OJTトレーナーを務めるにあたり、大事になるのが新入社員の性格を把握することです。今回は、今年の新入社員の傾向について、アンケート調査の結果などを参考に読み解いていきます。今年の新入社員の傾向は一体どのようなものなのでしょうか。

  • 今年の新入社員の傾向とは? 仕事への期待度が過去最高に

仕事に対して前向き

「2018年マイナビ新入社員意識調査」によると、今年の新入社員は仕事に対しては総じて前向きな傾向にあるようです。「仕事への期待がある("どちらかといえば"含む)」と答えたのは、なんと過去最高の74.1%。前年比で6.1pt増となりました。

  • 今年の新入社員の傾向とは? 仕事への期待度が過去最高に

    社会人生活に対する"期待の度合い"を教えてください

また、「仕事を通じて叶えたい夢がある」と答えたのも前年比4.5pt増の71.8%となり、仕事に対して総じて前向きな姿勢であることがうかがえます。

  • 今年の新入社員の傾向とは? 仕事への期待度が過去最高に

    仕事を通じて叶えたい夢がありますか

この2問は、調査開始以来減少傾向にありましたが、今年は一転して上昇しています。売り手市場が進むなか、「拾ってもらったところに入社した」のではなく、「自分で入社先を選んだ」との自負が強く、その結果、仕事への期待やそれを通した夢を持つ新入社員が増えたのではないでしょうか。企業側からも内定辞退防止のための手厚いフォローがあり、社会に出るにあたり、期待が不安を上回る状況であると思われます。

頭がよく飲み込みが早い一方で……

この世代には「頭がよく飲み込みが早い」という特徴があります。頭の回転が速いので、仕事も比較的すぐ覚えてくれます。その分、仕事の目的・意味をこれまで以上に伝えていくとよいでしょう。

一方で、「決めつけてしまいがち」という弱点も併せ持っています。頭がいい分、「この会社は合っていないのでは」とすぐ結論を出してしまいがちです。自分で考えられるのは良いことですが、社会人としての経験の重要性は、年数を重ねて分かっていくもの。その点はOJTトレーナーとして注意してみておくとよいでしょう。

「聞かれたことになんでも答えられる」「トラブル対応を速やかに行える」など、経験値の高さが大きい強みになることも、OJTトレーナーとして教えてあげるとよいかもしれません。

自信と"さとり"が混在している

新入社員たちはバブル後に生まれ、「失われた10年」に幼少期を過ごした「さとり世代」にあたります。そんな彼らは、自信を持ちつつも高望みはせず、現実的に物事を見ています。

入社前から「きっと会社でもやっていけるだろう」という前向きな気持ちを持つ一方で、「実際はもっといい職があるかも…」と思うとあっさり辞めてしまう可能性もあります。入社後もその会社のことを見定め、考え続けて現実的に判断していく傾向があるようです。

今年の新社会人を育てるときのポイント

これまで挙げてきたように、今年の新社会人は前向きで頭がよく、現実的に物事を判断する傾向にあります。その分、あいまいな精神論はあまり通じません。物事を説明するときは感覚的な精神論ではなく、理論的に説明するとよいでしょう。

また、彼らの世代は子どもの頃からインターネットに触れる機会が多く、事前情報があることが当たり前の環境で育ってきています。そのため、「やってみる前に分かった気になってしまう」という傾向もあります。情報感度の高さは長所として受け止めつつ、コミュニケーションを通して経験の大切さを伝えていけるとよいかもしれません。

まとめ

今年の新社会人の傾向は、

  • 仕事に対して前向き
  • 頭がよく飲み込みが早い
  • 自信と"さとり"が混在している

という3つを挙げました。

また、今年の新社会人を育てるときのポイントとして、

  • 精神論は使わず理論的に説明する
  • プライドを不用意に傷つけない
  • コミュニケーションをよく取り、「経験の大切さ」を伝える

という3点を挙げました。

新入社員との年齢が離れていればいるほど、「理解し合えるかな……」「打ち解けられるかな……」と不安になる方も多いかもしれません。しかし、先輩としてこちらから歩み寄る姿勢を示すことで、お互いに打ち解けやすく、理解しやすくなります。また、自分の世代と傾向が違っても、新人時代に抱える悩みは共通することが多いものです。「私も実は新人の時こういうことで悩んだ」「こんな失敗もしたけど大丈夫」などと、当時のエピソードを話すと、心理的な距離が縮まるかもしれません。

「新入社員だから」と構えすぎず、1人の人間として、その人となりを理解するよう心がけてみましょう。性格が理解できれば適切な指導ができるようになり、よりよいOJT活動ができるようになるでしょう。