ルーティン(きまりきった仕事。日々の作業。ルーチン-ワーク)[三省堂 大辞林]という言葉には2つの意味があると私は思う。

1つはポジティブな意味

日々、繰り返し、積み重ねていく仕事。ライフワーク。
その人にとって、なくてはならない大切な行為。

もう1つはネガティブな意味

単調で変化のない凡庸な作業。決まりきった内容で誰でもできる業務。

私は1つ目の意味でのルーティンを以前から大切にしてきた。例えば、昔からメディア業界周辺で働いていると、よく業界外の方から、

「不規則な生活(夜遅くて朝早い、食事時間がバラバラ……など)ですか?」と聞かれる。

ところが、私は聞いた方の期待を破ってツマラナイ答えをしてしまう。

「朝は毎日だいたい決まって早く起きます。5時くらい。夜も決まって早く寝ます。0時までには。食事はランチ以外はたいてい家で食べます。出張の時以外は」

私の場合、これまで何度か転職を経験した。時にメディア業界の「中」にいる。また、時に「外」にいる時期がある。今のように「中」と「外」の両方の立場を兼ねていたりもする。

あまり「業界風」の生活パターンになるのはよろしくない。

自分なりの「ルーティン(パターン)を持っている方が、何かと生活のペースが維持できる。(もっとも最近は、メディアの世界でも規則正しい生活の人が増えてきた感じがするが…)

一方で、2つ目のネガティブな意味でのルーティンは、なるべく持たないようにしている。

例えば、朝家を出て職場(行き先は色々あるのだが……)に向かうルートを、極力、毎日変えている。

同じ場所に行くことが連日続いても、同じ方法では行かない(動線を使わない)。電車・バス・タクシー・歩く・遠回りをする……手法はいくらでもある。

短期間に目にする風景や接する広告などは数が多く、毎日違う方が良い。

また、自分が住む地域についてもあまりルーティンにならないようにしている。社会人になって20年ほど経つが、その間に10回程、住居は変えている。

住む環境が変われば、出会う人、出入りする場所、見るモノ聞くモノ、あらゆるものが変わる。気に入った場所、好きになった場所であっても、あえて前向きに引っ越しをして風景を変えてみることで、思いもよらない新たな「引き出し」が見つかることも多い。

そして、どんなに環境が変わっても続くもの(人)との関係は、以降は「ルーティン」として続いていく。

あるルーティンを続けるのは、いつかそのルーティンを破るためである。あるルーティンを破るのは、そのルーティンからすでに何かを学んだからである。

そんなルーティンを繰り返していくことこそが面白い。

※75回の長期に渡り毎週連載させて頂いた「キャリアななめ斬り」は今回が最終回となります。これまでご愛読ありがとうございました。


<著者プロフィール>
片岡英彦
1970年9月6日東京生まれ神奈川育ち。京都大学卒業後、日本テレビ入社。報道記者、宣伝プロデューサーを経て、2001年アップルコンピュータ株式会社のコミュニケーションマネージャーに。後に、MTVジャパン広報部長、日本マクドナルドマーケティングPR部長、株式会社ミクシィのエグゼクティブプロデューサー等を経て、2011年「片岡英彦事務所」を設立。企業のマーケティング支援の他「日本を明るくする」プロジェクトに参加。2015年4月より東北芸術工科大学にて教鞭をとる。