東京2020オリンピック競技大会では、史上最多となる33競技339種目の開催が予定されている。本連載では、イラストを交えながら各競技の見どころとルールをご紹介。今回は「ラグビー」にフォーカスする。

広いラグビーフィールドで繰り広げられる、スピーディな展開、強烈なタックル

ラグビーの起源は、「1823年にイギリスのパブリックスクールであるラグビー校で開催されていたフットボールの試合中、ウェッブ・エリスという少年が突然ボールを抱えて相手のゴール目指して走り出した」こととされている。その後、ラグビー校ではボールを持って走ることが一般的になり、「ラグビースクールフットボール」が人気となった。

イングランドでは沢山のラグビークラブが作られ、ラグビーは世界に普及していった。1871年にラグビーフットボールユニオン(RFU:現在のイングランドラグビー協会)が設立され、初の国際試合がイングランドとスコットランドの間で行われ、1886年には国際ラグビーフットボール評議会(IRFB)が発足した。15人制(ラグビーユニオン)、13人制(ラグビーリーグ)、7人制など、様々なラグビーが世界各地でプレーされ、各種大会が開催されている。

オリンピックでのラグビーの歴史をひもとくと、パリ1900大会、ロンドン1908大会、アントワープ1920大会、パリ1924大会で15人制ラグビーが実施され、その後長いブランクを経てリオデジャネイロ2016大会より7人制ラグビーとして復活した。女子ラグビーはリオデジャネイロ2016大会が初めての実施となった。

相手を抜くステップ、走りきるスピード、パス、キックなど、後ろにしかパスができないこと以外は自由度が高い競技で、様々な戦術を駆使して相手陣のゴールラインにボールを運ぶことで得点が得られる競技。得点後にはキックによる加点もある。

フィールドの大きさは、7人制でも15人制と同じ幅70メートル、長さ100メートル。広いフィールドを少ない人数でプレーする分、一人ひとりのスピードやタックルの強さが一層求められる。また、長いパスを多用してボールを大きく動かすためダイナミックな試合展開となるのも魅力だ。

試合時間は15人制の80分に対して14分と短く、ハーフタイム2分間を挟んで全員が一瞬たりとも気を抜けないスピーディな戦いを繰り広げる。見る側も決して目を離せない。

得点方法は4種類あり、相手のゴール領域内でボールを接地させる(グランディング)「トライ」が5点、トライ後にゴールポスト間にボールを蹴り入れる「コンバージョンゴール」が2点、試合の流れの中でゴールポスト間にボールをワンバンドさせて蹴り入れる「ドロップゴール」は3点、相手反則時に与えられるペナルティキックでのゴールが3点。試合時間が短いので、常にトライを先行しているチームが有利で、トライ後のコンバージョンによる2点の加点は勝敗や戦術に大きく影響する。

チームはフォワード3人、バックス4人で構成され、1試合につき1チーム5回まで交代ができる。ポジションとしての呼び名はあるものの、15人制ほどポジションによって役割が決まっておらず、一人ひとりの瞬時の判断で攻守が変わり、どこからでもトライを取ることを狙っているので、非常にエキサイティングな試合展開となる。時には100m近く走るトライも生まれるため、スピード自慢の選手が多いのも7人制の特徴だ。

東京2020大会には男女ともに12チームが出場し、メダルを争う。

イラスト:けん

出典:公益財団法人東京オリンピック・パラリンピック競技大会組織委員会