OJTトレーナーは、自分の業務に加えてOJT業務が増えるなど、一見デメリットが多いように思えるかもしれません。しかし、実際にはOJTトレーナーを務めることにはたくさんのメリットがあります。前回に引き続き、マイナビで「OJTトレーナー研修」を開発・販売している同社・教育研修事業部の新山さんにお話をお聞きしました。OJTトレーナーを務めることによるメリットを、5つに分けてご紹介します。

  • OJTトレーナーをやるメリットはあるのか

1. 指導力が上がる

まだ何も分からない状態の新入社員に一から仕事を教えるためには、それ相応の指導力が必要です。最初は手探りだったとしても、1年間を通して指導していくうちにどのようにすればよいかがだんだん分かってきます。また、指導方法が分かるということは、将来管理職になって部下を持った時など、自分が指導する立場になった際にとても役立ちます。今後のキャリアアップを考えると、非常に役立つ経験になるのです。

なお、「担当した新入社員が優秀な結果を出した」「見違えるほど成長した」など、指導の成果が出れば周囲からの信頼も厚くなります。

2. 自分の仕事への理解が深まる

とくに新卒で入社した新入社員に教える際には、基本から詳しく丁寧に教えていく必要があります。その過程は自分の業務の復習にもなるので、「この部分は感覚でやっていたな」「この作業の意味は知らずにやっていたかも」など、業務に対する理解があいまいな部分が見えてきます。

また、自分が気付かなかった点に関して質問を受けることもあり、調べて答えていくうちに、新しい視点からの理解が深まることもあります。一度できるようになった仕事はどうしても流れ作業になりがちですが、OJTトレーニングの中でそれらの意味を再確認し、あいまいな点の復習や新たな視点からの深い理解につなげることができるのです。その結果、業務改善や効率化にも役立ちます。

3. 全体の進捗を把握できるようになる

OJTトレーナーは、常に担当の新入社員の様子を把握しておく必要があります。それまでは自分1人の仕事をしていればよかったところを、新入社員の様子を常に気にかけるようになることで、「自分以外の人の様子も把握する力」が身についていきます。

進捗の遅れがちな人に声をかける、相談に乗るなど、チーム全体の進捗も考えられるようになることは、将来自分が管理職になった際にも必ず役に立ちます。また、全体を見渡して忙しい人の業務を手伝うことができるようになると、上司や先輩からの信頼も厚くなり、高く評価されるでしょう。

4. 気持ちが引き締まり、業務効率が上がる

新山さんによると、OJTトレーナーに任命されるのは、入社3年目ほどの、仕事に慣れてきて余裕がある社員が多いのだとか。「余裕がある分、中だるみしがちでもある時期なのですが、OJTトレーナーを務めると『きちんと教えなくては』『お手本を見せなければ』という思いが働き、気持ちも引き締まります」

また、懸命に仕事に取り組む新入社員の姿を見て、触発されることもあるでしょう。実際に業務量も増えるため、業務効率を上げようと改善に努めやすい機会でもあります。気を引き締め直すいい機会ととらえ、新入社員と共に自分自身の成長へとつなげていきましょう。トレーナー業務が終わる頃には、自分の処理能力も上がっているはずです。

5. 職場のコミュニケーションが活発になる

新入社員の育成は、OJTトレーナーだけの仕事ではありません。普段の指導はOJTトレーナーが行いますが、その管理責任は上司にあり、職場の全員が新入社員のことを気にかけています。新入社員がうまく職場になじめるよう、周囲の人も気配りしてくれたり、OJTトレーナーとしての自分の相談に乗ってくれたりすることもあります。新入社員を中心に、職場内でのコミュニケーションもより活発になるでしょう。

お互い連携して新入社員を育てていくことで連帯感が増し、信頼関係を強くすることができます。結果、OJTトレーニングが終わった後も風通しの良く仕事のしやすい環境が残ります。

まとめ

OJTトレーナーを務めるメリットとして、

  1. 指導力が上がる
  2. 自分の仕事への理解が深まる
  3. 全体の進捗を把握できるようになる
  4. 気持ちが引き締まり、業務効率が上がる
  5. 職場のコミュニケーションが活発になる

という5つをご紹介しました。

一見デメリットが多いように思えるOJTトレーナーですが、このようにメリットもたくさん存在します。また、新山さん曰く、これらのメリットを最大限活かすためには「率先してトレーナー業務を行い、常に新入社員にお手本を見せるつもりで取り組むことが大切」とのこと。

積極的にOJTトレーナー業務に取り組むあなたの姿勢を見ているのは、新入社員だけではありません。熱心に取り組めば、きっと周りからの信頼度も上がるでしょう。自分自身を見つめ直すいい機会として、積極的にOJTトレーナー業務に取り組んでみましょう。