昨年、「バーチャルVisaカードとしても使える個人間送金アプリ」として紹介した「Kyash」が、今年6月にリアルカードの発行を開始し、実店舗でも利用できるようになった。それと同時に、Visaカードを使った支払いに対して2%がキャッシュバックされるプログラムもスタート。それ以外にも昨年の紹介時から大きくバージョンアップしているので、改めてKyashの機能をまとめたいと思う。

メアドと電話番号の登録だけで利用可能

Kyashはチャージした残高を使って、ユーザー同士の送金と、Visaカードでの買物ができるサービス。アプリをダウンロードしてメールアドレスや電話番号などを登録すると、すぐにユーザー同士で送金できるようになり、ネット上で使えるVisaカード番号も発行される。住所などを登録してリアルカードを申し込めば、後日郵送されるVisaカードで実店舗でも買物ができるようになる。

  • アプリ上での利用イメージ

残高は、他のユーザーから送金を受けるか、現金チャージ、提携ポイントからの交換で増やすことが可能。クレジットカードまたはデビットカードを登録しておけば、送金や買物時に残高が足りなくても、自動で不足分だけをチャージしてくれる。なお、一度チャージされた残高は現金に戻すことはできない。

現金チャージは、ローソン、ファミリーマート、ミニストップなどのコンビニ、ペイジーに対応した銀行ATMまたはインターネットバンキングで行うことができ、いずれも3,000円から対応。1日のチャージ上限金額は3万円となる。提携ポイントからの交換は、Gポイントとネットマイルに対応する。クレジットカードまたはデビットカードは、VisaとMastercardブランドのみ対応で、最大5枚まで登録可能。どのカードをチャージに利用するかは、アプリ上で簡単に切り替えられる。

  • コンビニチャージはアプリで申請後、コンビニ端末で申込書を発券してレジで支払う

  • クレジットカードおよびデビットカードは5枚まで登録可能で、追加登録は1日1枚まで

Visaカードを使った買物は2%キャッシュバック

Visaカードを使った買物では、利用額の2%がキャッシュバックされる。キャッシュバック額は1回の決済ごとに計算され、1円未満の端数は切り捨て。つまり、50円利用につき1円のキャッシュバックとなる。キャッシュバックは、毎月1日から末日までの利用分が翌月の25日から末日までの間にまとめてKyash残高に加算される。

  • キャッシュバックされた金額は履歴に表示される

ただし、一部キャッシュバック対象外の取引もあり、WAON、nanaco、楽天Edyなどの電子マネーチャージ、金券や商品券、公共料金、税金、年金、寄付の支払いなどが該当する(利用自体不可の取引も一部あり)。モバイルSuicaに関しては、1回6,000円以上のチャージおよび購入のみがキャッシュバック対象。Amazonギフト券やスターバックス カードのチャージなどは、通常の取引と同様にキャッシュバック対象となる。詳しくは公式サイトのFAQで確認してほしい。

Visaカードは24時間あたり3万円、1カ月あたり12万円が利用上限

KyashのVisaカードは、仕組みとしてはプリペイドカードであるため、その特性的に高速道路やガソリンスタンド、月々の支払いなどでは使えない場合がある。また、3Dセキュア(本人認証サービス)を必要とするサイトや、海外の実店舗も利用不可。3Dセキュアを必要としないサイトであれば海外でも利用可能で、その際は所定の為替レートに対して3%の手数料が発生するが、プリペイドカードとしては一般的、もしくは低い部類に入る料率だ。

もうひとつ注意すべきなのが利用上限。Visaカードでの決済は24時間あたり3万円まで、1カ月あたり12万円までとなっている。したがって、1カ月のキャッシュバック金額は、2,400円が最大となる。Visaカード自体の有効期限は5年で、期限内の利用上限は100万円。累計100万円に達した場合も、更新手続きをすれば利用は継続できる。なお、送金の場合は1回あたり3万円、1カ月あたり10万円が上限で、Visaカードの決済額とは別に計算される。

  • Visaカードはアプリ上で一時ロックの設定・解除が簡単にできるため、利用しないときはロックしておけば不正利用される心配もない

自動チャージを使えば、クレジットカードのポイントも貯まる

2%のキャッシュバックだけでも非常に高い還元率と言えるが、Kyash残高にクレジットカードまたはデビットカードから自動チャージした場合、原則としてチャージに使ったカードのポイントも貯まる。たとえば還元率1%のクレジットカードを紐付けていたなら、Kyashの2%キャッシュバックと合わせて、計3%の還元を受けられることになる。

この際、自動チャージに使ったクレジットカードまたはデビットカードの利用明細は「Kyash」として計上される。たとえば、モバイルSuicaへのチャージがポイント対象外のカードでも、Kyashを通してチャージすれば明細上は「Kyash」となるため、ポイント対象にすることが可能だ。

  • 自動チャージに使ったクレジットカードの利用明細(MUFG CARD WEBサービスの明細画面)

現在は還元率2%というだけでもかなり希少なカードとなるが、Kyashは自動チャージを使えば還元率をさらに上乗せさせることができる。利用上限やキャッシュバック対象外取引などはあるものの、入会金も年会費もかからず、登録も早ければ1分足らずで終わるので、使っておいて損はないだろう。

しかしながら、ここ数年の業界事情的には、高還元率のカードは採算が取れずに短命に終わる傾向がある。Kyash側は、2%キャッシュバックは一時的なキャンペーンではなく、継続的なプログラムとして提供する予定としているが、もしもの制度変更に備えてサブで使えるカードは用意しておいたほうが安全だ。

Kyashは近日中にGoogle Payにも対応予定で、対応後はスマートフォン(おサイフケータイ対応のAndroid端末)をかざすだけで、Kyash残高を使ってQUICPay加盟店でも支払いができるようになる。こちらも2%キャッシュバックの対象になるのか、利用上限はあるのか、サービスがスタートした際には改めて紹介したいと思う。

(※クレジットカードの用語などは以下を参照)

『シーンで選ぶクレジットカード活用術 (1) 最低限知っておいてほしい基礎知識』

※本記事で紹介したサービス内容は、消費税率8%を前提とした更新日時点の情報です。ポイント価値は編集部にて算出。利用方法によって上下する場合があります。また、各サービスには一部対象外となるケースがあります。ご利用の際は公式サイトなどで最新の情報をご確認ください。

■ 筆者プロフィール: タナカヒロシ(ライター・編集者)

普段は音楽やエンタメ関係の仕事が多いが、過去に勤めていた会社の都合でクレジットカード本を作ったことをきっかけに、クレジットカード、電子マネー、ポイントなどに詳しくなる。以降、定期的にクレジットカードのムック本を編集・執筆。3月8日発売の『最強クレジットカードガイド2017 本当にトクするカードの選び方・使い方=写真=』(角川SSCムック)では、編集統括および記事の大部分を執筆している。