先日、「ポポラマーマ」というパスタ専門のチェーン店で食事をすることがあったんです。さすが専門店だけあってメニューがかなり豊富。迷いに迷ったあげくに選んでみたのが、「ヨード卵・光と牛肉のすき焼き風」という、世にも珍しい“すき焼き風”のスパゲティ。
これが、牛肉の贅沢な味わいと和風甘辛味が生麺にこだわったというパスタに絡み、ものすご〜く美味しかったんですよね。すき焼き味なので、頂点にのった生の卵黄を途中で崩しても、うっとりの相性。ちびちびとつまみながらグラスワインを飲む優雅な昼下がりを、ぞんぶんに堪能させてもらったのでした。
で、こんなの、当然家でもまねしてみたくなりますよね。けれども待てよと。似たようなコンセプトでありながら、もっとお手軽に作れて、そしてもっともっとお酒のつまみ向けになりそうな予感がするアレンジを思いついてしまったんですよね。それが、焼きそばというわけ。
ほら、すき焼きも焼きそばも、実は冷めても美味しいという共通点があるじゃないですか(少なくとも僕はそう信じています)。それってつまり、よりおつまみ向きじゃないですか。
よし、どう考えたって失敗はしないだろうけど、さっそく作ってみましょう!
すき焼きと焼きそばの融合
材料は、本格的なすき焼きのようにあんまりあれこれよくばらず、シンプルでいいんじゃないかな。今回は、牛肉、長ねぎ、しめじでいってみましょうか。まぁ、僕が特に好きな具材というだけなので、なにを入れるもお好みで。
そりゃあ、いい肉であればあるほどぜいたくな味わいになるとは思いますが、しかし一方で、あくまでお気軽な晩酌クッキング。比較的お手頃で、脂もほどよく入ったオージービーフのこま切れを買ってきてみました。余裕のある方は、良い和牛などでどうぞ。
次に、以前当連載で「おつまみソース焼きそば feat.タコさんウインナー」というメニューを紹介した際にもまったく同じことを言いましたが、焼きそば作りにおける大きなポイントをひとつ。それは、袋の表記どおりに水を加えて麺をほぐすのではなく、あらかじめ麺を予熱してほぐしておくこと(水は加えない)。これで全体がぱらりと軽快に仕上がります。
すると5分くらいで麺はパラパラにほぐれてくれます。
コンロが2口以上あるならばメインのフライパンとは別にこの作業を同時進行しておき、なければあらかじめ麺の下ごしらえを済ませておきましょう。では、いよいよ焼きそば作り。
大きめのフライパンに油をひき、弱火にしてまずはねぎにしっかり火を通します。透明感が出てきたら、しめじと肉を加えて弱〜中火でさらに炒めます。
全体にざっくりと火が通ったら、最後に麺と市販の「すき焼きのたれ」を投入して炒め合わせます。少し火を強め、水気を飛ばしつつ焼き上げるイメージがいいかもしれません。
すき焼きのたれの分量は、商品にもよるので「大さじ〇〇」などとは言えないのですが、いきなり入れすぎてあまり水っぽくならない範囲で、味見をしつつ判断してみてください。自作派のかたは当然、醤油、みりん、砂糖などを調合したたれを使っても。
ちなみに我が家では、最近何気なく買って気に入った「キッコーマン わが家はすき焼屋さん 熟成仕込割下」をよく使っています。お手頃でおすすめ。
当然と言えば当然なんですが、うまい! いつもの袋焼きそばで作ったとは思えない新鮮な味わいで、ビールがすすみます。
あ、ちなみにあまった粉末ソースは捨てずに、野菜炒めやチャーハンなどに転用してみるとまた楽しいでしょう。
また、すき焼き味ということでかたわらに溶き玉子を用意し、つけ麺風に食べてみるのも良かったですよ。さらに、肉や野菜だけを玉子に浸して食べると、それはもう、まんますき焼き! と、楽しみかたの自由度が高いのも、このメニューのいいところだと思いました。
作りかた
【材料】
・市販の袋焼きそば:1人前
・牛肉:好きなだけ
・長ねぎ:好きなだけ
・しめじ:好きなだけ
・すき焼きのたれ:適量
・玉子:1個
※すべての分量は目安です。お好みで調整してください。
【作りかた】
1.弱火にかけたフライパンに麺を入れ、あれば酒少々をかけて熱を加えつつほぐしておく。
2.フライパンに油をひき、カットした長ねぎを弱火で炒める。
3.火加減を弱〜中火くらいにして、しめじと牛肉を加える。
4.全体に火が通ったら麺とすき焼きのたれを加え、火加減をさらに強めて炒め合わせる。
5.お好みで溶き玉子を添える。