健康を維持するには何を食べ、どんな運動をすれば良いのか。根拠の不確かな情報に翻弄されるよりも、健康長寿の人たちの生活習慣をマネするほうが賢明なはず。
本連載では、『世界一長寿で幸せな村 イタリア ピオッピ式 最高の長生き術』(わかさ出版)から、イタリア南部の長寿村、ピオッピ村の人々の生活習慣にならい、毎日多忙な社会人でも効率よくヘルシーになれる方法を紹介する。
長生きの秘訣は"高脂肪の地中海食"
ピオッピ村の人々の平均寿命は、男女合わせてなんと87歳。さらに、高齢者はみな寝たきりになるどころか、坂道をスタスタと歩く。アルツハイマーやがん、心臓病などとも無縁であることから、世界中から調査団が殺到する村。
そんなピオッピ村の人々の食事スタイルを一言で表すと、"高脂肪の地中海食"だ。ただの地中海食ではなく、"高脂肪"というのが重要なポイント。ピオッピ村では、脂ののった魚やチーズなど、良質な油脂をたっぷり取る人が多いそうだ。
脂肪はすべて悪いものではない
著者によると、脂肪=体に悪そう、というイメージから、脂肪の摂取を控えている人は要注意。例えば、スーパーやコンビニでよく見かける"低脂肪"牛乳や"低脂肪"ヨーグルトなどの低脂肪食品は、実はお勧めできない。
低脂肪食品には、おいしく感じる添加物(糖分など)が使われている場合があるからだ。脂肪分を抜いてしまうと、食べ物は味気なくなるため、代わりに体に良くない添加物が含まれていることがあるので気を付けようという。
また、ケンブリッジ大学医学研究会議によって行われた比較試験の解析によると、乳製品に含まれるタイプの飽和脂肪を取ると、心臓病のリスクをむしろ減らす方向に働くことが分かっているそうだ。
さらに、最近のハーバード大学の研究によれば、全脂肪乳製品を多く食べている人は、内臓脂肪が少なく、2型糖尿病の発症リスクが62%も低いことが分かっている。つまり、健康になりたければ、良質な高脂肪食品は積極的に取るほうが良いようだ。
では、"良質"な脂肪とは、一体どのような食品に含まれているのだろうか? ここでは、忙しい社会人でも手軽にとれる2大食品を本書から紹介したい。
オリーブオイルは糖質の吸収を抑える
1つ目は、ピオッピ村の人々にとって"健康の万能薬"であるオリーブオイル。普通のオリーブオイルでも良いが、できればファースト・プレス(一番搾り)のオリーブオイル100%の「エクストラバージンオリーブオイル」を選びたい。
1日の摂取目安量は大さじ2〜4杯。炒め物に使っても良いし、サラダやスープにかけても良い。また、ダイエット中だけどご飯や麺などを食べたい人は、オリーブオイルで炒めるのがお勧め。
アンチエイジングの第一人者である白澤抗加齢医学研究所所長の白澤氏によれば、糖質の高い食品はオリーブオイルで炒めることで、糖質の吸収を抑える工夫ができるという。
ひとつかみのナッツでメタボを予防
2つ目は、クルミ、アーモンド、ヘーゼルナッツなどのナッツ類だ。ピオッピ村の人々は、特にアーモンドを好んで常食しているという。
地中海食の効果を検証するためにスペイン政府が出資したPREDIMED研究の試験では、毎日ナッツ類をひとつかみ食べていた人は、認知機能の低下が少なかったそうだ。さらに、メタボリックシンドロームや2型糖尿病の人にナッツ類を食べてもらったところ、血糖コントロールに改善が見られ、動脈機能に与える影響は、エクストラバージンオリーブオイル以上に優れていることが分かったらしい。
1日の摂取目安量はひとつかみ程度。無塩のものを選び、食べ過ぎには気を付けよう。
今回は"良質な脂肪"を含む食材ということでオリーブオイルとナッツを取り上げたが、ピオッピ村の高齢者が栄養源にしている食材は、他にもたくさんある。次回も本書から紹介したい。