OJTトレーナーの業務は、普段の業務に上乗せされることがほとんどです。残業が増える、どちらかの業務が追い付かなくなってしまうなど、そのバランスに悩む人も多いのではないでしょうか。前回に引き続き、マイナビで「OJTトレーナー研修」を開発・販売している同社・教育研修事業部の新山さんのお話を元に、OJTトレーナー業務と自分の業務とのバランスの取り方についてお伝えしていきます。

  • キャパオーバーにならないためには?

1. 日々のタスクを細かく管理する

日々のタスク管理を一度見直し、より細かく管理するようにしましょう。OJTトレーナーは自分自身の業務もあるなかで、OJT業務も加わります。そのため、普段のタスクをより細かく管理し、集中的に効率よくタスクをこなせるようにしましょう。

たとえば、「予定を分単位で設定する」「金曜日に次週の予定をすべて組んでおく」「変更があれば都度更新する」などの心がけが大切です。実行時刻を決めずに「今日のタスクはこれとこれ」という形で管理している人もいますが、それではどのタスクにどれくらいの時間がかかるのかがはっきりしません。余計な残業をせず新入社員にもお手本を見せられるよう、日々のタスクはしっかり管理しておきましょう。

2. キャパを超えそうな場合は早めに上司に相談

とはいえ、「どうしても仕事が終わらない……」「OJTトレーナーとしての業務が多すぎる……」と思った場合は、早めに上司に相談しましょう。OJTトレーナーとしての役割は自分にありますが、その責任を持つのは上司です。上司から見ても明らかに業務量が多い場合は、業務を減らす、期限を延ばすなどの措置をとってもらえることもあります。

上司への相談が難しい場合は、相談しやすい先輩に話して一緒にペース配分を見直したり、場合によっては手伝ってもらったりする方法も有効です。OJTトレーナーだからといって、すべての業務を1人で背負うことはありません。新入社員を立派に育てることが目的なのですから、どうしてもキャパを超えてしまいそうな場合には、早めに周りに助けを求めましょう。

3. オンとオフの切替を忘れない

新入社員のことを常に気にかけないといけないからこそ、オフタイムにはきちんとリフレッシュすることを心がけましょう。普段よりも多い業務量や人に教えることの難しさに悩み、家に帰っても考えてしまう人もいます。

しかし、それでは疲れが取れず、よい指導はできません。いつも元気でいきいきと働く姿を見せるのも、トレーナー業務の一環です。趣味に没頭する、美味しいものを食べる、早めに眠るなど、普段よりも疲れを取ることを意識してオンオフの切替をきちんと行いましょう。

4. 他の人に教えてもらう機会を作る

本来、新入社員を育てるのは全先輩社員の仕事です。新山さんによると、「新入社員は職場全員で育てるという風土があることが理想」なのだそうです。普段の様子から、「この先輩の仕事は勉強になりそう」と思ったら、その先輩にも教えてもらえないか交渉してみましょう。

もちろん常に新入社員の状況は気にかけつつも、たとえば他の先輩の営業に同行させてもらうなど、OJTトレーナーが知らないことや教えられないことを教わる機会ができれば、新入社員の経験は2倍、3倍……と幅広くなります。OJTトレーナーとして自分が中心となって教えるのはもちろんですが、一度他の人に関わってもらうと、その後そちらからも新入社員の様子を気にかけてくれるようになるかもしれません。

5. 自分で動けるようになってきたら、適度に仕事を任せる

担当する新入社員にひと通りの知識が付いてきたら、失敗してもある程度問題のない仕事から任せてみましょう。すべてを教える状態(ティーチング)から、ヒントを渡して導く状態(コーチング)に切り替えられているのであれば、業務を任せることは本人の成長と自信に繋がります。トレーナー側も、自分の仕事を進める時間が増え、指導に割ける時間も増えるでしょう。

しかし、自分で考えて進める、分からないことはきちんと確認する、といった基本事項ができないうちに任せると失敗に繋がり、かえって自信を失うことにもなりかねません。「自律した仕事ができるか」という難しい見極めが必要ですが、可能であれば引き続き様子を見ながら、任せてみるのもよいでしょう。

まとめ

OJTトレーナー業務と自分の業務とのバランスの取り方としては、

  1. 日々のタスクを細かく管理する
  2. キャパを超えそうな場合は早めに上司に相談
  3. オンとオフの切替をきちんと行いリフレッシュする
  4. 他の人に教えてもらう機会を作る
  5. 自分で動けるようになってきたら、適度に仕事を任せる

という5つが挙げられます。

新山さん曰く「トレーナー業務が担当者だけの負担となるのはあまり望ましくないのですが、ほとんどトレーナーが1人で育成を担当しているのが現状です。とはいえ自分だけで抱え込まず、自ら周囲に呼びかけるなどして『皆で育てる』という環境作りをするとよいでしょう。また、新入社員の育成やトレーナーの業績に対する責任は管理職にあるので、判断材料をたくさん提供する意味でも、管理職とこまめにコミュニケーションを取りながら業務を進めていくとよいですね」