介護保険料はそれなりの負担額で、特に年金生活者にとって重い負担となります。私も初めて介護保険料を徴収された際は「かなりの金額」と思いましたが、安心して老後を送るために必要なものであれば仕方がありません。

そのためできるだけ公平に負担し、適正な使われ方をしているかを注視し、いざ利用する側になった場合は節度ある利用を考えたいものです。今回は保険料の仕組みについて理解していきましょう。

介護保険制度と介護保険料の関係

下図は以前にもご紹介した介護保険の仕組みの図ですが、介護給付に必要な資金の構成を赤い点線部分に追記して示しています。その部分を見ると、介護サービスに必要なお金の原資の構成がわかります。税金と保険料が50%ずつなのは、老齢基礎年金と同様です。

問題は、この税金や保険料を「誰」が「どのくらい」負担しているかです。制度を存続させるには、収入に応じて適切な負担割合であり、生活が苦しくても何とか負担していける額であることが必要です。

  • 介護保険の仕組み(この図は要介護者が利用料の1割負担の例。2割や3割負担の場合もあり)

第1号被保険者の保険料の仕組みとは

「第1号被保険者」とは上記の図でいうところの65歳以上の方々で、保険給付に必要な費用の21%を保険料として負担しています。保険給付に必要な費用の半分は税金で、残りの半分は保険料です。そのため、保険料のおよそ40%を第1号被保険者が負担している計算になります。

この配分がベストであるか、どこか問題点があるかを最終的に判断するのは国民の役割です。当事者、またはそれに近い年齢の方ですと実感しやすいのではないでしょうか。

第2号被保険者の保険料の仕組みとは

40歳以上65歳未満の「第2号被保険者」の保険料の仕組みと流れを下にまとめました。ポイントとなる部分に赤い点線で囲んであります。保険料は医療保険に上乗せして徴収されますが、加入している医療保険の種類(国保、協会けんぽ<※1>、組合健保<※2>)、共済健保<※3>)により、金額が異なります。また、地域やそれぞれの組合によっても違います。

※1協会けんぽ(全国健康保険協会管掌)……2008年に政府管掌健康保険制度より移管し、健康保険適用事業所である中小企業の従業員とその扶養家族が加入する医療保険で、保険料率は都道府県単位で異なります。

※2組合健保(組合管掌健康保険)……社員数700名以上の企業は国の認可を受けて、自社独自の健康保険制度を設立でき、組合健保と称されます。

※3共済組合……公務員らが加入する制度です。

  • 40歳~65歳未満の介護保険料の流れ

組合健保については、国による一定の基準はあるものの、各組合によって異なる部分も多いと考えた方がよさそうです。そのため、会社の組合に詳細を確認した方が確実です。特に通常とはやや違った下記のようなケースに該当する場合は、ご注意ください。

(1)海外在住の場合
(2)本人が海外在住で、扶養家族が介護保険の第2号被保険者に該当する場合
(3)本人が40歳未満または65歳以上で、扶養家族が介護保険の第2号被保険者に該当する場合(特定被保険者)
(4)育児休業に該当する場合

自身で確認しましょう

私自身、若い頃は医療保険の制度など、全く関心がありませんでした。今の若い世代も同じかもしれません。しかし、これからの時代はレールの上に乗っていれば安心という時代ではありません。少なくとも保険料を徴収されている以上、自分たちの今後の生活に大きく影響する制度については、直接生のデータに触れてほしいと思います。

末端の雑多な情報に振り回されずに、ぜひ直接会社の組合制度を調べてみたり、国の介護保険制度の詳細を直接確認したりしてください。今ではインターネットで国の制度や条文など、いくらでもチェックできます。本稿がそのきっかけになればと思います。

※写真と本文は関係ありません

■ 筆者プロフィール: 佐藤章子

一級建築士・ファイナンシャルプランナー(CFP(R)・一級FP技能士)。建設会社や住宅メーカーで設計・商品開発・不動産活用などに従事。2001年に住まいと暮らしのコンサルタント事務所を開業。技術面・経済面双方から住まいづくりをアドバイス。