クレジットカードに関する記事をよく書いているため、たびたび知り合いから「審査に通らず困っている」という相談を受ける。しかし、職業や年収など属性を急に変えることはできないので、そうした際は申し込む時期と申し込むカード、この2つに気をつけるようアドバイスしている。

申し込む時期

カード会社は入会の申し込みを受けると、信用情報機関が管理する信用情報を照会し、申込者が入力した情報と合わせて審査を行っている。信用情報機関には会員会社から送られてくるクレジットやローンなどの契約内容や支払い状況、申し込み履歴などが登録されており、これには分割払いで買った携帯電話など割賦販売の情報も含まれる。

契約および支払いに関する情報は契約終了から5年後まで保管されるため、この期間内に支払いの遅延があった場合は、審査に大きな影響がある。また、契約ごとに直近の2年間は、毎月の支払い状況も登録されているため、カードを持っているのにまったく使わない人といった情報もカード会社には筒抜けとなる。不要なカードは早めに解約し、保有しているカードはできるだけ定期的に利用すると、審査では好印象となる。

CICで開示した信用情報の一部。入金状況の「$」は請求通り支払いが行なわれた、「-」は利用がなかったことを表している

申し込み履歴は過去半年分が見られる。短期間に何度も申し込みを繰り返していると、不正な目的があるのではないかと疑われる恐れがあるので、審査に通らないからといって、手当たり次第に申し込んでは逆効果。万全を期すなら、半年間は申し込みを我慢したほうがいいだろう。

CICで開示した信用情報の一部。カードの新規申し込みをした際の情報が記録されている

ちなみに主要な信用情報機関はCIC、JICC、全国銀行個人信用情報センターの3つ。ほとんどのカード会社はCICの会員で、複数の機関の会員になっている会社も少なくない。また、延滞などのネガティブな情報は各機関で共有されている。

なお、信用情報の登録は、カードの申込時やローン契約時に規約に明記されており、勝手に登録されているわけではない。申請すれば登録された信用情報を開示してもらうことも可能で、1回につき500~1,000円の手数料が必要となり、手続きも面倒だが、自分の個人情報がどのように登録されているのか、一度見ておくのもいいだろう。詳しい申請方法は各機関のホームページを参照してほしい。

申し込むカード

各カード会社の審査基準は門外不出だが、一般的には銀行系カード、信販系カード、流通&ネット系カードの順に審査が甘くなると言われている。なかなか審査に通らない人は、まずはコンビニやスーパー、ネット通販などのカードに申し込んでみるといいだろう。

信販系や銀行系のカード会社では、ゴールドカードよりも一般カード、一般カードよりもリボ払い向けカードのほうが審査には通りやすい。また、20代限定など若者向けのカードが発行されている場合もあるので、年齢条件が合うなら、こうしたカードのほうがハードルは下がるだろう。

貯金に余裕があるなら、できるだけ1つの銀行口座に預金を集中させて、その銀行が発行するクレジットカードを申し込んでみるのも手だ。どんなに優良な属性情報よりも、よほど説得力のある審査材料となる。個人的には、この方法をいちばんオススメしている。

なお、クレディセゾンとアメリカン・エキスプレスが発行するカードは、審査が特殊と言われており、低属性でも入会できた、逆に高属性でも審査に落ちたというケースをよく耳にする。信用情報の利用履歴やカード保有枚数を見て、確実にカードを使ってくれる人なのか審査していると思われるが、本当にカードを必要としているなら、他社のカードに落ちたという人も、チャレンジしてみる価値はあるだろう。実際に私に相談してきたうちの一人は、銀行系のジェーシービーと信販系のライフカードの一般カードは落ちたが、年会費1万2,960円のアメリカン・エキスプレス・カードは作ることができた。

おトクなクレジットカードを使いたくても、審査に通らなければ意味がない。特にクレジットヒストリー(クレヒス)とも呼ばれる信用情報は審査に大きく影響し、クレヒスが優良なら低属性でも審査に通りやすくなる。私は過去に何度か、年収をどのくらいまで下げて申し込むと審査に落ちるのか実験しているが、20代で実家暮らしだったときも、30代の一人暮らしで賃貸・固定電話なしのときも、年収100万円と入力して審査に通っている。

また、現金主義を貫いてきた人は、いかに優良な属性であっても、30代を過ぎると審査に通らなくなることも少なくない。説明すると長くなるので、詳しくは「スーパーホワイト」で検索してほしいが、クレヒスが真っ白だとカードだけでなく住宅ローンなどの審査にも悪影響を与えることもある。将来を見越してクレジットカードは早めに作り、クレヒスを磨いておこう。

(※クレジットカードの用語などは以下を参照)

『シーンで選ぶクレジットカード活用術 (1) 最低限知っておいてほしい基礎知識』

※本記事で紹介したサービス内容は、消費税率8%を前提とした更新日時点の情報です。また、各サービスには一部対象外となるケースがあります。ご利用の際は公式サイトなどで最新の情報をご確認ください。
<著者プロフィール>

タナカヒロシ(ライター・編集者)

普段は音楽やエンタメ関係の仕事が多いが、過去に勤めていた会社の都合でクレジットカード本を作ったことをきっかけに、クレジットカード、電子マネー、ポイントなどに詳しくなる。以降、定期的にクレジットカードのムック本を編集・執筆。3月8日発売の『最強クレジットカードガイド2017 本当にトクするカードの選び方・使い方=写真=』(角川SSCムック)では、編集統括および記事の大部分を執筆している。