私はかれこれ20年近く、家計のやりくりの取材を通して多くの人とお会いしてきました。そしてあるとき気がつきました。お金を貯めている人が、共通してやっている習慣があることを。お金が貯まる人は間違いなく節約家です。節約家というのはケチとは違います。ムダなことにはお金は使いませんが、ここぞということにはしっかり使います。本当に楽しいことや価値のあることにお金を使うために、日々のムダをなくす……そんな賢い節約家さんたちの習慣をご紹介します。

外食は貧乏のはじまり

まずは、次のチェックリストであなたの「外食度」をチェックしてみてください。

□ランチは毎日、外食する

□週3回は、夜、友人と食事をする

□会社帰りにふらりとコンビニに寄り、なんとなく買い物をする

□スーパーでお惣菜の値引きセールを見つけると買わずにいられない

□土日は出かけたついでに外で食事を済ますことが多い

□冷蔵庫の中に肉、魚、野菜などの生鮮食料品が入っていない

□夕食はコンビニやお弁当屋さんで買って帰ることが多い

□一人でも夕飯を外食する

□行きつけの牛丼店、うどん店、ハンバーガーショップがある

□家で料理を作るとキッチンが汚れるし、生ゴミが出るのでイヤだ

このうち3つ以上チェックがついたら、あなたには残念ながら、「お金が貯まらない習慣」が身についています。

さて、世の中は外食の誘惑に満ちています。和・洋・中・エスニックと世界中の料理を手軽に堪能できるのが、今の外食産業です。最近では、立ち飲み形式でお客さんの回転率をよくすることで、高級フレンチやイタリアンを驚くほど安い値段で提供する店が登場し、人気を集めています。

お店で食べる食事だけが、外食ではありません。デパ地下やスーパーのお惣菜、お弁当屋さんのテイクアウト、コンビニ弁当など外食の種類は豊富。家で手間ひまかけて作らなくても、出来合いのものを買ってくれば、すぐに食べられて、しかも後片づけの手間もいりません。手間いらずという点では、外食は実に便利なことですが、お財布には手痛いダメージを与える点は見逃せません。

たとえば、3食プラス、飲み物代とおやつ代に1日3,000円かけていたら、1カ月で9万円。友人とちょっとリッチに外食をする日をプラスしたら、軽く10万円が食費に費やされることになります。これではお金が貯まるわけがありません。「外食三昧は貧乏のはじまり」と心得ましょう。外食エンゲル係数の高さは、あなたの「貯まらない度」に比例するのです。

"おうちごはん"なら、1食=1,000円あればプチ贅沢できる

外食エンゲル係数が「貯まらない度」に比例するということは、外食を減らして、「自炊=おうちごはん」の回数を増やせば、お金が貯まるということです。しかも、同じ金額を費やすなら、外食よりもおうちごはんの方が、質と量の両面でリッチな食事ができます。

たとえば、昼食を外食した場合、ランチセットで1,000円というのはザラにあります。コンビニでお弁当とペットボトル飲料、デザートにアイスを買った場合でも1,000円、カフェでサンドイッチ、サラダ、飲み物をテイクアウトしても1,000円くらいはかかります。ところが、肉や野菜などの生鮮食料品を1,000円分買うとなると、そこそこの量が買えます。同じ1,000円でも、その価値がグ~ンと上がるというわけです。世の中には小さい子ども2人と大人2人の4人家族で、1週間の食費を5,000円でやりくりしている食費節約上手な主婦がたくさんいることを考えると、1食で1,000円使ってしまうことが、いかにもったいないかがわかるというものです。

特売日を狙えば、野菜が1パック=100円で買えるスーパーは珍しくありません。500円あれば5種類の野菜が買え、しかも1人分なら、1回で1パック使いきることはまずないので、500円で2~3回分の野菜の献立が作れるというわけです。肉も「100g=100円以下」のときに購入すれば、肉好きでも満足できる量を食べることができるはずです。

毎日の食事を全部、自炊にする必要はありません。朝食は家で食べるとして、昼食と夕食の1週間分=14食分の半分を自炊にするだけでも、充分効果があります。「1食=1,000円×7食分」=7,000円が浮きます。1カ月を4週で計算すると、7,000円×4週=2万8,000円を節約できることになります。実際には、自炊するための食材費がかかるので、2万8,000円がまるまる浮くというわけではありませんが、少なく見積もっても、その半分の1万4,000円は貯蓄にまわせるはずです。

万能調味料のドレッシングはおうちごはんの味方

おうちごはん初心者さんにとって、料理を作るのは億劫なものですが、自分1人が食べるのですから、何もごちそうを作る必要はありません。簡単にできるものでOKです。調理が簡単なのは「焼く」「炒める」の2つ。フライパン1つで調理できるので後片づけも簡単です。

味つけでオススメなのがドレッシングの活用。最近は、ドレッシングのバリエーションがどんどん広がっているので、生野菜にかける以外にも、使い勝手のいいものが増えています。ドレッシングはそれだけで味が決まります。他の調味料をいろいろ足す必要がなく、料理が苦手な人でも味つけに失敗がありません。

たとえば、お肉と野菜の炒め物に、玉ねぎのすりおろしが入ったドレッシングやすりゴマドレッシングをかけるだけで1品完成します。お肉を焼いて、ガーリックペッパー入りのドレッシングをかければ、ちょっとしたレストラン級の肉料理になります。スーパーのドレッシングコーナーには、豊富な種類のドレッシングが並んでいますので、ぜひ1度足を運んでみてください。手軽においしいものが食べられて、しかもお金が貯まる"おうちごはん"生活にレッツトライ!

<著者プロフィール>

村越 克子

フリーランスライター。学習院大学文学部心理学科卒業。編集会社を経て、フリーに。主婦を読者対象とした生活情報誌を中心に執筆。家計のやりくりに奮闘する全国の主婦を取材し、節約に関する記事を数多く手がける。執筆協力に『綱渡り生活から抜けられない人のための絶対! 貯める方法』永岡書店など。