学年以上

アプリにもさまざまなレベルがあり、アイコンを並べるタイプよりも、文字ブロックを並べるタイプのツールの方がよりプログラミングらしさが増します。ステージクリア型のツールが豊富なのが「Code.org」のHour of Codeのコーナー。ウェブブラウザでアクセスできて人気キャラクターを使ったものが複数ありますので、気軽に試してみると良いでしょう。対象は小学校中学年以上が目安です。

本格的なプログラミング言語にも挑戦!~小学校高学年以上

子ども向けのプログラミングツールは、前回紹介した通りビジュアルプログラミングタイプのものが多いのですが、あえて、文字で記述するプログラム言語を扱っているものもあります。記述ミスでつまずかないように、選択肢から選んで入力するなどの工夫がされています。英語に目が慣れていないと拒否感があるかもしれないので、小学校高学年以上がおすすめです。

例えば「Swift Playgrounds」は、AppleのiOS用アプリの開発に使われるSwiftというプログラミング言語を楽しく学べるアプリ。ゲーム感覚で取り組めて心のハードルが下がりますし、初歩からかなり深いところまで学べるように細かくステージが分かれていて、ていねいに導いてくれます。

今回ご紹介したステージクリア型のツールは、プログラミングの考え方に慣れるためのものですから、ウォーミングアップや練習問題のような位置づけで使うのが良いでしょう。ステージクリア型で考え方の基礎がつかめたら、自分の作りたいものをプログラミングしましょう! 次回は、自由にプログラミングして自分のアイデアで作品作りができる“クリエイティブ型”のツールを紹介します。