よいこのQ&A

Q:『節子、それタイタニックやない!』ってなあに?
A:某客船映画みたいにお金かけてません。有名な俳優さんも出てません。でも、作り手の意気込みは負けちゃいないぜ! という知られざる優良エンタメ作品を貪欲に紹介していくコラムだよ。アクション、SF、ホラー、面白いものは何でもアリ! レンタル屋さんに行きたくなること請け合いだァ!

ジャケにはローレン・ダヴェラ演じるセクシーナが。ちょっとジェシカ・シンプソン似?

若者に絶大な人気を誇るアイドル歌手セクシーナのもう一つの顔は、なんと極秘捜査官だった……そんな彼女の活躍を描くアクション映画。

グリッツ・レコード社のボスが科学者を拉致。それは、4人組のロボットアイドル・ユニットを造り出し、コイツらに稼がせて音楽業界を乗っ取るためだった。そんな業界の不正にセクシーナが真っ向から挑む……というお話。

アクション映画だけどアクション的な見せ場はナシ!

セクシーナは極秘捜査官として活動する際には黒いレザースーツに身を包んでいるが、これがまたセクシーナの名前にかなりふさわしくてセクシーだ。しかも、クールでカッコいい。あえて胸の谷間が見えるようにしているところも◎。

アクション映画と言っても、爆破、銃撃戦、カーチェイスといった迫力満点の見せ場は、一切描かれない。チョイとした格闘アクションがちょっぴりあるくらい。格闘シーンも華麗なるカンフーや空手の技がさく裂とか見応えバツグンの肉弾戦ではない。セクシーナ役のローレン・ダヴェラは、格闘技の有段者でもなんでもなく、ただのかわいらしくてキレイな若いおネエさんという感じ。だから、敵と戦うにしてもごく普通に殴る蹴る、背後から敵の頭をビンでたたきつけてタマを握りつぶそうとするぐらい。まぁ、これだけやってのけてくれたらいいかなぁ?!という感じ。

おバカな下ネタも満載

任務にあたるセクシーナ。普通の格好のほうが目立たなそうだが……

本作はおバカ映画らしい要素をしっかりと持っている。露骨な下ネタも頻出だ。キレイでかわいらしい女を主人公にしているにもかかわらず、これだけ下ネタやおバカなギャグをちりばめているのもユニークだ。中でもセクシーナファンのおデブ女子高生宅に憧れのアメフトキャプテン君が突然訪れ、おデブさんの部屋から大人のおもちゃを発見! これがおデブのお袋さんにすぐさま見つかってしまうシーンなんかキョーレツなバカバカしさが漂ってくる。しかも、ホモッ気ありのアメフト部コーチ(ハゲでおなかチョイボッテリ)も何故か部屋に現れ……ベタなツッコミ所までわざわざ用意してくれるとは…とにかくおバカにドアホ、バン~ザイ!!なのだ。

でも、胸や尻を丸出しにするというエロは一切見られないのでそのあたりを期待している人は要注意。

他にも、個性的なキャラクターの登場人物がいっぱいでなかなか面白い。セクシーナのボディーガードを務めるマッチョでチョイ残酷なチェーンソー。そして、なんといってもセクシーナの人気を上回ってしまった男子アイドル君……コイツがアイドル歌手にもかかわらずセックス大好き野郎で、なおかつ自身が主催し、セクシーナ&チェーンソーを招待したパーティーでは、あろうことかドラッグの大盤振る舞い。過去にはドラッグ撲滅キャンペーンのイメージキャラクターまで務めたというのに……。この男子アイドル君、実はグリッツ・レコード社側についている悪党なのだ。また、セクシーナに陰部をさらけ出すアイパッチ男、セクシーナの命を狙う走り方がヘンテコな殺し屋、この殺し屋に突如襲い掛かる着ぐるみクマさん……おかしなヤツら満載で良いね。

本作が面白さを最大限に発揮するのは、やはり後半部分。レコード社側は、セクシーナが出演する高校の無料ライブにロボアイドル4人組を送り込み、全てブチ壊すことを画策。セクシーナの出番になった直後、舞台でクライマックスにふさわしい大バトルが展開!! これがまた学園祭or文化祭の舞台劇をかなりやりすぎにしたような感じ。このシーンでは、悪との闘いにも、おバカで面白いギャグも味わえるのがこれまたよろしい。

とにかく純粋なアクション映画ではないものの、アイドル映画、青春映画、音楽ドラマ、おバカ・コメディーといった要素が取り入れられているため、いろんなテイストが味わえるのが素晴らしい。上映時間は80分と短めだから、ヒマつぶしにはもちろん、キレイ&キュートなセクシーナに興味を抱いた方は、一度手に取ってみてほしい。


『SEXINA セクシーナ』

  • 原題:「SEXINA:POPSTAR P.I.」
  • 出演:ローレン・ダヴェラ、アダム・ウェスト、ルイス・ロペス、ケリー・フェルナンド
  • 監督:エリック・P・シャーキー
  • 販売:トランスワールドアソシエイツ
  • 価格:4,935円
  • 発売日:2012/03/02

ささき・たかゆき

「映画ライター。1982年、大阪府出身。アクション映画、任侠ヤクザ映画といった男泣き&男臭い作品が大のお気に入り。他にはホラー、コメディー、ミュージカルも……とにかくB級映画、おバカ映画をこよなく愛する

タイトルイラスト&題字:五月女ケイ子