一般的なクレジットカードの多くは、貯まったポイントを公益法人などへの寄付に使えるが、特に手続きをしなくても普通に使っているだけで利用額の一部が自動的に寄付される、社会貢献型のカードも発行されている。寄付先はカードによってさまざまだが、今回はそのなかでも、複数の種類が発行されている日本赤十字社に寄付できるカードを紹介したい。
赤十字DCカード
「赤十字DCカード」は、カード利用代金の一部が、発行元である三菱UFJニコスから日本赤十字社に寄付される。具体的な寄付額に関しては非公表となっているが、1992年から長年続いている歴史あるカードだ。
国際ブランドはVisaとMastercardから選択でき、一般カードおよび学生カードは年会費1,350円で初年度無料。リボ払いサービスの「楽Pay」に登録し、年1回以上リボ手数料の支払いがあると、次年度年会費は半額の675円となる。
毎月の利用額に応じて「DCハッピープレゼント」のポイントが貯まり、基本は1,000円につき1ポイント。カード利用代金にポイントを充当することも可能で、この場合は1ポイント=4円相当となる。各種電子マネーや提携ポイントに移行する場合は、1ポイント=3〜5円相当。このほかにギフトカードやカタログ商品、JALのマイルなどにも交換できる。
ゴールドカードも発行されており、こちらの年会費は1万800円。前述した「楽Pay」の条件を満たすと、次年度年会費は3,000円引きの7,800円となる。ゴールドカードは最高5,000万円を補償する旅行傷害保険や、年間最高300万円を補償するショッピング保険、国内主要空港のラウンジが無料で利用できるサービスも付帯している。
赤十字オリコカード
「赤十字オリコカード」は、カード利用代金の0.5%が、発行元であるオリエントコーポレーションから日本赤十字社に寄付される。年会費は1,350円で初年度は無料。国際ブランドはMastercardとなる。
毎月の利用額に応じて「暮らスマイル」のポイント(スマイル)が貯まり、基本は1,000円につき1スマイル。年間利用額に応じてスマイルの付与率はアップし、利用額が50万円以上に達すると翌月から次年度まで1.5倍、100万円以上では1.7倍、200万円以上では2.0倍となる。
貯まったスマイルは各種カタログ商品やギフトカードに交換できるほか、オリコポイントに移行(1スマイル→5オリコポイント)すると電子マネーや提携ポイント、Amazonギフト券、iTunesギフトコード、Google Play ギフトコードなどにも交換可能。ほかにもANAやJALのマイルに交換できるなど、使い道が豊富に用意されていることも特徴だ。
旅行傷害保険も付帯しており、海外は最高2,000万円、国内は最高1,000万円を補償。引落口座をみずほ銀行に指定し、月3,000円以上利用などの条件を満たすと、みずほ銀行ATMの時間外手数料が無料、提携するコンビニATMの利用手数料・時間外手数料が月4回まで無料などの特典も受けられる。
Honda Cカード
「Honda Cカード」は、カード総利用代金の0.02%(2018年度時点)が、本田技研工業から日本赤十字と日本ユニセフ協会に寄付され、2018年現在までに寄付額は累計9億3,000万円に達している。年会費は一般カードの場合で1,620円。国際ブランドはVisa、Mastercard、JCBの3種類から選べるが、ブランドによって発行会社は異なり、三菱UFJニコス発行のカードは、前述した「楽Pay」の条件を満たすと、次年度年会費が半額の810円となる。
毎月の利用額に応じて「Hondaキャッシュポイント」が貯まり、基本は100円につき1ポイント。対象となるHondaの二輪および四輪販売会社で車両購入やメンテナンスの料金を支払った場合はポイント2倍となる。
ポイントの利用方法はやや複雑。Honda車の車検・12カ月点検、Honda二輪新車購入時は1ポイント=1円、Honda四輪新車・中古車購入時は2ポイント=1円として、現金または楽天Edyでキャッシュバック。それ以外の場合は、10ポイント=1円として楽天Edyに交換できる。いずれも細かい条件があり、Honda四輪販売店店頭でしか手続きできないので、どのようにポイントを使うかは申し込み前に確認しておいたほうがいいだろう。
ほかにも付帯サービスとして、鈴鹿サーキットやツインリンクもてぎなどHonda関連施設にて、カード提示で割引を受けることが可能。また、宿泊やレジャー施設を中心に、会員限定の様々な優待が受けられる「クラブオフ」も利用できる。
ゴールドカードも発行されており、年会費は1万800円。三菱UFJニコス発行のカードであれば、前述した「楽Pay」の条件を満たすと、次年度年会費が3,000円引きの7,800円となる。ゴールドカードでは各種付帯保険や国内主要空港のラウンジサービスも利用可能だが、発行会社によって内容は若干異なるので、申し込む際には事前に確認しておこう。
JACCS CARD link
「JACCS CARD link」は、日本赤十字社、日本ユニセフ協会、国連UNHCR協会のなかから申込時に寄付先を選択するカードで、カード利用代金の0.3%が入会から5年間、発行元のジャックスより寄付される。年会費は1,350円で初年度無料。国際ブランドはVisaとなる。なお、カードの有効期限でもある5年後は原則として更新カードが届くが、寄付機能はないものとなる。
毎月の利用額に応じて「ラブリィポイント」が貯まり、基本は200円につき1ポイント。年間利用額に応じて次年度のポイント付与率はアップし、20万円以上では1.4倍、50万円以上では1.5倍、100万円以上では1.7倍、200万円以上では1.9倍、最高となる300万円以上では2.0倍となる。
貯まったポイントは、カード利用代金に充当できる「Jデポ」に交換すると、1ポイント=1.05円相当となる。対象の携帯電話利用料に充当する「Jデポモバイル」に交換の場合は、1ポイント=1.1円相当。ほかにも各種提携ポイントやANAおよびJALのマイル、ギフトカード、カタログ商品などに交換でき、1,000ポイント=1,000円分として日本赤十字社などへの寄付も可能となっている。
海外最高2,000万円、国内最高1,000万円を補償する旅行傷害保険も付帯。WEB明細サービスに登録すると、宿泊やレジャー施設を中心に様々な優待を受けられる「J’sコンシェル」も利用可能になる。
以上、4枚のカードを紹介したが、寄付先は同じでも、寄付率やカード自体の特典はさまざま。何を重視して選ぶかは人それぞれだと思うが、いずれも年会費が発生するカードで、還元率や寄付率が特別高いわけでもないので、1円でも多く寄付したいのであれば、より還元率の高いカードを使って、自分で寄付したほうがいいだろう。
こうした社会貢献型カードのいいところは、いつも通りの感覚で普通にカードを使っているだけで、勝手に寄付が行なわれていくことだ。また、カードを出すたびに社会貢献も意識できる。今回紹介した日本赤十字社以外にも、社会貢献型カードは数え切れないほどの種類が発行されているので、寄付したい気持ちはあるがなかなか行動に移せない人は、ぜひ自分の考えに合う1枚を探してみてほしい。
なお、各カードとも寄付の証明書が発行されるわけではないため、税金控除を受けられない点は理解しておきたいところ。税金控除を受けたい場合は、寄付先の指定する方法に従う必要がある。ちなみに日本赤十字社は、2,000円以上であればクレジットカード払いでも寄付ができ、税金控除の対象となる領収書の発行も可能だ。
(※クレジットカードの用語などは以下を参照)
『シーンで選ぶクレジットカード活用術 (1) 最低限知っておいてほしい基礎知識』
■ 筆者プロフィール: タナカヒロシ(ライター・編集者)
普段は音楽やエンタメ関係の仕事が多いが、過去に勤めていた会社の都合でクレジットカード本を作ったことをきっかけに、クレジットカード、電子マネー、ポイントなどに詳しくなる。以降、定期的にクレジットカードのムック本を編集・執筆。3月8日発売の『最強クレジットカードガイド2017 本当にトクするカードの選び方・使い方=写真=』(角川SSCムック)では、編集統括および記事の大部分を執筆している。